17.魔法と精霊
ステータスの確認の次は、各自の使える魔法の確認だ。
教会内で魔法が暴発しては大変なため、一行は教会の外にある広場へと出た。日が沈みかけており辺りは夕焼け色に染まっている。
「ま・ほ・う!ま・ほ・う!早く使い方を教えておくれ~」
「待ちなさいな。どこかの聖女様みたいに暴発させてとんでもない事態にされると大変なんだから」
「あ、あの時は本当にすみませんでした……」
ユウを揶揄するアンナの言葉は半分は冗談だが、半分は本音だ。ユウの力は死者の魂を救済するという生きている者には無害なものだったから良かったが、その効果はとてつもなかった。理力の低い画家のハピコはまだしも、攻撃的な魔法を使えるであろう冒険者のリョウタやトシシゲの場合、暴発は甚大な被害をもたらしかねない。
「暴発って、魔法を使うのって結構簡単なのか?ユウは何も教えられ無くても使えたんだろ?」
「どうなんでしょう?私の場合は家がちょっと特殊ですし、使えたのはその関係かもしれません」
「そうね、別に難しいことはないけれど、教えられずにというのはまず無理ね。魔法を使うには、まず『心に自分が何ができるかを問い掛ける』の。そうすると、使える魔法のイメージが心の底から返ってくるわ。多くの魔法は、その心のイメージに魂から魔力を取り出すイメージを重ねることで使えるの」
「抽象的な概念ばかりだな。魂、と言われてもなんだかよく分からないが、心臓でも思い浮かべれば良いのか?」
「それで良いわ。魂は『生物を生たらしめるもの』、生物主観に言い換えれば『自分が生きている事象そのもの』だから、自分の生を心臓でイメージしやすいならそれで大丈夫よ。注意して欲しいのは、今はまだ魔法を安定させる精霊と契約していないから、魔法を使ってはダメってこと。その為には、逆に自分の生をイメージせずに、心に自分にできることを問うだけにすればいいわ」
アンナはリョウタとトシシゲの質問に答えながら、魔法の使い方を説明していった。ユウたちはそれを聞き終えると、それぞれ自分の心に意識を集中させ始めた。
「心よ、心~、わしの魔法はなんじゃろか~♪」
一名、集中をまるで感じられないテンションの者がいるのはさておき。
魔法は、15歳になって精霊と契約しさえすれば誰でも使うことができる、というのがこの世界での常識だ。
ユウたちが魔法のない世界の生まれというのが懸念点ではあったが、実際ユウがこの世界に来たときに魔法を使って見せたのだから、他の面々も問題なく使えるだろうとアンナは予想していた。そして、その予想は的確だった。
「おお、自分では考えたこともないイメージが勝手に心に浮かんだぞ」
「あら、トシシゲさん早いわね。ここで手こずる人も結構居るのに」
「年の功で物事のやり方を知っているだけだ。だが、この魔法はよく分からんな。てっきり木を操る魔法を使えるものだと思っていたが、『敵の攻撃先を固定する』などという木に関係のない力のようだな」
最も早く魔法を知るコツを掴んだトシシゲは、その性能に疑問を持つ。
しかし、それはアンナが容易に答えれる疑問だった。
「それは、木属性が持つ固有性質の『固定』由来の魔法ね。各属性には固有性質と呼ばれる属性特有の性質があるの。土属性は『防御』、火属性は『攻撃』、水属性は『流動』、木属性は『固定』、雷属性は『促進』、聖属性は『回帰』の固有性質があって、それが魔法の性能として現れることがあるの」
それを聞いてトシシゲは、ふぅむ、と息を吐きながらアンナの説明を咀嚼する。
「なるほど、木属性と言ってもただ単に木に関わる魔法しか使えないわけではないのか。しかし、この魔法はどうなんだ、強いのか?」
