マーサット社 5号棟 E605会議室 『会議中』
「――というわけで、4課からこの四人をお願いしたいんです、青山さん」
「んー……」
と技術4課の青山課長は、私が示したタブレットの表示を見ながら思案していたが、四秒ぐらいで笑顔に戻った。
「まあ、今なら業務も一段落していますからね。承知しました。調整しておきます」
「ご協力感謝」
「せやけど、おもろそうな話やないですか」
と、呼んでもいないのにこの場に同席している技術部長のクマールが笑った。日本各地の方言で会話する趣味があるが、生まれも育ちもインド人(タミル人)なので、全てがエセ方言だ。
「いや、面白いか面白くないかで言えば、後者かな。面白半分で始めたら、急に面白くない話になっちゃったんです」
「おもろいと思いまっせ。アホな政治家を一掃して、ウチのシステムに置き換えてしもたら良えんですわ。税金の無駄遣いが減るんちゃいます?」
「それを実現するのにどれだけ法律をいじらなきゃいけないと思います?それ以前に、政治家に取って代わるのは無理でしょう。せいぜい政治家の使う道具にできるかどうかというところで」
「国民にデジタル化を強いる割に自分達はさっぱりな政治家に、そんな道具が使いこなせますかね?」
「彼らがデジタル化に進まないのは、そうすると色々ごまかせなくなるからです。リテラシーの問題ではありません」
「せや。リテラシーの問題ちゃう。連中かて、PCで裏帳簿つけとくぐらいしますやん」
「帳簿と言えば裏なの?」
「それが政治家っちゅうもんですわ」
「それが先入観っていうもんでしょう」
「一人冷静な立場のようなご発言ですが、先ほどの『ごまかせなくなるから』ってのも先入観では?」
「はっはっは」
と三人して笑って、この場は解散。