表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

第七話 エルナス出発

 ・・・眩しい、朝?あ〜、うん、昨日すごく濃かったから思い出すのが簡単だよ。異世界ライフ二日目だね。


 二日目のボリュームじゃないね。


 まあいいや、起きよ。

 そう思い体を起こし、簡単に荷物を纏める。昨日先生に譲ってもらったまとめ袋に詰め込んでいく。本当にこれが便利で、そんなに大きくない袋なのにどんなものでもスイスイ入っていくの、袋の仕組みは聞いてるけど、魔法を使ってるとかで、そういう環境には未だに慣れない。

 そんな私が尊敬する先生は、向かいのベッドでまだ寝てる。寝相が悪いようで、毛布がズレてるから直してから部屋を出て、食堂へ向かう。

 食堂には、野原くんと、ミューラちゃんもいた

 「野原くん、ミューラちゃん、おはよう。」

 ミューラちゃんも来ているのは予想はしていたけど、二人とも朝が早い人だ。私、出遅れてる、と思った。

 「おはようございますレオナさん。」

 そう言って昨日とほぼ変わらないテンションでポタージュのようなスープを味わって食べている野原くん。ブレない所が徹底しててそこは好感が持てそう。

 「おはようございます!レオナさん!」

 ミューラちゃんはまだ緊張しているのか、固く感じる点が多い。まあ即興でできたパーティのようなものだし、これから頑張るしかないよね。

 そう思いながら銅貨を支払って食事を頂き、椅子に座る。

 ちなみに今回の宿代と食費は先生持ちである。本当に頭が上がりません。

 「そういえば私と野原くんは昨日職業決めたけど、ミューラちゃんって職業は何なの?」

 「はい、うちは適正の高さから剣士です。剣が好きで、ずっと振ってきたものですから。」

 ミューラちゃんは少し照れながら答える。やっぱり純粋に良い子感が溢れてるよね。ほんと癒し。

 「やっぱり剣士ってかっこいいイメージあるかなぁ、野原くんはどう思う?」

 「同感です。剣士は前に出て後ろの味方を守りながら戦ってくれるような存在と認識していますから、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。」

 野原くんももう初対面ではなくなったためか、出会った当初の人見知り感は少しずつ薄れている。

 「うち、無理しないように頑張りますね!」

 ミューラちゃんは張り切るなぁ、細かく様子見していこっかなぁ、野原くんもいるとはいえ、今のところ私が恐らく年長者だし。しっかりしないと。

 「それで、お二人は職業何にされたんでしたっけ?」

 昨日書類申請が終わったあとに適正の一覧見せられたけど多すぎてなんか良さそうなのを適当に選んだ記憶が・・・

 確か・・・『ステータス』


 ・・・なるほど、思い出した。

 「私は魔道士を選んだわ。すごく多かったからちょっと混乱した思い出があるわ。野原くんは?」

 野原くんは水を飲んだあとに一息吐くと、話しだした。

 「僕は道具使いを選びました。スキルと照らし合わせて、向いてそうだなって。」

 うへぇ、しっかり考えてるなぁ、マイペースだけど、しっかりしてるよね。

 この世界の職業は一度選んだら職業は基本的に変えられない。一部の例外で転職したり、自身の行動次第では職業が進化することもあるそうだ。

 「安心はできないけど、私達ならなんとかしていけると思ってる。今日から頑張ろう!」

 「はい!」

 「了解です。」

 ご飯を食べ終えて、食堂の方に御礼を言ってから、フレイノール先生に一声かけに行こうと思ったらフレイノール先生が部屋から出てきた。

 「おはようございます。先生。」

 「あんた達早いんだね。そんじゃあたしも少しだけ食べてから向かおうかね、3人はギルドの前に最後挨拶しに行ってきな。」

 先生は「あ〜食べよ食べよ」って言いながら食堂でスープを貰っていた。

 「先生、お先にギルド前で待ってます!」

 先生は「あいよ」と軽く手を振りながらスープを「沁みる〜」って言いながら食べていた。そんな先生の姿を後にして、荷物をまとめて宿屋を出発した。

 5分と少し歩いてギルド前に着く。そこにはガッシュさんとフレイノール先生が待っていた。

 ・・・あれ?先生さっきまでスープ飲んでなかった??

 ガッシュさんが私達の肩を持ってこう言う

 「お前ら、ミューラの事を一時的にとはいえ任せるんだから下手こくなよ。」

 「お父、問題ないと思う。」

 ミューラちゃんが睨みをきかせると「お、おう、ミューラがそう言うなら、ま、まあ頑張れよ!」と、完全に娘に嫌われたくない心が圧勝していた。

 「あんた達、死ぬんじゃないよ。」 

 先生はそう言うと、私に硝子細工の様なキューブを渡してきた。

 「それはついでの餞別だよ。それに魔力を流したらあたしの家にいつでも戻ってこられるからね。風になりたかったらまたいつでもおいで。」

 先生はついでの餞別で一番すごいものをくださった。風になりたくはないからしばらく封印かな。

 「先生、ありがとうございました。これからもお元気で!」

 「お父、独りでも達者で、たまにお兄達が帰ってくるんだからその時にでも慰めてもらって。」

 「フレイノールさん、ガッシュさん、色々ありがとうございました。なるべく苦労の少ない旅をしたいと思います。お世話になりました。」

 野原くん、肝心なときにすごい真面目なこと言うじゃん・・・

 ちょっと彼を思い出したよ。

 「では、行ってきます!」

 そう言って私達は冒険者ギルドを後にして、東門へ向かった。入ってきた門から反対にある門だ。


 「入るときと違って身分証があるからこれからは安心だね。」

 「そうですね、あの時はお世話になりました。」

 「確かに、身分証どころか何も持ってない状態でこの世界にボトンですもんね。」


 そんな軽口を叩きながら、ここエルナスより東にある村や街、領地や国境を地図で確認しながら、馬と馬車を借りた。

 この馬と馬車は、他の街の厩舎で預けても問題なく手続きを終えられるらしい。物凄く便利だった。

 順調な旅の始まりかな、と内心安堵していた。


 「そういえばこの中で馬乗ったことある人いますか?」

 ミューラちゃんが言わなければ誰も気づかなかった


 ーーーーミューラちゃん以外馬に乗れないことに


  拝啓 フレイノール先生

   本日、無事にエルナスを

  出発しました。

   馬に乗れない人が多かっ

  たりして、物凄く先行きが

  不安定ですが、やれること

  を増やしたり、分担したり

  しながら、頑張っていこう

  と、思います。

   落ち着いたらまた顔を出

  します。

    心の弟子 レオナより

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