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SF作家のアキバ事件簿207 人類保管計画

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。


ヲトナのジュブナイル第207話「人類保管計画」。さて、今回は地下アイドル通りの路地裏で科学者が殺されますが、何者かが遺体を持ち去ります。


捜査線上に、遺体を扱う世にも不思議なスタートアップが浮上、ヒロイン達は、法と正義が届かない業界の住人達の世界観に翻弄されますが…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 永遠の始まり

宇宙の彼方。流星が飛ぶ。漆黒の闇に浮かぶ青い地球。都市の灯が見える。白い雲の下で稲妻が光る。地表へクローズアップ。ソコはアキバの路地裏だ。


白いバンが走り去る。後に残る真っ青な血の海。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


御屋敷(メイドカフェ)のバックヤードをスチームパンク風に改装したら居心地良くて常連が沈殿。経営を圧迫してるw


「やったー」

「何?どうしたの?」

「機内用の通販カタログの最新号が来たぞ」


盛り上がる僕。


「飛行機で見るだけで充分でしょう。ソンなモノをなぜ定期購読?」

「ソレは、コレが世界最先端の発明品の宝庫だからだ。例えばコレ。栓抜き付きのリモコンだ」


常連のスピアが呆れる。カウンターの中では、僕の推しでメイド長のミユリさんがニコニコと微笑む。


「太平洋の向こう岸の国から合格通知も来てる」

「音楽院から?」

「バークリーさんからだ。心当たりはあるか?」


ウキウキ開封するスピア。僕達はワクワク。


「なんだって?」

「…不合格」

「あら。スピア、可哀想に」

「音楽院のTシャツを買って授業まで選んでいたのに…全部台無しだわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"blood type BLUE"だ。殺人現場へ急ぐ。


「僕の元カノを落とすなんて」

「離れずに済むじゃない」

「離れるのも寂しいが、不合格も嫌だ」


溜め息をつく万世橋警察署(アキバポリス)の敏腕警部ラギィ。


「テリィたんより、スピアは大丈夫?」

「落ち込むというか、何かの間違いだって音楽院に抗議の国際電話をしてた。時差無視で」

「元気ね。クスクス」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


角を曲がると殺人現場だ。路地裏にサイキック抑制蒸気が立ちこめる中、黄色い規制線テープが張られる。路地は封鎖され、外にパトカーが2台。狭い路地は、制服警官や鑑識、なぜか消防士まで来てる。


「遺体はどこ?」

「それは良い質問ね。実は見つからないの」

「ルイナ。どーゆーコト?」


超天才のルイナが、僕のタブレットをハッキングして、自分のラボから"リモート鑑識"をしてくれる。


「この出血量から見て、ココで誰かが死んだコトは確かね。見ての通り"blood type BLUE"。死んだのは"覚醒"したスーパーヒロインょ。さ、テリィたん。お得意の妄想プリーズ」

「ゾンビの仕業だ」←

「…確かに遺体が動かされた形跡は残ってるわ」


ソコへヲタッキーズのマリレが飛び込んで来る。因みに彼女はメイド服だ。ココは秋葉原だからね。


「手がかりがあったわ。朝7時過ぎに白いバンが走り去るのが目撃されてる」

「運転手は?」

「見えなかったって。今から監視カメラの映像を確認するわ」

「タイヤ痕からバンの車種も調べて」

「ROG」


僕は路面を見る。


「靴跡は少なくとも2人分だ。しかし、靴底の溝がないな」

「靴カバーをつけてたの?」

「遺体を消し、靴の特定まで警戒するとは。犯人はプロの殺し専門グループに違いない」

「某国の秘密工作カモょ?」

「現場の状況は、ソレを否定しないな」


溜め息をつくラギィ…は、フト気づく。


「あら。何かが置いてあった形跡があるわ。書類カバン?バッグかしら」

「被害者のカモしれないわ」

「核ミサイルの発射コード入りだ」


僕の達見を彼女達は無視w


「ねぇマリレ。この血痕の形からバッグを特定して…え、何?問題なの?」

「模様って言葉。今、ジェルと結婚式の準備中。で、あらゆるモノの模様で揉めてるの…あ。いえ、バッグょね?了解」


マリレと入れ違いにヲタッキーズのエアリが入って来る。因みに彼女もメイド服だ。だってココは(以下略)


「死因がわかったわ」

「出血多量じゃないの?」

「6時40分に音波銃の銃声がしたそうょ」

「6時40分?マジ?」


僕とラギィは顔を見合わせる。


「えぇ。なんで?」

「7時にバンが走り去るの見た人がいるの」

「死体を積んで撤収スルのに、そんなに時間はかからないわ」


僕は溜め息をつく。


「プロの殺し屋集団にしては手際が悪いな」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部のモニターにゲイツSATO司令官の顔w


「収穫はバンの跡だけ?」

「バッグはハイブランドで秋葉原における販売店は2店のみです。今、店に購入者を問い合わせてます」

「望み薄ね。タイヤ痕は?」


今度はヲタッキーズが肩をスボめる。


「解析待ちです。ヲタッキーズが監視カメラ50台分の映像を見てバンの捜索をしています」

「被害者の情報は?ラギィ警部、身元はわかったの?」

「"覚醒"したスーパーヒロインの可能性が高く、恐らく性別は女性。今、失踪届を調べています」


呆れるゲイツ司令官。


「わかったのは性別だけ?それだけで何がわかると言うの?コレが警察の限界?」

「ソレは…」

「アキバの7万人におよぶ男性が、今回の捜査対象から外れたな」


ナイスな助け舟…だが、ゲイツに睨まれる僕w


「テリィたんさん。あなたの後ろ盾になる元カノ大統領には任期があるってコト、お忘れなく」


プイと画面が消える。さよーなら。


「今度、花でも送ってみようかな」

「ダメ絶対。ヤメて」

「しかし、遺体のない殺人捜査って珍しいな」

「でも、過去にも遺体が見つからなかった事件はあるわよ」


捜査本部のホワイトボードの前でラギィに聞く。


「例えば、父親が旅先で失踪し、ガレージには血痕があったって場合の捜査はどうする?」

「それは例えば…」

「ほらね。遺体が必要だ」


マリレが駆け込んで来る。


「何とかなるカモ。現場近くの監視カメラにアストロ2台とエコノラインが1台写ってた」

「タイヤ痕はエコノラインのだ」

「ナンバーはどう?」

「現場近くの倉庫会社に登録されている。"PW倉庫"って会社ょ」


ラギィは立ち上がる。


「わかった。行くわよ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


真昼のアキバ。神田リバー沿いに建つ赤レンガの倉庫街。FPC(覆面パトカー)で乗り付け、白いバンの後ろにつける。


「この車だわ」


メイド服の上に防音チョッキを着込んだヲタッキーズが音波銃を目線で構えてバンに張り付く。操縦席を覗き込む。ラギィを呼ぶエアリ。


「青い血痕がついている」


前輪のあたりを指差す。


「突入。援護スルわ」


ラギィにうなずき、倉庫の中へ飛び込むヲタッキーズ。中は…やや?白くハイテックな銀色の廊下だw


廃倉庫ではナイ?


