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第四章【託された希望】十ノ扉

 黒街彰とその仲間達、クレイス・ファーナや異世界人、水元茜と水元家の幹部、本城尊や十傑、其処に銅谷京之介とその仲間達が一同に会す。

 日本の実力者が此れだけ集まったのは、歴史の中でも初めての事であった。


「皆様、私はファリアンス・レミアノ。この世界とは違う、別の世界から来た人間です。此れからする話は、色々な世界を救う為の重要な内容になります。是非お力を貸してください」


 前置きを終えると、本題を話しだした。此処に居る人間には、驚く内容ばかりであったが、最も重要なのは、ザリヲン王の元に黒街彰を連れて行く事であった。


「残念ながら、魔の者の力で私の能力が狂ってしまって、ザリヲン様の元へ直接向う事が出来なくなってしまいました。でも、もう1つ手段は残されています」


 話を聞いて、場がざわついていたのだが、ファリアンス・レミアノが言葉を発すると、静かになる。

 そして、異世界へ行く方法が語られた。


「この世界に創られた扉、その最後の扉は、私達の世界に繋がる扉なんです。そして私は、扉を自由に開ける事が出来ます」


 十ノ扉の先が、ファリアンス・レミアノの世界に通じている事こそが、最終目的がザリヲン王へと向う事であったという証明になる。


「ザリヲン様の話では、彰さんがザリヲン様の中に溢れる魔力を肩代わり出来るらしいんですけど、でも······手遅れかもしれません」


 世界を救う方法、その核心に迫る部分でファリアンス・レミアノは口籠る。

 別れる時には、既に限界が近かった事を思い出していたのだ。黒街彰に辿り着くまで時間が掛かってしまった事で、手遅れの可能性が上がってしまった。


「おいっ、手遅れだとどうなるんだ?」


「ザリヲン様の魔力を通じて、魔の者が此方の世界に来る事が、可能になってしまうんだと思います」


「俺達が探索を通じて力をつけていたのはよ、魔の者と闘う為でもあったんだろ? 此処に此れだけの人間が揃ってるんだ、手遅れだとしても覆せるさ」


 本城尊が協力する意思を示す。

 力をつけてきた事に、自分の意思以外が関与していたのは気に入らないが、それが世界を救う為なら受け入れられた。


「あのっ、レミアノちゃんに質問なんだけどいいかな。何で、何で彰さんなの?」


「愛ちゃん、理由は聞いてないんだけど、『初めて会った地球人が手に入れた』ザリヲン様はそう言ってたの。彰さん、最近何か能力を手に入れたんじゃないですか?」


 1年前に倒した強敵、カブラル・ディグから出現した金の宝箱。

 その中に入っていた宝玉は、銅谷京之介に相対した時に、咄嗟に黒街彰は吸収したのだが、今でも何の効果があったのかは謎であった。

 それこそ、本城尊と郷倉未知瑠の結婚式が終わったら、ステータスの鑑定をしたいと黒街彰も考えていたのだ。


「あの時に吸収した宝玉か、それが世界を救う鍵になるって事なんだな······」


 衝撃的な内容であったが、此処に集まった人間は皆、受け入れられるだけの強い心の持ち主ばかりであった。

 だがそれ以上に厄介なのは、西から来た人間と協力的な関係を築く事だ。


「俺達、北は世界を救う事に協力するが、てめぇ等と協力するかは別問題だ。お前が時坂を殺したんだろ? 黒街彰の仲間には時坂の息子が居るんだ、鍵である黒街彰が了承しない限りお前達の参加は認められねぇぞ」