「敵のターゲットを自身に誘導できるから、最高の前衛魔法よ。冒険者は発現する魔法の種類が多いから当たり外れの幅も大きいけれど、実用性に溢れた大当たりね」
「おお、大当たりなのか!ふふふ……、前衛というのも縁起が良い。老いてそろそろ引退時を考えねばと考えていたが、私もまだまだ前線で戦えるということだな!」
「え、えっと、何の話?まあ、理力が高いと使える魔法の数も多くなる傾向があるから、トシシゲさんは他にも魔法が使えないか探ってみて?」
不気味に笑うトシシゲに若干引きつつ、アンナは軽く流すことに決めた。
「あの、私もイメージできました。この間の祈りで魂を救済するものと、怪我の回復ができるみたいです」
トシシゲの魔法の分析が終わると、代わってユウが口を開いた。
「なるほど、ユウはザ・聖職者って感じね。聖女の力なんて記録にもほとんど残ってないから何が飛び出すか分からなくて怖かったけど、思いのほかシンプルで良かったわ」
「なんだか地味みたいですね……。戦う力でも無さそうですし」
「そうは言っても、そもそも聖属性自体が希少で、聖属性の回帰由来の回復能力はどこでも重宝されるのよ。後、アンデッドやレイスには祈りの力が特効だから、戦えないこともないわよ。ていうかユウ、戦いたいの?」
「戦いたいというか、冒険がしてみたい感じかもです。お父様の目の届かない所で伸び伸びと活動する機会なんて、これまで全くと言っていいほどありませんでしたから」
積極的に戦いたがる聖女ってどうなの、とツッコもうかと思ったが、理由を聞いてアンナはその言葉を喉の奥に引っ込めた。
「そう……。それなら仕方ないわね。大冒険者のトシシゲさんが居れば冒険者でなくてもダンジョンとかにも行けるし、ユウの望みもきっと叶うわ」
「はい!私、皆さんと冒険できたらすごく嬉しいです!」
この面々の中でも最も苛酷な人生を歩んできたユウが、心の底から笑顔を浮かべる。その事実だけで、アンナは細かいことはどうでもいいと思えてくる。
そして、まだ魔法が判明していない二人の方を向く。リョウタは目を瞑ったまま首を傾げており、ハピコは難しそうな顔をしてうんうん唸っていた。
「リョウタ、難航してる感じかしら?」
自分が使える魔法を知るのは難しいことではないが、心に関わることである以上個人差は存在する。上手くいっていないのならアドバイスをしようと、アンナはリョウタに声を掛けた。
「いやー、できてるのかできてないのか分からねえ感じなんだよなー」
「何、その煮え切らない感じ?何かイメージは浮かんでるの?」
「ああ、だけど、そのイメージっぽい奴が野球、というか『ボールを投げる』って奴で、これだとただ俺の得意なことが連想されてるだけな気がするんだよ」
「あー、そういうこと。それなら多分それがリョウタの魔法なのよ」
リョウタは上手くいかないことが気恥ずかしくて頭をポリポリと掻く。だが、アンナは合点がいったという風に手をパンッと合わせた。
「冒険者は発現する魔法の種類が多いってさっきも言ったけれど、その中のどれが選ばれるかは完全にランダムなわけじゃなくて、個人の資質や願望によって定まることがあるの。だから、リョウタのボールを投げる技術が魔法にも反映されたんだと思うわ」
「マジかあ、そこまで評価されると照れるじゃん。って、照れてる場合じゃねえ!なんだよこの魔法、全然ファンタジー感ないしクッソ弱そうじゃねえか!職業が地味なら魔法も地味なのかよぉ……!」
ボールを投げるなんて魔法を使わなくてもできる。そんな分かり切った事実があることに、リョウタは悲嘆に暮れる。
「うーん、確かにその魔法はこの世界ではハズレ扱いされてるわね。魔力を使って正確に速く投擲ができる、それだけだから、遠距離攻撃としては威力の高い弓や属性攻撃魔法の下位互換と言われてるわ」