「行くわょ」


マリレがドアを開ける…広い部屋だ。銀のチューブがのたくり、白い霧が立ちこめる。その中に…


「何、コレ?」


銀色のシリンダーが、林のように乱立している。音波銃を目線で構え、踏み込んで逝くヲタッキーズ。


「何かの容器?」

「さあ。わからないわ」

「この大きさだと、ひょっとして…」


僕は、霜で曇ったシリンダーの窓を手で拭う。すると、突然大きく目を見開いた人間の顔が現れるw


「人だ!マジで人が入ってる!」

「全シリンダーに凍った人間が入ってるの?」

「凍ってるみたい」

「誰なの??この倉庫は何?」


第2章 スタートアップ"王家の谷"


銀のシリンダーの林で立ち(すく)む。


「この人達は誰?何者?」

「エイリアンが出て来るSFホラーみたいだな」

「手の空いてる鑑識を全員、寄越して!」


応援を呼ぶラギィ。


「しっ…10時の方向に人がいるわ」

「テリィたん、最後尾に」

「ROG」


逝われなくても最後尾だ。音波銃を抜くラギィ。


「アキバP.D.!動くな!」

「手を上げて」

「撃たないで!抵抗はしないから」


翠のヲペ着(スクラブ)を着た女子2名。慌てて手を挙げる。


「私達は、推しゴトをしてるだけょ」

「人を殺す推しゴト?」

「違うわ。もう死んでる。ココは、死体の冷凍保存会社"王家の谷"の永代供養施設ょ」


何だって?


「死体の冷凍保存?だから、凍った人間だらけなのか…ってか全部死体なのか?」

「YES。生前に契約した顧客の死体を冷凍保存しているわ。そして、医学が進歩して不老不死の時代が来たら死体を解凍して、永遠に生き続けるの」


僕も、次の原稿〆切まで冷凍保存してくれw


「どーやって"顧客"の死を知るの?」

「顧客の脈拍と位置情報は、衛星軌道から常に把握してる。だから、顧客の死後15分で直ちに駆けつけるワケ」

「うーんハミル教授の場合も確かに時間は合うな」


納得スル僕w


「テリィたん(怒)!ソレがマジだとしても、殺人事件の被害者なのょ。私達警察を呼ぶべきでしょ!」

「待ってられないの。冷凍保存は時間が勝負。早くしないと脳が死ぬから。全て故人との生前契約に基づく合法的な行為ょ」

「何言ってんの?彼も脳も既に死んでるのょ!」


スーツ姿の女が入ってくる。後からもう1人。


「いいえ。ソレはどうかしら。私は、スタートアップ"王家の谷"CEOのワイズ」

「私は、首席弁護士のロゼル」

「御質問がおありのようね。私がお答えスルわ」


挑むように僕達を見る。ラギィは深呼吸。


「先ず、殺された人の名前を教えて…あと性別」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ワイズはタブレットの画像を示す。


「彼"女"は、生物学教授レスタ・ハミル」

「調べてみて」

「ROG」


データベースで照合を始めるヲタッキーズ。


「彼女とは、NYの医学部で一緒に学んだ仲ょ。ソレが早死にスルとは皮肉だけど」

「なぜ?」

「彼女は、寿命を伸ばす最先端技術を開発していたの。でも、自分の役には立たなかった」


なるほど。


「貴女達は、研究仲間というコト?」

「YES。ただし、レスタの専門は死ぬ前の延命で、私の専門は死んだ後の蘇生だった」

「このシリンダーの中に有名人はいるか?芸能人とか?政治家とか?…ヒトラーは?」

「令状を取って。守秘義務があるから、顧客情報は話せないわ」


ロゼル弁護士がのたまう。


「被害者のレスタ・ハミルさんは、月曜に殺された。検視官が到着したら遺体は引き渡してもらうわ」

「ラギィ警部。レスタ・ハミル氏は、当社と冷凍保存の契約を交わしてる。遺体を引き渡せば、我々が契約違反を問われる。従って、契約の履行を妨害する行為があれば、我々には万世橋警察署(アキバP.D.)を訴える用意がある」


ロゼル弁護士は譲らない。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


シリンダーの林の中を歩きスマホしていた僕は、溜め息まじりにスマホを切る。


「…そっか、わかった。thanks…最高検察庁は介入出来ないってさ。判例の関係で介入出来ないそうだ」


僕の友人、と逝うか、元カノの1人ナンだけど、最高検察庁の次長検事に問い合わせてみた結果だ。


「しかし、寿命を伸ばす研究をしてた科学者が殺され、その遺体を死体の冷凍保存会社が隠す。どこをとってもとんでもない陰謀の匂いプンプンだな」

「…SATOのシン司令官殿になんて説明したら良いかしら」

「うーん」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


南秋葉原条約機構(SATO)は、アキバに開いた"リアルの裂け目"由来の全事象に対応する人類側の組織だ。

従って"覚醒"したスーパーヒロイン絡みの殺人事件の多くは、万世橋警察署(アキバP.D.)との合同捜査となる。


ただし、捜査の主導権はSATO側だ。


「SATOを訴えるですって?」

「状況が状況なので。私有地にある以上、令状がなければ遺体は引き取れません。モチロン、遺体ナシでは殺人を証明出来ズ、令状も取れません」

「スタートアップの弁護士に入れ知恵されたの?」


捜査本部のモニターから吠えるSATOのゲイツ司令官。彼女自身はパーツ通り地下にある司令部にいる。


「とにかく、難しい状況なのは確かです」

「わかったわ。ルイナ、何か収穫は?」

「被害者のレスタ・ハミル教授は、胸を2発、音波銃で撃たれていました。回収したシャツの穴からみて、大Hz口径の音波銃。因みに、教授の財布の中の金銭は手つかズ」


超天才ルイナは、自分のラボから"リモート鑑識"を進める。


「ラギィ警部。貴女、書類バッグがあったとか言ってなかった?」

「ゲイツ司令官。現場には血の海にバッグを置いた跡があっただけです。ただし、御主人に聞いたトコロ、教授は外出時には確かに持っていたとのコトでした。御主人と同僚のボイル博士は、まもなく到着の予定です」

「良いですか?」


割って入るマリレ。


「3日前、アキバ工科大学(AIT)にあったレスタ・ハミル教授のPCが壊されていますが、犯人は捕まっていません」

「ヲタッキーズ。ソレ、大学で詳しく調べてキチンと報告して頂戴」

「ROG」


ゲイツ司令官は、僕達を睨む。


「ラギィ警部。レスタ教授の御主人を説得して、何とかして遺体を手に入れて頂戴」

「ROG」

「頼むわょ警部」


モニター画面は消える。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ソンなコトは出来ません。私は、あくまで妻の意思を尊重したいと思います」