 本城尊の言う通り、復讐の相手と行動を共にする事は、危険が高く了承出来るものではない。

 それは、銅谷京之介だけでなく、フォンス・カーリルにも言える事であった。


「まぁそうなるか、それなら弁明の機会を貰ってもいいかな? 僕とカーリルの話を聞いて判断して欲しい」


「それじゃ、俺から喋らせて貰うか。弁明なんて出来る事じゃねぇんだけどよ、最近発覚した新事実だけは言っておく」


 そして、フォンス・カーリルが魔の者に記憶を弄られていた事を伝える。


「でもよ、悪魔が弄らなくても人間を恨んだかもしれねぇし、良い人間になっていたかは別の話だ。だから俺は恨まれる存在のままでいい」


 生前の話は別としても、ディガルド・グリザハルを殺したのは間違いなくフォンス・カーリルだ。

 クレイス・ファーナもディガルド・フィオルも、復讐の相手として恨んではいた。

 だが、時坂翔太と違う事があるとしたら、2人共一度命を失った後であった事。それが感情を左右していた。


「妾は何時でも貴様を殺せるんでな、答えはフィオルに任せるとしよう」


「お、俺ですか? 俺は······許しはしないけど、参加するのに何か言うつもりはないです。でも何時か、俺が強くなったら闘ってみたいと思っています」


 ディガルド・フィオルの解答で、フォンス・カーリルの参加を反対する者はいない事になる。

 次は、問題の銅谷京之介が話し始める。


「次は、僕だね。僕はしっかりと話をさせて貰うよ、少し長くなってしまうけど聞いて欲しい」


 銅谷京之介の話は、幼少期に父親が母親と兄を殺害した所から始まった。

 その後は、父親を恨みもしたが、唯一の家族だった事と、植え付けられた恐怖から復讐の対象にする事が出来なかった。

 その結果、長い間復讐の対象になったのが、異界へと続く扉、その存在を恨んできた事まで話し終える。


「凄く長い間だったけど、抽象的な物を恨む事で、気持ちを抑えていられたんだ。でも遂に創った人間が居る事を知ってしまった······」


 ファリアンス・レミアノとの出会いで、長い間抑えていた気持ちが暴走する。

 この時は、家族の関係が壊れたのを、全て異世界人のせいにしてしまったのだ。

 間違いなく自分の意思で、明らかな殺意を持って異世界人には襲いかかった。其れは言い逃れ出来ない事実でしかない。


「それでも、時坂純也さんとの闘いは別だったよ。誰かを守るハンデがあったにも関わらず、それでも僕より間違いなく強かった。小夜の回復魔法があって、ハンデをフル活用して、ようやく僕が勝つとゆう結果に辿り着いた。でも後悔してるんだ、敗北を認めて、いつか真っ向勝負で超えたかったって今は思ってる」


 復讐に囚われていた事で、自分は間違いを罪を犯してしまったと謝罪した。

 そして、闘いから時間が経過していく程に、自分の行いが間違いだと気付かされる。時坂純也の行動が正しかった、それを見させて貰ったお陰で、人としての良心を取り戻す事が出来たと話した。


「扉の創られた真相を聞いて、僕が全て間違いだったと理解して此処に来たんだ。罪は消えないから裁きを受けるよ、でもその前に2つしたい事がある······」


 1つは、異世界人を手に掛けた事の罪滅ぼしとして協力する事。

 もう1つは、父親を殺した魔の者を此方の世界に越させない事。

 世界を救う事に協力したいとゆう事に、銅谷京之介個人の理由もあるのだと、皆に伝えるのだった。


「弁明じゃなかったね、そう謝罪だった。謝って済む話ではないけれど······ごめんなさい。そして、協力させてください。お願いします」


 黒街彰も、銅谷京之介に色々な事があったのは理解出来た。

 それでも、許すことは出来ない。


「ちょっと席を外してもいいですか? 翔太、2人で話したい······」


 水元茜と本城尊が共に頷くと、黒街彰と時坂翔太が、外へと出て行く。

 黒街彰は、2人で話し合った結果を銅谷京之介に伝えようと考えていた。


「翔太、先ずは俺の考えから話すよ」


 黒街彰の個人的な気持ちは、時坂純也の仇と一緒に行動なんてしたくない。相手の話を聞いても、許す事は出来ないけど、もう二度と会わなければ、それでもいいかとも思っていた。

