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異世界人受付カウンター  作者: 唐科静玖
最終章 復興祭
40/48

39.検証

≪エイデアス 530/5/15(水)17:15≫

≪日本 2020/8/15(土)8:00≫


 コルヴァの町は一ヶ月前までのネズミすら住まないような鬱屈とした雰囲気から一変し、多くの人が行き交うようになっていた。祭りの噂を聞き付けて一稼ぎを狙っている商人を狙っている中心に、楽しげな雰囲気が出来上がりつつあるのだ。

 当然ギルドも大賑わいだ。長らく得られなかったコルヴァ周辺のダンジョンでしか得られなかった魔物の素材が高騰しているため、値下がりする前に稼ごうとする冒険者が夕方の素材買取窓口に列を成している。

 ギルド職員は十分に居るものの、受付窓口に入れる受付孃の人数は限られている。そして、彼女たちはかつてコルヴァに配属されていた精鋭ではなく、冒険者数の少ない比較的のほほんとした地方ギルドからの寄せ集めだ。突然の多忙さに目を回しながら冒険者に応対していて、見ていると気の毒になりそうなほどだ。

 そんな状況ながら、冒険者が一人も並んでいない受付カウンターが一つだけあった。入り口から見て一番左にその受付の上部には、『異世界人受付カウンター』の文字が書かれたプレートが掛けられている。アンナが施したものがそのまま残されている形だ。

 当の来訪者本人らはその特別扱いに半ば困っているものの、国からのお達しがあったのだから仕方がない。どれだけ忙しくても、来訪者用の受付は空けておかなければならないのだ。町の復興の象徴として、しばらく或いは半永久的にこの異世界人受付カウンターは残ることになる。

 そしてたった今、その無人の受付カウンターに向かう一人の少女が現れた。その美しい顔立ちに、横に並んでいた冒険者たちはたちまち目を奪われる。


「す、すみませぇん……」


 少女はその視線を、列を無視するかのような自分勝手さを咎められているのだと勘違いし、何度も頭を下げながら受付に向かい……。


「っ痛!」


 受付のテーブルに肘をぶつけた。よそ見のしすぎが祟ったのだろう。


「何してるのよユウ。無事な顔を見れると思ったら、泣きそうな顔じゃない」

「す、すみません。多くの人に見られるのはまだ慣れていなくて……」


 ユウの来訪に気付いたアンナが奥から受付にやってくると、呆れた顔を向けた。しかし、呆れ顔でも安堵の色が隠しきれていない。

 トシシゲが七天山家に突撃訪問した時のことはハピコから聞いており無事なのは分かっていたものの、直接自分の目でユウが元気なのを確認できたことで心の底から安心できたのだ。


 その後、アンナがどれだけ心配したかをユウに吐き出して、ユウが申し訳なさそうながらも笑って返しているうちに、トシシゲもやってきた。ユウの転移の瞬間を龍鵬と共に確認し、異世界の存在を示してきたところだ。


「龍の奴も我々の身に起きている現象を完全に信じたようだ。それで、同意を得なければならないのは後はアンナさんだけだ。アンナさんもリョウタとハピコから話は聞いていると思うが、ユウのエイデアス移住の件、アンナさんから見て現実的か?」

「まあ、聞いてる話だと、確かにこっちの世界の方がユウの力への理解は得られるでしょうね。コルヴァなら空き家もたくさんあるから住む場所も困らないし。…けれど、何だか大袈裟な話よねえ。世界がユウを求めて滅亡の危機に。その回避のために張本人が異世界に移住を希望だなんて」