万世橋(アキバポリス)の会議室。言下に否定スル御主人w


「でも、ハミルさん。遺体がなければ、事件の解決は難しい。一生解決しないカモしれません」

「でも、冷凍保存をヤメたら、妻は永遠に死んでしまう。ソレは耐え難い」

「残念ですが、もう奥さんは死んでます」

「いや。そうとは限りません」


割って入るのは、ボイル博士だ。  


「レスタとは、大学で20年間一緒に働いた。彼女は、信じていたんだ。寿命を伸ばす技術の完成は、もう目前、誰もが死なない世界がやって来ると。その彼女が蘇生を諦めるハズがナイ」

「ハミル教授は、なぜ寿命を伸ばす研究を始めたと思いますか?」


滔々と語り出す夫。


「私達は、深く愛し合っていました。妻は、私と永遠に一緒にいたいと願い、私と永遠に暮らすために研究を始めたのです。だから、わかってください。私も妻も同じ気持ちなのです」

「…奥さんを殺した犯人は、現場からバッグを盗んだようですけど、中身はなんでしょう?」

「"アンブロシア計画"の資料です。妻は、常に肌身離さズに持っていました」

「アンブロシアって…ギリシャ神話に出て来る神の食べ物ですょね?確か、食べれば不老不死になれるとか」


驚く僕。うなずく夫。目が逝っちゃってるw


「アンブロシア計画とは?」

「ボイル博士。貴方から説明してください」

「実は、私の専門外なのだが…ハミルは肉体に薬剤を埋め込み、老化しない細胞を作れるようにする技術を開発していたようだ」


ボイル博士はハゲ頭。男子。


「その薬剤により、人間の寿命を10年は伸ばせると言っていたな」

「そんな薬剤があれば、マジ大金持ちになれるな」

「その通り。まぁ大半はランド・ラァムの懐に行ってしまうがね」


思いがけない名前が飛び出す。


「ランド・ラァム?あのヒロピンAVの巨匠か?」

「良くご存知で」

「寿命の延長とヒロピンAVに何の関係が?」


脳内は大混乱だが、何となくウキウキ←


「我々は、出資者を選べる状況にありません。ランドは、ヒロピンAVで大金を稼ぎ、今や投資家気取りだ。寿命延長の研究にも出資してくれたのです」

「でも、もう彼とは手を切りました」

「そりゃまたどーして?」


気持ちが萎えて逝くw


「妻は、研究をネットで公開し、仲間を募って開発スピードを上げようとしたのです」

「あちゃー。ソンなコトしたら特許が取れなくなって、知的財産で儲けられナイぞ。そりゃランド・ラァムは怒るだろーな」

「かなりモメていました。でも、妻は譲らなかった。実は今日、ネットに研究を公開する予定だったのです」


かなりキナ臭い。


「ご主人とランド・ラァムさんがモメたのは、いつですか?」

「3日前です」

「大学でPCが壊された日だ」


思わズ息を飲む金髪の夫。良く見ると裸足だw


「ランド・ラァムは、確かに不快な男だったけど…まさか彼が犯人なのですか?」

「何億円もの投資がフイになるとなれば、お金は立派な動機になります」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部のホワイトボードに、ランド・ラァムの顔写真が貼り出される。


「ランド・ラァムは、45Hz口径の音波銃を持っている。ハミル教授を殺した凶器のHz口径も、ソレぐらいのハズだわ」

「ランドは、音波銃の携帯許可証も持ってる」

「え。僕も持ってないのに、なぜ彼が持ってルンだ?」


同じ金持ちなのに不公平だ。


「敵が多いのょ。AVに堕ちた女優の恋人や家族にいつも襲われてたから」

「親バレに彼バレか。納得しました」


なら仕方がない。溜め息をつくラギィ。


「…とにかく、殺害の証拠が欲しいわ」

「殺害に結びつくカモ。被害者の今朝の行動を調べたの。カード履歴ょ。今朝6時半に寄ったダイナーで誰と一緒だったと思う?」

「ランド・ラァム?」

「YES。争ってたらしいわ」

「6時半って…撃たれる10分前だわ」


またまた立ち上がるラギィ。


「行きましょう」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ランド・ラァムの撮影所。敷地に建つビルの何処を切ってもランジェリー姿かコスプレの美乳達で溢れてる。


「アンブロシア計画ナンてSF小説の世界だな。金持ちの男が研究者を殺し、死の秘薬を手に入れる」

「たかだか寿命が10年伸びるだけの話でしょ?」

「ラギィも埋め込みたいのか?」

「豊胸のコト?」


自分の胸を見るラギィ。微乳だ。が、目の前をミニスカ魔法少女の集団が通過。目を奪われる。


「豊胸じゃナイょ。寿命が伸びる秘薬のコトだ」

「10年長く生きるため?興味ないわ」

「でも、あと10年も今のママでいられるとしたら?心が動くだろ?」

「全然。変わらないナンてイヤょ」


今度は、陸上競技&競泳水着の女子軍団が脈絡なく通過スル。百花繚乱。なんて素敵なビルなんだ!


「なんで興味ないんだょ?」

「人生には、タイムリミットがあるから良いの。死ぬのはずっと先なんて思った瞬間から時間を無駄にスルだけ」

「そっか。じゃ僕は不老不死になるから、ラギィは豊胸手術を頑張れょ。ミユリさんと一緒に」

「10年後?テリィたんは永遠の5歳児よ」


ソコへミニスカくのいち登場。


「ラギィ警部ですね?お待ちを…ねぇ!"レースクイーン枕投げ大戦争"の出演者は集合して!早く!」

「なんでクノイチは昭和の昔からミニスカなんだ?もっとマシなコスプレは無いのかな」

「あら。露出の多いコスプレ女子に対して、いつから批判的になったの?」

「元カノ会長が海の向こうの音楽院で不合格になって以来さ。おや?奴が来たぞ。(コスプ)レイヤーを食い物にしてる奴だ」


向こうから色んな悪の女幹部に囲まれて歩く、胸をハダけた白ジャケを着た優男。うらやましい。


「ラギィ警部。俺がランド・ラァムだ。ソレとも君は"野戦病院のイケナイ変態看護兵シリーズ"のオーディションに来た子かな?」

「違います!…レスタ・ハミル教授の件で来たの。コチラは国民的SF作家のテリィたん」

「どうやって彼女を殺したのか教えてくれ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の会議室。


「確かに今朝、ハミルとダイナーに行った。まずいメシだった」

「大声で言い争ってたそうね」

「まぁな。ネットで研究を公開するナンて言うからさ。タダでバラまいたら金は稼げない。ネットAVで得た俺のポリシーだ」

「なるほど!ソレで殺したのか。研究がネット公開される前に」

「ソコは心配ナイ。弁護士が公開禁止命令を出す手続きをしてくれてるからな」


切り口チェンジ。


「帰宅は7時10分ね?」

「あぁそーだょ」

「ハミル教授が殺されたのは6時40分。家に帰る前に、貴方が教授が殺す時間は十分にあるわ」


鼻で笑うAV王。


「僕は殺してないが犯人ならワカル」

「マジで?じゃ小声でコッソリ教えて」

「不老不死温泉、じゃなかった、不老不死の秘薬だが、先月、人体実験の申請が却下された。秘薬の完成を目前にして、ハミルは相当悔しがってた。全てお役所仕事で実験出来ないせいだと怒り狂ってたょ。で、1週間後、俺が奴の研究用に開設したシンガポールのオフショア口座から1000万円が消えた」


