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異世界人受付カウンター  作者: 唐科静玖
第一章 窮地の受付嬢と4人の来訪者
12/48

11.原ハピ子①

≪日本 2020/7/10(金) 12:02≫


 わしの名前は原ハピ子。漫画家なのじゃ。ネットに上げたショート漫画が大バズりしたのが始まりで、中でも代表作の『悪役令嬢onステージ~嫌われ令嬢はロックで貴族社会をぶっ壊す~』は今でも伝説としてネット上で度々話題になることもあるくらいなのじゃ。

 ん?それよりもその喋り方は何なのかじゃと?ほう、そこが気になるとはとてもお目が高いのじゃ。わしがこのような古めかしい喋り方をしておるのには、深ー-------い理由が無いのじゃ。


 両親共に立派なオタクじゃったわしは、幼き頃から漫画を読んで育ったのじゃが、その中でも『おざなり!キュー子ちゃん』という漫画が好きでの。主人公の白狐のキュー子ちゃんの喋り方を試しに真似したことがあったんじゃ。そしたら、両親に『のじゃロリだ!娘がリアルのじゃロリになった!』などととても喜んでの。わしも嬉しくなってずっとこの喋り方を続けておったら、とうとう普通の喋り方に戻れんくなってしもうたのじゃ。

 わしの両親はちょいとばかし頭の中がお花畑だったのじゃな。ちなみに、ハピ子という名も作家名などではなく、本名じゃ。バリバリのキラキラネームで、頭ハッピーなのは両親の方なのにのう。じゃが、それ以外の面ではちゃんと愛情をもって育ててくれたから、わしは両親のことが大好きなのじゃ。


 まあ、そういうわけでおかしな喋り方にキラキラネームという、学校じゃったら虐めの対象になること間違いなしの悪目立ち具合じゃったが、それは大丈夫じゃったのじゃ。

 何ゆえ、身長はそこいらの男子よりも高く成長したのでな。それだけで虐めへの牽制は十分じゃった。いやはや、立派に育ててくれた両親に感謝じゃの。虐められるかもしれない原因の半分は両親のものじゃし、育ちすぎたせいでもはやのじゃロリでもなんでもなくなってしまったのじゃが。今では開き直って髪を白く染めて神秘的な謎のお姉さん路線を目指して頑張っているのじゃ。


 と、わしの昔話なぞこれくらいで良いのじゃが、それよりもわしは今ピンチなのじゃ。何を隠そう、ここ最近ずぅぅぅっとスランプでの。物語のインスピレーションがちっとも湧かないのじゃ。

 無理やり描いて公開してみても、読み手には『絵だけは良いけど中身は安物のスポンジ並みにスカスカボロボロ』『色だけ派手で味のしないガム』なんて酷評される始末じゃ。

 そのせいで漫画を描くのが余計に嫌になって、今ではイラストレーターとしての仕事で食いつないでおる。なんとも情けない状況じゃ。

 決して漫画が嫌いになったわけじゃないんじゃけど……。何かこう、とてつもなく印象的な出来事でも起こらんと、面白い発想が何も出て来んくて描けないもんは描けないんじゃ。

 じゃから、こうして机の前に座っておるだけじゃと、何も良いことは無いんじゃよね。まずは行動力ゲージを回復させねばならぬのじゃが、行動力を回復させる行動力が無い状態じゃから、こうして家でグダグダしながら、あわよくば何か心躍る体験をしたいのう。


「神様仏様、どうかこの愚かなわしに、シュビビっとインスピレーションが湧き上がるような未知の体験をさせておくれ~~~!」


 目を瞑って手をすり合わせては、何度目か分からぬ神頼み。こんな他力本願大怠惰人間の叫び一つで神様が動いてくれるんじゃったら、世の中もっと良い形になっておるはずじゃし、無意味なのは分かっておるんじゃけど……。目を開けたら何か面白いことが起きておらぬものかのう。

 なんて現実逃避気味に目を開けてみたら……。


「うぇ?はえぇぇぇぇぇえ!?」


 さっきまで居たわしの部屋とは全く違う、何やら古めかしい雰囲気の木の建物の中で、これまた古臭い椅子に座っておるのじゃ。

 寝落ちして、夢の中?いや、夢じゃとしたら、こんなに早く夢じゃと判断できるわけが無いのじゃ。冴えとるの、わし!

 そうなれば、自ずと何が起こったかは限られてくる。これは転移!あわよくば異世界!


「き、奇跡!わしの切なる願いが奇跡を起こしたのじゃ!ひゃっほー--!!」


 と、とりあえず資料用に写真を……、って、スマホが無いのじゃ!家の机に置きっぱじゃったから、そりゃそうなのじゃ。こうなると分かっておればスマホ、その他サバイバル用品を取り揃えておいたものを、痛恨のミスをしてしもうた……!

 じゃ、じゃが嘆いている場合ではない。本当に異世界なのか把握するために、もっと観察せねば。建物の中じゃとよく分からぬし、人も見当たらぬ。じゃったら、お外へレッツゴーなのじゃ!


「待ってるのじゃ、異世界ファンタジィィィーー-!」


最後のメインキャラにして本作最大の奇人登場

短いので今日はもう一本投稿します

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