 受け入れについては問題無さそうにするアンナだが、聖女であるユウが世界を滅ぼす点にはピンと来ていない。


「まあ、私はそっちの世界を知らないし、必要性については両方の世界を知るあなたたちの判断に従うわ」


 それがアンナの最終決定だった。これで、後の課題は《手描きされた異界召門》での人間の召喚が可能かどうかの一点のみとなった。



 アンナ、ユウ、トシシゲはハピコのアトリエへと向かった。既にリョウタとハピコはそこで待機しており、そこに合流するためだ。


「ユウはわしの原作者にでもなるべきなのじゃ」


 机に魔法紙を広げながら神妙な面持ちでハピコが言った言葉に、皆が疑問符を浮かべる。


「原作者?どうして急にそんな話が出てくるんだよ」

「じゃって、いくらわしの魔法がミラクルな力を持っておるからと言って、生き物に使うのを実行しようとは普通思わんのじゃ。瞬間移動系の超能力は壁と同化したり内臓を置き去りにしたり気を違わせてしもうたりと何かと惨いオチになりがちじゃからの。それを人間、それどころか自分に使わせるなど、常人の発想とは思えぬから、その発想力を生かして一筆執るべきじゃろう。編集さんもそう思うじゃろう?」

「いや分かんねーし、俺は編集になった覚えはねーよ!」


 リョウタのツッコミに、ハピコは気持ち良さそうに頷いた。いつものおふざけのつもりらしい。

 しかし、ハピコの言うことも戯れとして蔑ろに扱うことはできない。


「原作者云々はどうでもいいとして、予期しない悪影響が出る可能性は考えられるから、ハピコの魔法を人間に使えるのかはよく検証しなければならない。一先ずは動物実験からだ」

「うむ、準備はもう出来ておる。東京の川辺でリョウタに捕まえて来てもらったバッタ、カエル、カナヘビ、小魚、そしてペットショップで買ってきたハムスター。全てに個体を識別できる印を付けて、魔法紙にそのまま描いたのじゃ。後は魔力を通すだけじゃな」


 ハピコは得意気に机の上に広げた紙を見せびらかす。そして、皿に盛られた薄茶色のヒョロっとした細切れの食べ物を口に運んだ。


「それは……ミミガーか?それもハピコが日本から召喚したものか?」

「そうじゃよ~。作業のお供にちょうど良いじゃろ?ほれ、皆も食べるがよいぞ」


 ハピコが順に皿を差し出し、ユウもリョウタもトシシゲも遠慮なく摘まんでいった。それに倣いアンナも一つまみ手に取ったものの、それが一体何なのか分からず戸惑いを見せる。


「えっと、これは何なの?」

「あっ、ミミガーはこっちの世界には無いんじゃの。豚の耳に甘辛い味付けをしたおつまみじゃよ~」

「豚の耳!?あなたたちそんなものまで食べるの!?もしかして、食事情が結構厳しい世界なのかしら?」

「いやいや、むしろ食の豊かさへのある種の執念めいたものが、あらゆるものを食材にしようとはたらくのだ」

「ちなみにミミガーにはコラーゲンが多く含まれるので、美容に良いそうですよ」

「てか、豚って哺乳類だし、ミミガーが日本から召喚できるってのは幸先良いんじゃねえか?」

「確かに!そこに気付くとは凄いですリョウタさん!」


 ハピコが何の気なしに召喚したミミガーは、検証を開始する前から有用な情報となり、特にユウは両手を挙げて喜びを表した。

 しかし……。各員がミミガーを咥えながらのシュールな光景の中行われた検証の結果は、芳しく無いものとなった。

 最初にハピコが魔力を通したのはバッタの絵。バッタは召喚されたが、動かなかった。その後のカエル、カナヘビについても同様で、これ以上は試しても失敗の可能性が高いという結論になった。


「これ、全部死んでるよな?」

「うう、何でじゃ……。日本で最後に見たときは元気じゃったというのに」

「仮死状態、という可能性は無いか?どれも今にも動き出しそうな躍動感を感じるが」

「それなら回復魔法が効きそうですが、効果がありませんね。まるで魂を抜き取られたかのような、そんな雰囲気を感じます。私のせいで、こんな目に会わせてしまうだなんて……」