僕は身を乗り出す。


「おい。ハミル教授は、許可ナシで人体実験をしたと言うのか?」

「きっと内密にな。だが、俺は完全に蚊帳の外だ。そして、恐らく人体実験は成功した」

「ねぇ。とても面白い話だったけど、誰を犯人だと思ってるかを未だ聞いてないわ」


大きくうなずくランド・ルゥム。


「なぁおまわりさん。奴は、違法な人体実験の被験者をどこから調達したと思う?確かなのは、間違いなくマトモなルートじゃナイってコトだ。恐らく"覚醒剤"に溺れた腐女子や安い音波銃を持ってる危ナイ連中さ」


会議室のドアがノックされ、顔を出したエアリから封筒を受け取るラギィ。


「さ。事実に基づいた話をするわよ。貴方はハミル教授の研究に多額の出資をした。ところが、成功を目前にして、彼に手を切りたいと言われた。ソレが殺人の動機」


手にした封筒から、ビニールに包まれた音波銃を取り出して、テーブルにバーンと置く。カッコ良い。


「貴方は凶器と同じ大Hz口径の音波銃を所持している。動機に続いて手段も見つかったってコトね。さらに、ハミル教授が死ぬ10分前には激甚な口論までしてる。つまり、犯行可能な機会にも恵まれてる」

「うーんタダの憶測だな。状況証拠ばかりだぞ?」

「証拠はアルわ。貴方の45Hz口径の音波銃ょ。調べてみたら、今朝、発砲してるわね?」

「あちゃー。動かない証拠が出て来たぞ。コレで君は絶体絶命だ」


冷やかす僕。が、ランドは落ち着き払ってるw


「確かに音波銃を撃った。だが、ソレは今朝、鳩がうるさくて睡眠の邪魔だったからだ」

「おいおい。鳩が言い訳になると思ってるのか?」

「事実だからな。悪いが、弁護士を呼びたい」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部のモニターにゲイツ司令官が大写しになっている。彼女はSATO司令部から取り調べの模様をモニターしてるw


「自信過剰で嫌な男ね」

「ただ、今のトコロ、事件の手がかりは彼の音波銃だけです」

「でも、その肝心の銃が見つからナイ。実際の凶器は不明ナンだ」


僕の適切な指摘にイラッとするゲイツ。


「そんなコトはわかってます。いつも無用な口出しをありがとう、テリィCEO」

「どうしても遺体が必要なんです」

「わかったわ、警部。こうなったら判例がどうのこうの言ってられナイ。もう1度、最高検察庁に掛け合ってハミル教授の遺体の引き渡しの令状を取りましょう」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


スタートアップ"王家の谷"。僕が示すタブレットには、ゲイツ司令官が大写しになっている。


「最高検察庁に相談したトコロ、令状は出せると言うコトでした。殺人事件の証拠として、ハミル教授の遺体を引き渡して貰います」

「裁判沙汰になるわ。我々は戦います」

「こーゆー特殊な状況下で、貴方達に不利な判例が出来ても御社が困るだけでしょ?御社の信用は失態し、顧客全員に影響が及ぶ。まぁコチラとしても裁判は避けたいけれど、遺体も譲れないの」


"王家の谷"の弁護士は吠える。


「顧客の永遠の命が欲しいという希望を断つ行為を断じて許すワケにはいかない。貴官達は、荘厳な"王家の谷"を荒らす墓泥棒だ」

「では、地方検事の方から連絡が行くと思いますので、それまでお待ちください」

「ま、待ってくれ」


"王家の谷"CEOから泣きが入る。


「ハミルの心臓は、既に銃弾で損なわれている。実は、カラダの方は、さほど重要ではない。というか、弊社の技術力では、もはやカラダを修復し、保存するコトは困難で、肝心なのは"脳"なの。彼女が蘇生する頃には、新しいカラダを作る技術が開発されてるハズ。とにかく、弊社は裁判沙汰になるコトは望まない。カラダだけなら直ちに引き渡すわ。ただし、その代わりに頭部は弊社に残しておいてもらいます」


世にも奇妙な"経営判断"に、内心は面食らったゲイツだが、あくまで威厳を保って鷹揚にうなずく。


「では、そうしましょう。我々は、カラダから音波痕を取り出せれば、ランド・ラァムの音波銃が凶器だとわかるから」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ハミル教授のカラダ(のみ)が安置された万世橋(アキバポリス)の検視局。モニター画面には超天才のルイナ。


「凶器じゃなかった」

「え。どーゆー意味?」

「だから、ハミル教授を撃ったのは、ランド・ラァムの音波銃じゃナイってコト」


超天才は断定スル。


「おいおい、確かなのか?ゲイツの面目丸潰れだぜ?」

「テリィたん、私がデマカセを言ってると思う?」

「まさか。で、ルイナが断定スル理由は?」

「ランド・ラァムの音波銃は45Hz口径。でも、凶器は38Hz口径だった」


そりゃ猿でもワカルなw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


音波銃は弾丸も弾くスーパーヒロインを倒す唯一の武器だが発射された音波はカラダに音波痕を残す。


「遺体さえ手に入ればランド・ラァムが犯人だって確定スルと思っていたのに。まさか証拠にならナイとはトホホ」

「妄想ならアルけど?」

「今なら許す。何でも良いから言って」

「ランド・ラァムは無実だ」


鬼の形相になるラギィ。


「もう何も言わないで」

「ハミル教授の研究を狙う人が他にいたンじゃナイか?ライバルの研究者(リサーチャー)とか」

「…あり得る。旦那さんに聞いてる?」


ココで僕にショートメール。


「スピアからでしょ?」

「ご名答だ。挫折を知らないハッカーだから、動揺してルンだ…今日は帰っても良いかな?」

「もちろんょ。そばにいてあげなきゃ。テリィたんは元カレなんだから」

「マジで?怒ってなひ?」

「マジでなひわ。1人で捜査出来る。だって、私は"新橋鮫"と呼ばれた女ょ」


だから心配ナンだw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。捜査本部でヲタッキーズ。


「エアリ。どうしたの?」

「被害者のPCが壊された事件をアキバ工科大学で調べて来たンだけど…何なのコレ?」

「ランド・ラァムのアリバイ」


デスクの上にビニール袋入りの…鳩の死体w


「ランド・ラァムの家の屋根で死んでた。45Hz口径の音波痕を腹部から検出」

「鳩の話はマジだったのね。とりあえず、猛禽類虐待罪で逮捕しとく?」

「鳩って冷凍保存が出来るのかしら」


閑話休題。


「で、エアリ。PCの話は?」

「アキバ工科大学の科学警察で話を聞いて来た。マジのんびりした連中で羨ましいわ。でも、証拠はキチンと保管してて、破壊されたPCからは指紋が出た。ハミル教授の教え子でエディ・ペックって言う優等生と一致。前科ナシ」

