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オカルト部を立ち上げた結果、押しかけ幽霊ヒロインとの同居生活が始まりました  作者: 秋川悠


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二日目の肉じゃがは汁が浸みてて美味い

 翌朝。

 いつもより少し早く目が覚めた。久々に家庭的な夕食を口にしたせいか、ほんの少し体の調子がいい気がする。


 自室を出て階段を降りると、既にキッチンにかなえの姿があった。


「あ! 蓮くん! おはよ~!」


 エプロン姿で振り返るかなえは、やけに上機嫌だった。フライパンの上では何かがじゅうじゅうと音を立てていて、味噌汁の匂いが部屋に広がっている。


「.......おはよう。って、もう起きてたのか」


「うん! ちょっと気合い入れすぎちゃって!」


 そう言って笑うが、時計を見るとまだ六時半にもなっていない。

 その活力はどこから湧いて出てきているのか。俺にも少し分けてもらいたいものだ。

 

 俺は洗面所に向かい、軽く顔を洗い、自室に戻ってサッと制服に着替えた。


 身支度を済ませて再び一階に降りると、リビングのテーブルには昨日の肉じゃがにインゲンのバター炒め、ご飯にみそ汁。旅館の朝食のような、コッテリさを綺麗に取り除いたような風景が広がっていた。


「凄いな。こんなに豪華な朝食、久々かもしれん」


「え、これ全然豪華じゃないよ......。肉じゃがだって昨日の残りで、みそ汁だって棚にあった乾燥わかめ入れてるだけだし......。蓮くん、ほんとにどういう食生活送ってたの......?」


「......聞かないでくれ。だいたいコンビニで菓子パン買ってた感じだから......」


「うわぁ......やっぱり蓮くん終わってるね......」


 かなえはそう言いながら、呆れたような表情を見せた。


「いや、別に死にはしなかったしな」


「いや、死んでないだけで、負債を先送りしてるだけだから!」


 即座にツッコミが飛んできた。幽霊に健康を心配される構図って......。


 そう思いながら、俺は席に着いて手を合わせる。


「いただきます」


「どうぞ!」


 一口食べて、昨日の肉じゃがとはまた少し違う味付けに気がついた。朝食用なのか、少し優しい味付けになっていた。


「......これほんとに美味いな」


「でしょ?」


 かなえは自分の分は食べず、俺の様子をじっと見ている。


「えーっと、そんなに見られると食べづらいんだけど。自分の分も食べろよ......」


「えー? だってさ、ちゃんと食べてくれてるか確認しないと」


「お前は俺の母親か」


「いや、菓子パンばっかり食べてるって聞いたら、誰でも心配になるって。だから、ちゃんと体に良いものを食べてる姿を監視しておかないと!」


 冗談めかして言うが、その声は妙に楽しそうだった。


 食事を終え、時計を見るとそろそろ家を出る時間だ。


「じゃあ、行ってくる」


「うん、いってらっしゃい!」


 玄関で靴を履きながら、ふと振り返る。


「なんか買ってきてほしいモノがあったら連絡くれ」


「ほんと? 今日は何作ろっかな~?」


 その言い方に、ほんの少し胸が温かくなった。


 俺は鞄を肩にかけて家を出る。


 そのときはまだ知らなかった。

 その鞄の中に、かなえなりの“気遣い”が、きっちり仕込まれていたことを。


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