 あれこれ意見を出し合うが、ハピコの魔法で生物を召喚すると死んでしまうという目の前にある結果しか見えてこない。


「うーん、あなたたちも世界を渡っている訳だし、絶対に出来ない訳ではないと思うのだけれど……。そうね、あんまり頼りすぎたくないけれど、事が重大だし、有識者に聞いてみましょう」


 アンナはそう言って、外へと出ていった。


 それから30分ほど経ち、リョウタが焦れたように口を開いた。


「アンナさん、遅くね?」

「まあまあ、野暮な事を言うでない。有識者というのは恐らくエヴァンさんの事じゃし、二人きりの時間を楽しんでおるんじゃろう」

「あれ、エヴァンさんがアンナさんのことを好いているのは分かりますが、アンナさんもエヴァンさんのことを?」

「少なくとも一番好きな人なのは間違いないじゃろうて。じゃが、アンナさんがそもそも恋愛を分かっとらんようじゃから、そこをどう気付かせるかが勝負の別れ道じゃの」


 ハピコはネタ探しの為にアンナとエヴァンをチラチラ観察しており、そのような見解を持つようになった。好感度がマックスなのは明らか。しかし本人は無自覚で、エヴァンからの好意にも気付いていない状態。それに気付いた時、アンナの恋心がどのように花開くのか、ハピコはうずうずしながらその時を待ち焦がれている。

 まあ流石に復興祭の決闘の場に居合わせれば全てを悟るだろうから結末は近い、そう結論付けられたところにアンナが戻ってくる。


「ごめん、遅くなったわ」

「お帰り、別に構わな……、む?」

「誰だ?」

「誰でしょう?」

「誰なのじゃ?」


 てっきりエヴァンを連れてくるとばかり思っていたのに、アンナの後ろに続いて入って来たのは、どことなく浮世離れした存在感を放つ茶髪の少女だった。


「初めまして、日本の皆さん。私はキカイチャンです。よろしくお願いします」

「それだけじゃ分からないでしょ。えっと、私から説明するわ。彼女はキカイ。精霊解崩で壊れた会長の精霊の器を修復した、六掟神仕精霊とかいうすごいらしい精霊の内の一人よ」

「あー、そういえば前にそんな事があったってアンナさんが言ってたな」


 アンナの説明により、やっと正体が判明した。しかし、そこから更なる疑問が湧いてくる。 


「えっ、普通にエヴァンさんから離れちゃってますけど、精霊って契約者から離れても大丈夫なんですか?」

「私の宿主の器はとっくに完全回復しているので問題ありません。あまり長く離れない方がいいのは確かですが」

「私は会長を呼びに行ったのだけれど、事情を説明していたら突然この子が会長から飛び出してきたのよ。私も驚いたわ。契約した精霊が契約者から分離するなんて。でもまあ、何か有用な情報を持ってるみたいだし、忙しい会長の代わりに来てもらったわけ」

「まるで私が暇みたいに言いますね。まあ、普段は宿主の五感を通して外の世界を観測するくらいしかやることがないので暇ですが。こうして実体化しているのも疲れるので、さっさと済ませましょう」


 キカイはユウたち四人の方へ駆け寄り、ふむふむと頷きながら順にその胸に手を当てていった。

 それが終わると、トシシゲに体を向けた。


「あなたですね。クロトールの保護を受けているのは」

「クロトールの保護?一体なんだそれは?」

「私と同じ六掟神仕精霊で木属性を司っているのがクロトールです。長い緑色の髪をした、人の心を覗き見るのが好きな悪趣味な奴です。どこかで会った覚えがあるのでは?」

「それは……。悪趣味とは思わなかったが、緑色の髪の女性には最近出会ったな。私が初めてこの世界に来た時の直前に不意に現れたのだ。そういえば、私がこの世界に送られたのは彼女に触れられた瞬間だったな。それから色々ありすぎて忘れていたが」


 トシシゲはその時のことを少しずつ思い出していった。会合の会場で突然現れたとしか思えない位置に座っていて、他の参加者の心を見透かしたような言動をした女性。彼女は今目の前に居るキカイと同じ神気のようなものを纏っていた気がする。