「なぜ優等生がセンセのPCを壊すの?」


エヘンと胸を張るエアリ。


「実はね。彼のパパは大手製薬会社で研究主任をしてるってワケょ」

「なるほど」

「大好きなパパのためにやったのね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


数時間後。エアリは壊れたPCの写真をデスクに叩きつけて吠えてるw


「見覚えアルでしょ?貴方の指紋だらけょ」

「教授のオフィスに侵入して何を探してたの?」

「メイドさん、許してくれ。魔が刺したンだ。落胆させたくなくて…」


エディは真面目なメガネ少年だ。非イケメン。


「パパのためにやったのね?」

「YES。厳格なんだ」

「データは何処?」


初めてキョトンとするエディ。


「データ?何の? 」

「アンブロシア計画の研究データ欲しさにハミル教授を殺したンでしょ?」

「殺しただって?違うょ。僕は、期末試験の成績の変更を頼んだだけだ」


なんだって?


「実はスジィってメイドに夢中になって、勉強が手につかなくなったンだ」

「ヤメて。何の話をしてるの?私、貴方の恋バナなんか聞きたくないンだけど」

「生物学でFを採って…生物学でFなんかとったら、パパに殺されちまう。だから、成績を書き換えようとしたワケさ」


胸を張るエディ。


「でも、パスワードがわからず、イラついてカッとなって壁に投げつけたんだ」

「あら。ウソついちゃダメょ。貴方の成績はAになってるわ」

「だ・か・ら!次の日の午後、今日中に直接頼まなきゃと尾行して、声をかけようか迷っていたら、怪しげなホテルに入って行った」


怪しげなホテルw


「何のためにホテル?御休憩?」

「知らないよ」

「でも、1時間後に出て来た時に、僕を見てエラい驚いてたな。ホテルに行ったコトを黙ってくれるなら、成績をAにスルって言われた」

「ホテルの名前は?」


即答するエディ。


「130ストリートイン」   


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


神田花岡町の130ストリートイン。軋む廊下の白いホテルだ。昼でも暗い廊下。永遠に喋り続ける管理人の老婆。大人しく後に続くヲタッキーズ。


「24号室の客が、まーさか大物センセだったとはね。知らなかったわ」

「いつから滞在してましたか?」

「先月からょ。支払いは現金だったわ」


満足そうにニンマリする老婆。


「部屋では何をしてましたか?」

「おまわりさん。ココは、そーゆー詮索をしないホテルなの」

「でも、変な男だとは思ったでしょ?」


当たり前ょと語り出す老婆。


「そりゃ思うわ。だって、何があっても誰も部屋に入るな、ナンて言って、清掃すら許さなかったンだから」

「まぁ」

「恐らく一夫多妻主義で、たくさんのダッチワイフと一緒に住んでるとか、そんなトコロでしょ。開いたわ」


鍵を開ける老婆。音波銃を抜くヲタッキーズ。ドアを開くと…中に温室みたいなビニールハウスだと?