「やっぱそうなのか……。くそ、こんなことなら野球じゃなくて弓道とかやっときゃよかったなあ」
「待って、嘆くのはまだ早いわよ。これもさっき言ったことだけれど、理力が高いと使える魔法が多くなるの。それに、下位魔法が強力な上位魔法に分岐していることもあるから、諦めずに他の魔法も深く探ってみて。さっきまでの迷いがなくなったのなら、もっと鮮明にイメージが浮かんでくるはずよ」
「そういうもんなのか!わ、分かった!頼む、俺の心!お前はもっとやれるはずだ!俺にできることを他にも教えてくれ!」
自分の心に問うのが苦手で、後々に強力な魔法を使えることが判明した、なんてことはこの世界ではよくある話だ。そして、理力が紫ともなれば、使える魔法が下位魔法しかないとは考えにくい。だから、アンナは落ち着いてアドバイスをし、気落ちするリョウタを励ました。
そして、これで最後とハピコの方に向く。ハピコもリョウタと同じように魔法のイメージに難航しているのかと思い、声を掛けようとするが……。
「ふっふっふ……。わしはこの力を、『手描きされた異界召門』と名付けよう」
己の番を待ち望んでいたかのように、妙に格好つけたポーズを取りながら、ハピコはそのように呟いた。
「な、何?さっきまで上手くいってない感じで唸ってたのに、急に自信有り気になって。魔法のイメージが浮かばなかったんじゃないの?」
「それしきのこと、とうの前にできておったのじゃ。イメージのままじゃとふわふわしておってパッとせんから、名前を付けるのに手間取っておったがの。そして!『手描きされた異界召門』の権能は、『絵に描いた異世界の物象を召喚する』というものだったのじゃ!どうじゃ、すごかろ?」
ハピコが妙なポーズで流し目を送ってくるのは気になるが、その魔法の内容を聞いてアンナも流石に驚きを隠せない。
「異世界の物象を召喚する……。それってつまり、あなたたちの世界から物を召喚できるってこと!?」
「左様なのじゃ。そして、わしらの世界にはこの世界より遥かに進んだ文明の利器がごまんとある。それらを召喚すれば……。わしのチート異世界ライフの始まりじゃ!」
「それは確かにすごいわね……。そんな魔法、当然だけれど聞いたことがないし、ハピコ限定の理外魔法だと思うわ」
「わし限定!素晴らしい響きなのじゃ!わしだけ特別な魔法を使えてしまってすまんの、皆の者~」
理力の絶望的な低さに嘆いていたハピコの姿はもうどこにもない。それよりも、自分しか使えない魔法、その響きに酔いしれていた。
「……ハピコの魔法が未知数過ぎて怖いけれど、まあこれで全員、魔法の確認方法は分かったわね。後は精霊と契約すればあなたたちはこの世界でやっていけると思うのだけれど……」
「アンナさんは精霊精霊って何回も言ってるけど、全然ピンと来ねえな」
「うむ、ファンタジー作品ではよくある概念だが、私たちの世界では現実に存在するものではなかったからな。アンナさん、説明を頼めるか?」
話が進みそうなことを察知したリョウタとトシシゲは更なる魔法の模索を止め、精霊に対する印象を口にする。
「あなたたちの精霊の知識は0と言っていいレベルってことね。なら説明は必要だけれど……、ちょっと待ってね」
アンナはしばし目を瞑って、何から説明するべきか考える。この世界に生きる人間にとって精霊とは、幼い子供ですらある程度の知識を持っているものであり、0から説明をする機会などあり得なかった。
(こんな時にエヴァン会長が居たら、淀みなくスマートに必要な説明をしてくれたのでしょうね。って、すぐに会長を頼る思考になるのはダメだわ。今は私自身でなんとかしないといけないのだから)