 でも、気持ちを別にしたら話は変わってくる。此れから向う場所に、危険が待っているのならば、実力者が1人でも多く居るのに越した事はないのだ。特に桜井小夜の特殊スキルである回復魔法は必要だと考えていた。


「翔太はどう考えてる?」


「俺は、彰兄みたく難しい事は判んない······思ったのは、あいつが親父のが強かったって言うけど、でも親父が負けたんだ。だから、俺が勝って時坂のが強いって証明したい」


「そっか、翔太は銅谷京之介って男と闘って勝ちたい。そう思ってるんだな、それが一番の望みでいいんだな?」


「うん、間違ってないよ」


「それなら、答えは俺に任せて貰うよ。それでいい?」


「うん、任せるよ。彰兄は俺達のリーダーだから」


 話し合いが終わると、皆が待つ社の中へと2人で入っていく。

 そして、黒街彰が銅谷京之介を真っ直ぐに見つめて答えを伝えるのだった。


「銅谷京之介、貴方達の力を貸してください。でも、条件を1つだけつけさせて貰いたい。世界の危機が無事に去って、もう少し時間が過ぎた後になると思います、時坂翔太と真剣に勝負してください」


「有難う、その条件受けさせて貰うよ」


 時坂翔太もディガルド・フィオルと同じく、闘う事を解決方法と決めた。

 それと、2人共が協力する事を拒まなかった事で、最高戦力で向う事が出来るのであった。


「良しっ、そうと決まれば準備に取り掛かるぞ。俺様の結婚式は終わってからもう一度やる、最高の装備で再度集合だ。黒街彰、お前は鑑定をしてから来るんだぞ」


 次に集合するのは中央ノ扉の外、そこの広場に決まる。集合場所が決まると、皆が一斉に動き出した。


✩✫✩✫✩


 探索者協会、ステータスの鑑定をする為にやって来たのは、黒街彰と海野結菜だ。


「ステータスの鑑定って私初めて見る、私も鑑定って出来るのかな?」


「結菜はしてなかったか、一度試してみたらいいよ」


 黒街彰も久しぶりの鑑定にワクワクしていた、海野結菜は初めての鑑定結果を楽しみにしている。

 順番は黒街彰からだ。


【名 前】 黒街彰

【性 別】 男


【命 力】 183 

【魔 力】 0

【攻撃力】 284 (200)

【防御力】 159 (200)

【素早さ】 387 (30)(200)

【幸 運】 17

【スキル】 魔力感知(大)無限の器(特)

【魔 法】

【加 護】 光の守護


【名 前】 水元朱菜/海野結菜

      [成長型オートマタ]

【性 別】 女


【命 力】 1659

【魔 力】 1935

【攻撃力】 1785

【防御力】 1674

【素早さ】 1723

【幸 運】 

【スキル】 

【魔 法】 火魔法(極) 風魔法(大)

      土魔法(大) 水魔法(大)

      雷魔法(大) 光魔法(大)

      治癒魔法(大)闇魔法(小)

【加 護】


 2人の鑑定が終わると、気になっていた自分のスキルよりも、海野結菜に言いたい事が沢山できる黒街彰。


「結菜のステータス、凄すぎじゃない。元から高かったの?」


「そんな事ないと思う。私の身体はモンスターを倒すと能力値が上がる仕組みみたいだから、沢山倒して強くなったんだよ」


[ふふっ、私達の方が圧倒的ね。彼氏でも守ってあげなきゃならないわね]


(もうっ、彰くんには変な事言わないでよ)


 朱菜は自身のステータスに満足そうだ、黒街彰も自分のスキルを見て考える。

 此れが、鑑定をした本来の理由なのだ。


「無限の器か、限界無しに魔力を入れておけるって感じかな?」


「魔力だけとは限らないと思うけど、今回役に立つのは、彰くんの言った通りだと私も思うな」


 こうして、準備が終わり次第集まっていく。

 地球の人間、特に探索者であれば、一度は知りたいと思う十ノ扉。その先へ向う日が唐突に訪れた。

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