「何なの、コレ」

「無菌室?」

「言っておくけど、ココの掃除はゴメンょ」


怒る老婆を手で制する。


「下がってて」

「喜んで」

「死体とかありませんよーに」


ビニールのチャックを開け無菌室?に入る。


「外科用のメス。ドリル。レーザーまである」

「リドカイン?麻酔薬だわ。注射器もアル…ココはオペ室ね」

「こんな場所で誰がオペを?ショッカー?」


シンお面ライダーの見過ぎw


「違うでしょ。レスタ・ハミルが却下された人体実験を密かに実行していたのょ」

「そっか。ランド・ラァムが言ってた通りね?」

「真夜中の違法オペ。何だかロマンチック」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


秋葉原ヒルズが朝焼けに染まる。僕は"潜り酒場(スピークイージー)"でパンケーキを焼いている。


「誰が違法な人体実験を受けたがる?」

「あら、テリィ様。私は長生き出来るなら試しても良いと思いますが。ただし、五つ星ホテルでなら。レコル・アクシヲム(悪の巣窟ホテル)はお断り…」

「ミユリさん。スピアは未だ寝てる?」


うなずくミユリさん。


「みたいです」

「昨夜はソファ席で寝てたから、ベッドまで運んだンだ。そんなの出逢った頃以来だよ」

「音楽院が不合格になってから、ずっとです。何だか可哀想」


スピアが顔を出す…と逝うか御帰宅。箱を抱えてる。


「おはようスピア。その箱は?」

「私のウソの人生。みんな捨てるコトにした」

「待て待て待て。ちびっ子ハッカー賞に盆踊り大会の皆勤賞?せっかく頑張ってもらった大事な賞ばかりだ。早まるな」


既に半泣きのスピア。


「ウソよ。半分はタダの参加賞。結局、私の人生は全部失敗したンだわ」

「とにかく待てょ。結果が全てじゃない」

「でも、音楽院は不合格だった。私は、音楽院に行きたかったの!」


とにかく、ナダめよう。


「シュリが入学して…」

「テリィたん!シュリは関係ない。私が落ちこぼれただけょ」

「たかが音楽院だ。スピアのハッカーとしてのキャリアには何の関係もナイ。不運って結果を受け止めて、次に進むしかない」


首を振るスピア。涙目だ。 


「どうやって?」


第3章 "王家の谷"を暴け


捜査本部のEV(エレベーター)のドアが開き、僕とミユリさん、じゃなかった、ミユリさんがスーパーヒロインに変身したムーンライトセレナーダーが降りて来る。


「少し過保護に育て過ぎたかな?」

「気にするコトありません。テリィ様も誰も、何も間違ってませんょ」

「でも、スピア。余りに挫折に弱過ぎる」


ムーンライトセレナーダーは、ヘソ出しセパレートのメイド服ナンだけど、中身はミユリさんのママだ。


「誰もが通る道です。必要なだけ時間が過ぎれば、立ち直りますょ」

「ヤケになって"AV女ハッカー桃色地獄"とかに出演されちゃうと困ルンだょ」

「ラギィ。状況は?」


僕を無視して、ホワイトボードの前で腕組みしてるラギィに声をかけるムーンライトセレナーダー。


「ソレでハミル教授はリバーサイドのホテルで何をしていたの?」

「ムーンライトセレナーダ!ホテルに何が置いてあったか記憶を整理中ょ。とにかく、被験者の1人は結果にかなり不満だったみたい。ホテルの部屋にこんなメモがあった」

「"成功すると信じていたのに"?コレは?」

「恐らく人体実験の被験者からの手紙ね。どうやら手術は失敗したみたい」


うーん失敗したらこんな手紙じゃスマナイだろ。


「きっとフランケンシュタイン化した被験者は、レスタ博士に復讐して殺したンだ」

「…誰がメモを残したのかは不明ね」

「ビニールハウスには、ハミル教授の指紋しかなかったわ」


ヲタッキーズのメイド2人が合流。


「マリレ。旦那さんは何だって?」

「旦那どころか、研究室の同僚ボイル博士も、彼女がホテルで何をしてたのか全く知らないわ」

「ホテルの周辺を調べて来て。あのエリアはホームレスが多いから、その中から被験者を選んでいた可能性がアル」

「ROG」


出掛けて逝くヲタッキーズ。


「しかし、どうしてもハミルって女子が理解出来ない。何で自分の評判を落とすような違法な実験を犯したんだ?研究をネットで公開する位だから、お金目的ではなさそうだ」

「ソレに、なぜ急いでたのかしら」


ココでラギィのスマホが鳴動。


「ルイナょ。調べ終わったって」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


検視局のモニターに超天才ルイナの画像。彼女自身は自分のラボにいる。彼女の"リモート鑑識"だ。


「ルイナ。被験者が誰かわかった?」

「注射針とドリルから採取したDNAは全て1人のモノだった。レスタ・ハミルょ」

「とゆーコトは、教授は施術したのではなく、されてたってコト?」


驚く僕。飲み込みの速いラギィ。


「そっか。じゃ彼女は、自分の理論を実証するために、自らを実験台にしたのね?」

「じゃ手術を執刀していたのは誰ナンだ?」

「ソレに何で彼女は殺されたの?」


割り込もうとスルが割り込めない超天才。


「ねぇちょっと…」

「きっと、彼女は寿命を伸ばすための画期的な治療法を手に入れたに違いない」

「そうね!そして…」


ウィーン!ドリルを高速回転させるルイナ。画面を振り向く僕達。妄想ハレーションが途切れる。


「ちょっと悪いけど、少しの間で良いから、その2人の掛け合い夫婦(めおと)漫才をヤメて!」


呆気に取られる僕とラギィ。クスクス笑ってるムーンライトセレナーダーw


「2人が仲良く推理ゴッコで妄想をハレーションさせるのも良いけど、問題発生ょ」

「何のコト?」

「アンブロシア計画では、薬剤は腕に埋め込むハズなんだけど、腕にはなかった。腕どころか、カラダのどこを探しても見当たらナイ。実験もオペもした痕跡が全然ないの」


マジか?


「でも、彼女のDNAが現場の注射器から検出されたんだろう?」

「確かに検出されたわ。彼女の脳の組織もね」

「え。じゃ脳に施術をしたってコトか?」


さしもの僕も絶句だ。


「…確かに脳は検視していない唯一の部位ょね」

「OK?もし脳をもらって来たら検視してあげる。その時、必ず"何か"がワカルわ」

「事件解決の鍵は、脳なのね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


スタートアップ"王家の谷"のワイズCEOは激怒。


「脳はダメ!ヤメて」

「状況が変わった。事件の解決には、脳が絶対必要なの。ワイズ博士、コレが令状ょ。読んでみると良いわ」

「そんなコトよりハミルの遺志はどうなるの?遺志を権力が奪うのは許されない」


ラギィも譲らない。何しろ令状が出たのだ。


「今は、死んだ人の遺志よりも、殺人事件の捜査が優先されます。"王家の谷"を開けて」


警官隊がマスターキー(ショットガン)をチラつかせる。ガックリ肩を落とすワイズCEO。


「遺体を傷つけないよう、最新の注意を払うと約束して。ちょっとしたショックで、記憶や人格、脳の機能は損なわれてしまうの」


解錠コードを入力して、装甲ドアを開ける。白い霧が立ち込める銀のシリンダーが並ぶ"王家の谷"。


シリンダーの林の奥に、銀の円柱型の容器が並ぶ棚がある。まさか"首から上"を冷凍保存してる棚?


棚の前でフト立ち止まるワイズCEO。


「あら。なんてコト!」

「何?どーしたの?」

「ハミルの頭部は、確かにココに保管してあったのに…ナイわ」


マジで狼狽えるワイズCEO。慌てるラギィ。


「冗談でしょ?貴女、被害者の脳をなくしたの?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


妻の脳が消えたと聞いて夫が駆けつけ…激怒。


「マジ?なぜ妻の脳がなくなったンだ!そもそも、脳が消えたってどーゆーコトだ」

「現在、ココにいる警察のみなさんが調査中です」

「え。私?」


責任転嫁するワイズCEO。溜め息つくラギィ。


「…ホテルで奥さんに施術した人に心当たりはありませんか?」

「貴女には、もう何度も話した。私は、何も知らない。とにかく、遺志が尊重されるよう、一刻も早く妻の脳を見つけてくれ!」


怒りは収まらない。


「もし冷凍保存が出来なくなって、妻が未来に生き返らなかったら、どうしてくれる!全て警察の責任だ。私は警察を訴えてやる!」

「ええっ。何で?無くしたのは、死体保存のスタートアップの方ょ?」

「おいおい。アンブロシアの花言葉は"一縷の希み"なんだぜ。一緒に祈ろうょ」


夫の剣幕にタジタジのラギィに助け舟を出す僕。


「ご主人。私だってハミルの脳を見つけたいのは山々ょ。行方を案じてる。きっと"王家の谷"に墓泥棒が侵入したんだわ。いえ、強盗ょ。やっぱりコレは警察の捜査怠慢ナンだわ」

「そ、そんな…」

「ワイズ博士。僕が思うに、貴女は犯人を隠している。あるいは貴女が犯人そのものなのだ!」


完全にオロオロ状態に陥ったラギィをカバーし、口から出まかせを逝う僕。最も得意とする分野だ。


「私が犯人をかばう?私だって家族がいるのに、殺人など犯すワケないでしょ?」

「殺人現場から勝手に死体を運び出すのは、立派な犯罪だ。その時、家族のコトは考えなかったのか」

「アレは、非常に特殊な状況だったし、その後で警察の要求にも応じたわ」


ワイズCEOもおかしなコトを口走り出す。


「じゃ捜査に進展がある度に、御社が捜査妨害をし続けるのはなぜだ?」

「私が捜査妨害?私、ソンなコトをしてるの?」

「してるさ。先ず警察が保全スル現場から遺体を奪い去り、地方検事が引き渡すように命令しても脳だけは引き渡しを拒否。そして、脳が必要との令状が出た途端に今度は紛失したと主張スル。貴女は法を犯してる。犯人は貴女だ。ギルティ!」