苦悩しながら、アンナはエヴァンのことをふと思い出す。生徒会がどのような問題に直面しても、瞬時に解決策を見出だし実行してきたエヴァンであれば、これくらい朝飯前だろう、と。
しかし、仮にもエヴァン同じ生徒会に所属しておきながら、この程度の悩みも自己解決できないとなれば、生徒会の元会計として恥である、とも思う。アンナはそうして最も頼りになる人の姿を思い浮かべながら、何となくすぐったい気持ちになりつつも、説明を始める。
「えっとね、精霊というのは、この世の生命を循環させる、『法則実体』だと定義されているわ」
「法則実体?また聞き慣れない言葉ですね」
「そこはあまり難しく考える必要はないわ。法則は本来は目には見えないものだけれど、精霊はその存在を活性化させることで目に見える形として現れるの。だから法則実体。実体化した精霊は微弱ながら生物と意思疎通ができるようになって、その延長上の『契約』という形で、人間は精霊を身に宿して魔法発動の補助を頼むことができるのよ」
「なるほどのぅ……。それで、肝心の精霊さんは一体どこに居るのじゃ?やはり秘境にある精霊の泉に行かなければならぬのかの?」
「何よその勝手なイメージ?秘境何かに行かなくても精霊自体は割とその辺にいるわよ。ただ、ちょっと面倒な点もあって……。精霊の分布は地・海・天の三界に分けることができて、それぞれ地の精霊・海の精霊・天の精霊と呼ばれているわ。地の精霊は『肉体』、海の精霊は『心』、天の精霊は『魂』を司っていて、それが生命の循環の話に繋がるわけだけれど、その点は今は割愛するとして。で、ここからが問題なのよ……」
アンナは一度話を止め、ユウ・リョウタ・トシシゲの三人にゆっくり視線を動かしてから再び説明を始める。
「……精霊の力には個体差があって、人間と契約する際には精霊の力の強さと人間の理力が釣り合っている必要があるの。当然力の強い上位精霊の方が希少で、理力の低いハピコは良いけれど、ユウとリョウタとトシシゲさんは理力がすごく高いから、その希少な上位精霊を探さないといけないのよ」
「ふむ……。ちなみに、希少とはどれくらいだ?」
「2,3か月はそれぞれの分布場所に足繫く通って精霊に呼びかけなければいけないレベルね。後、それぞれの精霊が管轄する属性にも差があって、地の精霊は土と火、海の精霊は水と木、天の精霊は雷と聖属性だから、見事に3人ともバラバラの場所に精霊探しをしに行かないといけないのよねぇ……」
「マジかよ、理力が高いのも良いことばっかりじゃねえんだな。てか、地の精霊と海の精霊は何となく分かるけどよ、天の精霊ってどこに探しに行くんだ?空飛んだりしないといけねえのか?」
「あー、そこは心配しなくても大丈夫よ。天っていうのもざっくりで、天の精霊は山に登れば見つかるから。……けれどまあ、今ここに居るメンバーだけで探しに行くのは危険すぎるわね。精霊探しは普通なら魔物対策に戦闘慣れした大人数人に引率してもらうものだしね。全く、どうしたものかしら……」
アンナの予定では、精霊探しはササッと終わらせて、彼らに復興の手伝いを頼むつもりだった。しかし、彼らの理力が想像以上に高く、精霊探しの難易度が上がったことで、計画が破綻してしまった。
「魔物がどのようなものなのか分かりませんが、対抗手段無しで立ち向かうものではないですよね。しばらくは魔法無しでできることをやっていくしかないのではないでしょうか」
「待つのじゃ。わしの理外魔法とやらは精霊無しで使えるのじゃろう?じゃったら、それでどうにかできぬか?」
「あのね、理外魔法は精霊無しで使えるんじゃなくて、精霊の力を借りれない魔法なのよ?それはつまり魔力消費量、制御力が常に最低スペックってことで、ハピコなら魔力消費量の問題は解決できるけれど、制御力の問題は残ったままなの。確かにハピコの魔法は強力かもしれないけれど、使い勝手が悪いことは自覚してもらわないと」
