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遊葬  作者: 40a
16/21

十六通目

本来はこんな頻繁に手紙を書いている場合ではないのですが。

でもお菓子をたらふく食べるより、何十分も歩くより、カラオケに行くより、美味しいご飯を食べるより、ずっと安上がりかつ無理に頑張ることなく落ち着くことができる。

外に出るときは化粧をしないと出られないし、前髪もまっすぐにしないと出られないし、服だってあんまりにもおざなりだと人気の多いところには出られません。私は社会に出るときに少しだけお腹に力を入れ、背筋を伸ばしているのだと思う。けど、すれ違う人の目線がこちらに向いていることが大変不快なのは変わりない。ビジュアルが悪いと思ってる日は特に痛い。なぜこっちを見るのか、行き先が私の通ってきた方向ってわけでもないのに。背丈が女の子の割には高いから?大きなヘッドホンをしているから?服がダサい?それとも前髪、眉毛が変ですか?ブスって言いたいのか?なんでわざわざ顔を見る必要がある、手元にある電子基板をずっと見つめたまま歩いていればいいじゃない、何も私の顔を見なくたって。

とまあこのことについての愚痴はいったんここまで。今回の本題はまた全然違うんです。


今回の本題というか、まあ私が抱えきれなくなってここに吐露したい内容は友人がお酒の失敗をした、ということです。友人「と」ではなく、友人「が」です。私はお酒を飲める年ではありませんし。

その友人をハテナちゃんとします。私の中で謎が多いので、ハテナちゃん。

そのハテナちゃんには大切なお友達がいます。お名前は六さん。

ハテナちゃんは前のお手紙に少し出てきている子です、まあそんなのは今どうでもよくて。


そのハテナちゃんと、六さんがお酒の過ちで一線を越えたという話を聞かされました。


私から言わせてもらえば、ハテナちゃんはすごく酒雑魚ですから飲みに行く、ということに関して手放しで安心できる子ではありませんでした。

六さんも六さんで、「ホテル行こう」が口癖の下半身が主体な方だそうで。

そんな組み合わせ、言語道断ですよ、ふつうはね。

けどハテナちゃんにとって六さんは、話しやすくて波長が合ってテンポがあって、とにかく好きなお友達なんだそうです。

六さんは活字を読むことを好いてもいないし得意ともしていないのに、ハテナちゃんの趣味(古本屋巡りとかいったかな)に付き合ったり、おすすめした本は必ず一度は読んでくれるって嬉しそうな顔で言っていました。

「あいつ顔はよくないんだけどね~」なんてハテナちゃんは言いますが、さんざん電話やメッセージで、六さんへの愛というか、少なくとも好意は透けていて。そのたびに「恋じゃね?」とか。「あーじゃあもう愛なのかなそれは」とか適当に茶々を入れていたり。

六さんと私は面識がありませんが、「ホテル行こう」が口癖の割には会ったときそのようなワードを一切出さないということだけ知っています。もちろん態度にも出さないそうです。つまりsnsで話すときだけ誘ってくると。私から言わせればかなりのグレーゾーンですけどもね!!


なんだかいびつだけど、こういうなかよしの形もあるのだと思う反面、時限性だなとも思っていました。

六さんは来年、遠くに引っ越してしまうことが決定しているそうで、しかもそっちに永住しそうな空気を感じると、ハテナちゃんから聞いておりましたし。どっちかがうっかり「好きです」なんて言ったら、きっとお友達のままというわけにもいかないでしょう。


そしてまあ、時限性の爆弾が暴発したと言いますか…お昼に近い朝の時間、ハテナちゃんからことを聞かされました。細かい描写は除きますが、いたしたことは確実、記憶もわずかながら残っているそうです。

ハテナちゃんはずっとこの人のそばにいたい!とおっしゃっていましたから、それゆえに大ショックを受けていました。

だって、一晩寝て何かあった男女は、お互いに固定の相手ができた時に関係を切るのがベストだと考えているから。

そこには私も賛成です。お付き合いした相手が、昔裸でくっついた相手とまだ仲良しです!とか絶叫ものですから。


もう過ちは起こった後で、今から取り返しのつくものではありません。ハテナちゃんはもう、そういう友達に成り下がるのか?だってここから普通のお友達にも本命にもなれないじゃない!と絶望していました。

私はただただ、「あーーーーそう…やっちまったねえ…」と思いながら慰めの言葉もかけられず、一緒に落ち込むことしかできませんでした。


わたしはそもそも、その二人の関係性をどこかいびつだと考えている。

話しやすくて波長もテンポも合う、異性のお友達は何人か出会っています。けどすべて色恋や湿度が絡む。


一番ショックだったのは向こうからマブダチ宣言のあった同級生。親いないからうちくる?って言われた時のショックは今でも少し引きずっている。あれほど異性に心を開き汚い言葉で心情を話したことは他に無かった。その人とは仲直りの過程でも失敗し、もう縁は消えてしまった。

向こうの開き直った「俺悪く無くね?」の態度が呑み込めなかったなあ、あんなに仲良しだったのに。


他にもこの人!異性なのにこんなにも話しやすいなんて!と思った男性はたいてい年が上で、たまに色恋の路線に走ってしまったり、過度な世話に私が引くなど、なんだかうまくできない。


だからその二人が、湿度も色恋もなしで、上手い事ずっと付き合っていけるようには見えなかった。

私の世界では、生きている世界線ではうまくいかないやつしか観測していないから。

…それで?案の定お酒の力はあったとはいえ失敗しているではありませんか!!

本人たちがこれから、どうやっていくのかは知らないけど、ずっとちぎれない縁ではないと確信している。



…でも、もしかしたら価値観をひっくり返してくれるような流れに変わるかもしれない。

少しだけ期待をはせている、私には色恋にも湿度にも持っていきたくない相手がいるから。

立場的にもそういう関係になることは望ましくないし、私はその人がすごく好きだけど、恋をしていないし愛してもいない。青髭を見たらうわあって思うし。キスもしたくない、手だって繋げない方が嬉しい。皮脂の浮いたでこに、粉をはたいてサラサラにしてやりたいとか、本人のノートにねこを描いたりだとか、そういうしょーもないことをゆるーくやって、雑談したい程度の好き。その人はとても鋭いから、鋭利なことばや視点で私を刺してほしい。あの人からはずっと学びがあふれている。あの人の目で私を見て、どう見えるのかが知りたい。一個体として私の人生に必要不可欠な要素として、限りなく遠い近くにいてほしい人だ。

そんな人だから、間違っても私を色恋の目線で見てほしくないし、手を出してほしくない。

問題はちょっぴり、私が恋をしていたこと。過去の話だけどね!!

今はキスできないと思っている、私の色恋になるかならないかはキスの可か不可かで分かる。あの人は不可!!!!だから恋じゃない。


とまあ…吐きたかったことはこんな感じかなあ。いつもお手紙を書いているときは、私も知らない本音が飛び出ていることがあるからまとめにくい。

口から言葉として出るのではなく、指先から文章が出てくる、ユニークだなあ。


私はこれからも私を生きていく。ハテナちゃんからしたら今回のはショックのでかい大きなイベントが起きたかもしれない、けど私の心は少し上の空で。仲良くなった人がお酒で間違えた、これからどうしていくのか、どうなっていくのか、というイベントが起きている。

それが私に知らされた意味は?私の人生に情報が加わった意味は?そのコマンドを売った意味は何?

そんなことをずっと考えている。


これは私にこれから起こる事の伏線だろうか。ただの学びだろうか。

どうなるかは私の世界の時間が進むしかないね、怖いけどドキドキしている、良い方の。



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