完全に僕のペースだ。


「ま、待ってょテリィたん!私は、冷凍保存して欲しいと言うハミルの希望を叶えたいだけ。誰が殺したかなど知らないわ。お願い。強盗の捜査を進めて。何でも協力します」

「"王家の谷"に誰が潜入したかを調べルンだ」

「わかりました。監視カメラがあります」


ソレを早く逝え。エアリに肩を突かれる。


「テリィたん。もうチェックしてるから。夜中に"王家の谷"に侵入した墓泥棒が確認出来たわ。この映像を見て。タイムコードは昨夜の3時32分」


タブレットを渡され画像スタート。白黒画像だ。男の影が忍びよりハミル博士の脳の入った容器を持ち去る。


「誰だょコレ?暗くて見えないな」

「彼はね、ハミル教授の同僚にして友人ょ。はい、ココでストップ」

「ええっ。ハミルの脳を盗んだのは…」


絶妙なタイミングで画像が停止。


「…ボイル博士?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ボイル博士は、秋葉原ヒルズのタワマン2Fに住んでる。タワマンにも2Fってあるんだなと新鮮な驚きw


「秋葉原P.D.!秋葉原P.D.!」

「ボイル博士、ドアを開けて!」

「ガチャン!」


最後は、窓ガラスが割れる音だ。どうやら、博士はドアを開けるつもりはなさそうだ。

鍵を粘着榴弾で吹き飛ばし踏み込むと窓から低層階用の非常用シューターが伸びてるw


「シューターで逃げる気だ!」

「そんなコトわかってるわよ!続け!」

「あ、待て!」


ラギィ以下は、途中で結び目を作られたシューターの中で身動きが取れなくなる。

見ると、博士は恐らくレスタの脳の入った容器を片手に公開空地を猛ダッシュ中。


ソコへ舞い降りるムーンライトセレナーダー。


「ボイル・ホイル博士。お初にお目にかかりますが、レスタ・ハミル教授の頭部窃盗容疑で逮捕します」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


パーツ通り地下にあるSATO司令部。スタートアップ"王家の谷"のスクラブ女子が容器を開ける。


「OK。大丈夫そうょ。ありがとう、ムーンライトセレナーダー」

「良かったわ」

「しかし、死体の頭を盗むナンて、ナンて奴?」


その隣のテーブルでは、ボイル博士が頭を抱えている。ムーンライトセレナーダーが正面に座る。


「ムーンライトセレナーダー。私は、彼女を殺してナイのだ」

「なら、ナゼ脳を盗んだのですか?ホテルにオペ室を作ってハミル教授に施術をしたコトもわかっています。寿命を伸ばすコトとは、無関係の手術でしょう?博士が話す気がないのなら、SATOで脳を検査しますが」


溜め息をつき、メガネを外すボイル博士。


「1ヵ月前のコトだ。彼女は、私に頭痛を訴えた。MRIの結果、ステージ4のグリブラとわかった」

「脳腫瘍?」

「YES。治療不能で余命は数ヶ月」


悲しげに首を振るボイル博士。


「なぜ病院に行かなかったのですか?」

「彼女は、医療科学者として医学の限界を知っていた。だから、私のナノ粒子遺伝子療法に賭けたのだ」

「ナノ粒子遺伝子療法?」

「研究段階の腫瘍の治療法だ。未だ人に試せる段階じゃなかった。だが、彼女は私の…元カノだった。断れるワケがナイだろう」


元カノか。なら仕方がナイ←


「だから、ホテルに隠れてこっそりオペしたの?」

「YES。もし誰かに知られたら、私は、仕事も出資者も社会的な信用も、全てを失うだろう。病院のオペ室でヤルわけにはイカない。彼女は、夫には言わないと約束までしたんだ」


夫に内緒で元カレと約束?


「オペにかかる費用は、ランド・ラァムの口座からチョロまかして準備したのね?」

「YES。1ヵ月で5回の手術を行った」

「で。効果はあったの?」


顔を曇らせ首を横に振るボイル博士。


「彼女が何者かに殺される数日前、またMRI検査を受けさせた。すると…腫瘍は大きくなっていた。私の治療は、失敗したのだ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の"潜り酒場(スピークイージー)"。


「ハミル教授は、自分の余命を知り、研究を公開しようとしたンだ。きっと、誰かが研究を続けてくれるコトを願ってだな」

「エアリ達には、念のためにボイルのアリバイを確認スルように逝っておきました」

「…テリィたん」


何とスピアが御帰宅だ。何となくバツが悪いw


「どうした?何か問題でも?」

「もうワケがわからない。どうしてなの?」

「何が?」


スピアは、僕に食ってかかる。


「テリィたん。出版社からの手紙を新しく買ったスマホの待受にしてる」

「え。持ち込み原稿を没にされた時のレターか?良く知ってるな」

「なんで飾っていられるの?どーゆー神経?」


理由は簡単だ。


「やる気が湧くんだよ。あの後も20回位ボツにされて、ようやく初出版にこぎつけた。あの手紙は、僕が戦ったコトの証さ。あ、戦った証であって、負けた証じゃないぞ」

「でも、私が失敗したの同じコトでしょ?」

「違う。諦めたら、ソコで初めて失敗が確定スル。こーゆー結果の受け止め方は自分次第さ。そして、受け止め方次第で人生も変わって逝く。モチロン、上手く逝かないコトだって多い」


何かを考えているスピア。


「私、シン彼のシュリと上手くやりたいと思ってる。そのために頑張ってきた。でも、不合格ナンて…私の今までって何だったの?」

「ゆっくり考えろ。スピアなら大丈夫さ。いずれワカル。でも、ソレまでは考え続けなきゃ」


涙目で僕を睨むスピア。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜、正午(午前0時)過ぎにスピアはお出掛け。


「テリィ様、大丈夫?」

「あの年頃は、やっぱり難しいな」

「とことん悩む時間が必要です」


カウンターを挟みミユリさんと話す。ソコへ…


「ミユリ姉様。ボイル博士にはアリバイがありました。事件の朝、犯行時刻には大学の朝食会に出ていました」

「エアリ、ありがと。やっぱり彼は犯人じゃなかったようです、テリィ様」

「ミユリさん。被害者の脳を持ち歩けば、普通は犯人だょな?」


クスクス笑うミユリさん。するとモニターから超天才ルイナの声がスル。


「ミユリ姉様、あら?テリィたんもいたの?えっと、Dr.ボイルが見せてくれた、ハミル教授のMRI画像だけど、かなーり深刻ょ。あと数ヶ月で腫瘍が膨らんで脳が破壊されるトコロだった」