「やはりそうなのですね。ならば、今あなたたちが悩んでいる問題をすぐに解決できますよ」

「え、ちょっと話が進むのが早すぎない?聞きたいことが色々あるのだけれど。六掟神仕精霊の目的って何?どうして二つの世界を知っているの?それどころか、その両方の世界に居るってどういうこと?」

「火の光の巫女、貴女を相手にすると言ってはいけないことまで言わされそうになるので、相手しません」

「うっ……」


 3つの質問を悪用して色々話を引き出したのを根に持たれていた。少しでも情報が必要だったとはいえ、アンナがキカイを良いように扱ったのは事実だ。


(キカイって変な子だけれど、会長を助けてくれたり今もユウを助ける為に率先して動いてくれたりで、すごく良い子なのよね)


 そう思うと下手に機嫌を損ねるのは愚策であり、アンナは口をつぐむしかない。

 ユウとリョウタとハピコが、一体何をしたんだろう、という視線をアンナに向ける中、トシシゲとキカイは視線を交差させる。


「では話を戻そうか。私のクロトールの加護とやらと、ユウの異世界召喚、一体どのような関係があるのだ?」

「まず大前提に、生物が世界を渡るには、魂の保護が必要となります。保護無しに無理矢理生物が世界を渡ろうとすれば、それらのように転移なら、途中に魂の崩れた脱け殻となり果ててしまうのです」


 キカイはテーブルの上に転がっているバッタ達を指した。


「やはり、魂を抜き取られたように感じたのは正解なんですね。あれ?ですが、私達は問題なく何度も世界を行き来していますよね?」

「それは、特別製の身分証のお陰ですね。それには魂保護の機能が備わっています。でなければ、その身分証はただの無駄に手の込んだ人殺しカードになってしまいますから」

「ふむ?では、身分証に既にその機能があるのに、クロトールは私に更なる保護を施したのか?」

「はい。魂には、歳を取るにつれて脆く崩れやすくなる性質がありますから、念には念を重ねたのでしょう。何せ、木属性を司るクロトールにとって、あらゆる物象の固定化は得意中の得意分野ですから」

「せ、精霊にすら年寄り扱いされたのか……。まあこの中ではぶっちぎりで歳を食っているのは事実なのだからいいとしよう。それで、どうやってすぐに問題を解決する?」

「簡単な話です。貴方のクロトールの保護を、そちらの聖女さんに移せばいいのです」

「移す?そんなことができるんですね。……えっ、でも、そんなことをしたらトシシゲさんが……」

「若者であれば何の問題も無いのですが、計算中……。40から50歳の人間がクロトールの保護無しに身分証を使った場合の魂崩壊率は、29.35332%です」


 その数字を聞いて、誰かがゴクリと息を飲んだ。人が死ぬ確率としては余りにも大きい数字だ。そして、自然と視線はトシシゲへと集まる。

 トシシゲも全てを理解し、少しだけ目を瞑って気持ちを整えた。


「つまりは、私がその失敗のリスクを負いさえすれば、ユウを無事に召喚できるというわけだな?」

「そういうことです。ふふっ、何だか試練らしくなってきましたね。光の巫女以外に試練を課すのもまた一興ですね。さて、やるなら今すぐにでも加護を移せますが、どうしますか?」

「どうするかだと?そんなの決まっている」


 人を試すのを楽しむかのようなキカイ。それに対してトシシゲは、ふっ、と口元に笑みを浮かべ。


「今すぐ加護を移してくれ。元々は私が七天山家に突撃したのが原因でこのような話になったのだから、リスクを負うのも当然の責務だ。何、3割で死ぬ程度、少し危険な冒険をするのと変わらん」