「そ、そうだったんじゃの……。難しい話が多くてこんがらがっておったのじゃ……」
活躍の機会を得ようと切り出したハピコだったが、アンナに現実を突き付けられてシュンと萎れてしまう。
「ま、今日やるべきことは全部できたわけだし、見つかった課題はまた後で考えればいいわ。もう暗くなってくたし、一旦ギルドに帰りましょうか」
結局具体的な解決策は見つからず、完全に日が暮れる前にギルドに戻るべきだと判断する。
しかし、そんな時だった。東の空から明るい光を放つ何かが飛んできたのは。
「わぁ、流れ星でしょうか?綺麗ですね~」
「流れ星というか、火球並に明るくて持続しているな」
真っ先に気が付いたユウとトシシゲが、空の光を眺めながらそんな感想を残す。
「おおっ、確かに綺麗……。って、あれ、こっちに落ちてきてねえか!?」
流れ星に見えた空の光は、全く燃え尽きる様子なく、尾を引いて確実にアンナたちの方へと迫っていた。
もしあれが隕石であれば、助かる見込みはない。その未来が全員の頭に一瞬過ったものの、その警戒はすぐに解かれた。
光はよく見ると空の低いところを飛んでおり、速度も隕石ほど速くない。新幹線くらいの速さと言ったところか。
更に近づくとそれは色が異なる3つの光の玉に分かれていることも分かり、最終的に金の光はユウ、赤い光はリョウタ、緑の光はトシシゲの目の前に降り立ったと同時に空中で静止した。
「そそそそ、それもしかして、上位精霊じゃないの!?」
3人が訳も分からずポカンとしていると、アンナが驚愕に満ちた声を上げた。
「上位精霊?この光の玉が?」
「え、なんで希少な上位精霊が、急に私たちの前に来たんです?」
「わ、私にも分からないわよ!けれど、精霊なのは確実だし、精霊の強さを表す輝きの強さ、こんなに輝いてるのは間違いなく上位精霊よ!上位精霊は活性化させられると自分に適合する精霊無しの人間のところへ向かう習性があるって聞いたことがあるけれど、3つの同時にこんな都合良くだなんて、って、言ってる場合じゃないわ!こんなチャンスもう無いから、早く契約してしまいなさい!」
「えっ、そんなこと言われても、契約ってどうするんだ?」
「精霊に触れながらなんか受け入れる感じに想像するのよ!」
「なんかって曖昧な……。ま、まあやってみるか」
語彙を整える間もなく急かしたてるアンナに圧されて、3人は慌ててアンナに言われた通りにする。すると、精霊は自身の主人だと言わんばかりにすんなりとそれぞれの手のひらに擦り寄り、吸収されるように消えていった。
「……うまく、いったのでしょうか?」
「こ、これで魔法使っても大丈夫ってことか?」
難航するはずだった精霊探しが、もはや探すまでもなく終わり、一同は呆気に取られる。
「ええ、成功よ。……まるで信じられないけれど、ユウとリョウタとトシシゲさんの精霊問題は解決したわ」
「おお、それは幸運、と言って良いのだな?」
「まあ……。たまたまどこかで一斉に精霊活性化が行われて、そのおこぼれ、いえ、上級精霊をおこぼれ扱いは適切ではないけれど、ともかくそのお陰で……?それでも分布の違う精霊が同時になんて考えられないし、ちょっと怖いわね」
喜びよりも困惑が勝り、それでも今は何も問題が無さそうで、結局は最大の問題が解決したことに胸を撫で下ろした。
「あぇ……?なんか良い感じになっとるけども……。わしは?わしだけおいてけぼり……?」
全員が精霊無しの仲間だと手を繋いで歩いていたのが、急にパッと手を離され走り出された気分になり、ハピコだけが呆然と目を点にしたのだった。
今日は『凍土の王子と紅の姫君』も更新します