「とゆーコトは、ある意味、ハミル教授は殺されてラッキーだったのか。あ、名前を呼ぶ順がミユリさんと僕とで逆だけど」

「あら、どーして?ミユリ姉様にテリィたん」


あくまで名前を呼ぶ順番を変えないルイナ。超天才は意外と頑固だ。フン。可愛いぜ。


「死体の冷凍保存では、どーも脳が重要らしい。で、もしハミル教授が生きていたら、腫瘍が進化して脳は破壊され、冷凍保存は出来なくなる」

「え。とゆーコトは、彼女は殺されるコトにより、期せズして冷凍保存の希望がかなえられたワケですか?テリィ様」

「そうだょミユリさん。つまり、未来に生き返る可能性が出来たってコトさ。永遠に一緒。コレが殺人の動機だ」


カウンターの中で微笑むミユリさん。ヘドレ可愛い。


「2人の未来を見据えた犯罪…だったのか」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


SATO司令部。ドアを開けると中にはハミル教授の御主人がいる。


「SATO司令部までお越しいただき、ありがとうございます。ボイル博士からは、既に話を聞かれましたか?」

「はい…しかし、ムーンライトセレナーダーって、マジでいたんだな。マジでメイド服を着てルンだ…ところで、何の御用かな?」

万世橋(アキバポリス)が、奥さん殺害の新たな証拠を見つけました。そのコトについて、御主人の御意見を聞きたくて」


身構える夫。


「ほぉ。どんなコトでしょう?」

「学生に壊されたPCさ。SATOの技術班がダウンロード履歴を復元したら、冷凍保存の契約解除の書類が出て来た。奥さんが契約を解除スル理由は何かな?」

「さぁ何かの間違いでしょ」


ウソぶく夫。微かに狼狽。畳みかける僕。


「でも、ダウンロードしたのは確かだ。ホントに何も聞いてないの?ねぇ状況から考えると、自分の余命を知った奥さんは、このママ冷凍保存されるより、自分の脳を限界まで研究する方を望んだのでは?」

「だから、ハミル教授は自分の遺体の冷凍保存を諦めた。そして、貴方はソレに反対した」

「反対スルも何も。私は、妻が脳腫瘍だとは知らなかったのだ」


大袈裟な素振りで否定スル夫。


「いいえ。貴方は奥さんが脳腫瘍だと知っていた。だから、奥さんの脳が腫瘍で破壊される前に、冷凍保存スルために彼女を射殺した。そして、バッグを持ち去ったンだ」

「バカげてるわ!全部憶測でしかない」

「そうでもナイ。新たな証拠を見つけたとムーンライトセレナーダーが逝ったろ?主人公のセリフは、1つ1つ意味がアルから、ちゃんと聞かなきゃダメだ」


いや。実は主人公は僕ナンだが。


「モチロン、貴方は凶器を処分した。でも、奥さんの血がついたバッグが貴方の家から見つかったの。アパートの地下に隠されてた。奥さんの血がついたママで」


にらみつけるムーンライトセレナーダー。目から光線が飛びそうだ。

夫は完全に狼狽えて、口を半開きにスル。やがて、ユックリと微笑。


「アレは、私がプレゼントしたバッグだった。私達が婚約した時にね。現場に残すナンて出来なかった…妻は、元気がなかった。どうした?と聞いてもストレスのせいだと誤魔化すだけだ。しかし、何日か前に寝る支度をしていて、急に意識を失った。そこで初めて真実を聞かされた。良いか?彼女の脳は、既に腫瘍の圧迫を受けて理性を喪失していたのだ。だから、私が守った。私達2人の未来を。全ては私達が永遠に一緒にいるためだ。ソレは、いつも2人で夢見ていたコトだ」


熱く語る夫。その目は既に完全にイッちゃってるw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


事件は解決し、解散が決まった捜査本部。ラギィが背伸びしてホワイトボードから写真を外してる。


「ラギィ。君はどう思う?コレって激情型の犯罪だと思わないか?旦那を突き動かしたのは、愛か乱心か。どちらだと思う?」

「その2つの"分水嶺"は一体何処に…あ。ワイズ博士、コチラに書類があります」

「世話になったわね。警察には感謝してる。あ、テリィたんもいたの?」


今のは冗談か本心かw


「1番下にサインお願いします…コレで貴女の会社および従業員にかけられた容疑は、全て取り下げられます」

「この件は、全て忘れたいわ…あら?失礼します。また顧客が亡くなったみたいょ」


弁護士帯同で現れた"王家の谷"のワイズCEOのポケベルが鳴動。メッセージを見て怪訝な顔をスル。


「コレは…どーゆーコトかしら」

「何ですか?」

「亡くなった顧客は、この建物の中にいるわ」


思わズ顔を見合わせる僕とラギィ。同時に飛び出し地下の留置所へ急ぐ。

床に男が倒れており、傍らで看守が(ひざまず)き脈を取っている。首を横に振る。


「遅かったか!」

「テリィたん。右手の指輪」

「え。何?」


若い頃の夫婦の写真を胸に絶命しているのはハミル教授の夫。指輪の蓋が空いており、中は空っぽだ。


「自殺?恐らく青酸カリね」


駆けつけるワイズCEO。絶句スル。代理人のロゼル弁護士が事務的に告知スル。


「ラギィ警部。遺体は、弊社に引き渡してもらえるだろうか?」

「YES…もちろん」

「依頼人に代わり、貴官に感謝スル」


セピア色の写真の中で、夫婦は幸せそうに微笑む。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


雲が流れる朧月夜。満艦飾に輝く秋葉原ヒルズの眼下に広がる電気街の何処か。

銀色のシリンダーが林のように並ぶ"王家の谷"を訪れたのは僕とミユリさん。


「また、あの夫婦が再会出来ると良いな。ソレは、1000年後だって良いンだ…でも、案外、旦那はソレを望んでなかったりして」

「またテリィ様はソンなコトを…なんだって可能なのです。愛さえあれば」

「ミユリさん。マジでそう思ってるの?」


彼女の顔を覗き込む。あ、今宵もヘドレだ。


「だって、いつだって"奇跡"はラブストーリーの味方ですから」

そうココに願うょ(SoSayWeAll)

「私も」


銀のシリンダーの前に(たたず)む。中で目を見開く夫の顔は、やがて噴き出した蒸気に隠れて見えなくなる。



おしまい

今回は、海外ドラマによく登場する"死体の冷凍保存"をテーマに、古代エジプト以来の来世願望に立脚するスタートアップとその周辺を描いてみました。来世でもまためぐり会いたいと願う夫婦の奇行に、捜査は難航します。全ては現世限りで、と願う作者の思いも虚しく、来世の幸せを願う登場人物を描写スルのは、意外に大変でした笑。


さらに、主人公の元カノの海外留学失敗騒ぎなどもサイドストーリー的に描いてみました。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、推し寄せるインバウンドに翻弄され、日毎にヲタク色を喪失して逝く秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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