 堂々と答えたのだった。


「そんな、いけません!私の為に命を賭けるだなんて。きっと別の方法があるはずです!」

「他の方法を探す暇なんてないだろう。龍鵬の前で大見得を切ってしまっているからな。命惜しさに延期になんてすれば、あいつに見限られてしまう。もし帰還に失敗したときは、ユウからあいつに説明や後処理を頼んでもらうことになるのだけは理解を願いたいが」

「決まったようですね。では、クロトールの加護は今から聖女へと移します」


 トシシゲの意志が固いことを確認したキカイが、その手をトシシゲへとかざした。


「トシシゲさん、すげえな……。俺がトシシゲさんの立場だったら、もっとビビってたと思うぜ」

「そうね。何はともあれ、後はトシシゲさんの運次第。幸運のおまじないでもしてあげようかしら。って、どうしたのハピコ?こういう場面はハピコが一番好きそうなのに、渋そうな顔して」

「む~ん、確かに漫画のネタにはなりそうじゃが……」


 アンナとリョウタとハピコは、一連のやり取りを見守っていた。

 ハピコは目を細めてキカイを凝視する。その視線には明らかな疑いが込められていた。


「何よ、疑ってるの?キカイは会長を助けてくれたし、神に作られたみたいなことを言ってたから、悪い子ではないはずよ」

「悪い子とは思っておらぬよ。じゃが、キカイちゃんの土属性の固有性質はなんじゃったかの?」

「確か、『防御』だったよな。それと今の状況に何の関係があるんだ?」

「ふむ。ならば、これは『茶番』じゃな。きっとキカイちゃんは次に『加護なら私も使えますが』的なことを言うのじゃ」

「ええ?まさか」


 アンナはハピコの言うことをいぶかしみながらも、キカイの動きを注視する。

 キカイは手をユウの胸へとスライドさせた。それはただスライドさせただけで、何かを移しているようには見えなかった。


「はい、これで大丈夫でしょう」

「終わったのか?特に何か変わった気はしないが」

「聖女さんには私の加護を付与しました。クロトールのお気に入りから加護を勝手に移す訳にはいかないので」

「え、キカイさんも魂の保護をできるんですか?」

「ようは魂の崩壊を防げれば良いので、私であれば幸いクロトールの固定と似たようなことができます」

「なんだ、では最初からリスクなどに無かったというわけか。無駄に神経を使わされた気分だな」

「いえ、貴方がどこかで躊躇えば、私は加護を授ける気はありませんでしたよ。最後まで意志を揺るがさなかった貴方への称賛の意味が大きいので。クロトールに気に入られるだけのことはありますね」


 隠していたことを暴露したキカイに、トシシゲは、やられた、という風に肩を竦めて見せただが、裏腹にどこか満足そうである。腹の探り合いなど日常茶飯事であるトシシゲにとって、この程度の騙し討ちはなんの痛痒にもならなかった。


「それ見い。わしの言った通りじゃろ?これくらい読めんようでは、わしの編集は任せられぬよ、リョウタ」

「だから編集になる気は、って、そうじゃなくて。せっかくトシシゲさんがカッコつけてたのに……」

「何だか台無しね……。ハピコが茶番とか言ってしまったせいで」


 温度差の隔たりを感じながら、後方組も何とかなったならよし、と一息ついていた。


(それにしても……)


 アンナは皿からミミガーを摘まんで口に運んだ。最初はゲテモノを見るようで乗り気でなかったのに、どうやら気に入ったらしい。


(結局、キカイって何者なのかしら?すごい精霊なのは分かるけれど、まだまだ謎だらけよね。後、今分かったのは彼女の仲間がユウたちの転移に関わっている点かしら)


 アンナは暫し考え込むが、どれも憶測の域を出ないので気持ちを切り替えることにした。

 キカイに聞いても答えてくれないだろうし、今のところ六掟神仕精霊が関わって悪いことは起きていない。むしろ良いことづくめだ。ならばありがたくその影響を受け入れておけばいい。

 火の光の巫女などという大層な役目を押し付けられたのだけはちょっと気に入らない点だったが。

 


 





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