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第四章【託された希望】集結

 銅谷京之介が屋敷へと戻ると、唐代一心も配下の者達と共に戦闘を終えて、屋敷へと到着した所であった。


「京之介の方も終わったか、そうだな······ちょっと着いて来い」


 唐代一心のあとを着いて行くと、到着したのは屋敷の中でも一番被害の大きい部屋だ。


「父さん······」


(拘束が解けたのはこうゆう事か、何だか呆気ない最後じゃないか)


 部屋の中へ入ると、最初に視界に映ったのが銅谷権兵衛、そう父親の亡骸であった。

 感情が複雑に絡み合う、悲しいと強く思えないのは、自分にとって良い父親ではなかったからなのかと、本人でもよく分からずに言葉が出てこない。


「銅谷権兵衛って人間はな、野望に取り憑かれていたが、野望のためになら常に最善を尽くす。そんな男だった······計画が順調だったからこそ、最後に焦ったんだろう」


 鍵になる少女を盗られまいと、前に出た結果が死を招いた。唐代一心は銅谷権兵衛の最後を息子に語る。


「うん確かに、父さんっぽくない行動だよね。はぁ、僕は最後までちゃんと話せなかったな」


「計画が成し遂げられたら、初めて親子の生活が再開されたのかもしれないな。権兵衛は、京之介に反抗期がくるって予想していたぞ」


「反抗期? どれだけ遅い反抗期だと思ってるんだよ。息子を締め付け過ぎたって、後悔はしたのかな」


「悪人ではなかったが、家族にした事を後悔してる何て言葉は、話題に出した事もなかったよ。それだけ自分に真っ直ぐな男だった」


「そう、ですか······」


 後は最後の状況が語られる、ファリアンス・レミアノが奪われた事や、奪っていった経緯を唐代一心は話して聞かせた。


 結局、銅谷権兵衛の家族への想いは、誰にも解らないままこの世から去って行った。

 もう色々と知る事は叶わないが、銅谷京之介が最後に知りたいと思うのは、父親の最後に突然現れた謎の男、やはりその正体はどうしても気になるのだった。


 組織のトップ、頭脳を担当した銅谷権兵衛が居なくなった事は大きく、唐代一心も組織を纏める意思は持ち合わせていなかった。

 故に、組織は解散する流れで動いていくのであった。


 銅谷京之介も、息子として引き継ぐ事は頭にはなかったが、まだ組織が機能している内は情報収集に利用していた。

 現在、新しく仕入れた情報では、中央の五ノ扉が開き、お祭り騒ぎになっているとゆう物であった。


「あの世界に取り残された者達が帰って来たって所だね、少女と同じ世界の住人も居る筈なのに、少女が関係した感じじゃなさそうだな」


「ねぇ、探している情報を手に入れるには、異世界人に会うしかなくない?」


「ちょっ待て、待てって、僕達が行ったら流石に危険だろ。なぁ京之介」


「そうだね。今の中央には北からも人間が集まってるらしいから、下手したら袋叩きだろうな」


 ファリアンス・レミアノか、同種の能力を持った異世界人が地球に来ない限り、新たな情報は見つからない。

 そう考えると、残った選択肢は中央へ向かい異世界人が居る可能性に賭けるしか、銅谷京之介も思い浮かばない。


 そんな事を考えていると、この場に面会を希望する人物が現れる。


「なぁ俺を置いて行く何て酷いんじゃねぇか」


 現れたのは、フォンス・カーリルであった。西ノ扉から地球へ来ると、銅谷京之介の所在を調べ上げ、面会が叶うまで漕ぎ着けたのだ。

 1人で行動しているのだが、それはファリアンス・レミアノを連れて行くには、流石に危険な為、情報収集には単独で来たのであった。


「あっ、お前生きていたのか。あの危険な奴を僕に押し付けたのは忘れてないからな」


 創真晴人は、1年前にクレイス・ファーナを押し付けられたのを根に持っている様だが、銅谷京之介は会いに来てくれた事が嬉しいのか、笑顔で迎えようとしていた。


「まぁ、落ち着きなよ晴人。異世界人で唯一の友達じゃないか、僕は歓迎するよ」


 フォンス・カーリルが最後に見た銅谷京之介は、復讐に燃える危険人物であった。

 フォンス・カーリルが知る中では、実力も危険度も上位に位置する相手が、笑顔で迎えるのは、随分と丸くなった気がする。


「あの後は、もう少しで消滅させられる所まで追い詰められたんだ。俺も大変だったんだから許してくれよ」


「許すかどうかは別にしても、絶対に信用はしないからな······」


 創真晴人との関係を修復するのには骨が折れそうだ。


「因みによ、お前達はあの後どうなったんだよ?」


 フォンス・カーリルの問には、銅谷京之介が応えてくれる。

 簡素な説明だが、奪った命と残された命があった事は十分に理解出来た。

 そして、説明が後半になっていくと、フォンス・カーリルにとって都合の良い展開に変わっていった事が判るのだった。


「それでさ、準備万端で戻った筈が僕自身捕らわれてしまってね······1年間も鎖に繋がれていたんだよ」


「何だか展開が急過ぎるんじゃねぇか? それで、その、少女はどうしたんだよ」


 謎の男が現れ、魔の者を残して消えていく。その話も説明する。


「何処かに連れてかれてしまった、まぁ少女にとっては良い事だったんじゃないかな。でもね、僕は少女を連れていった相手には会わなければいけないんだ、父さんを殺した相手だからね」


(こいつの狙いは悪魔でいいんだよな、だったらレミアノに会わせても問題ないか?)


「因みに、『アリスフール』に残った奴らはどうなったか知ってるのか?」


「それなら、丁度情報が入った所だよ。中央ノ扉から地球へ戻って来たみたいだ、気になるのはクレイス・ファーナってゆう女王様だろう」


「嫌、そうじゃねぇ。黒街彰って地球人に用があるんだ······なぁ協力してくれるなら、真実を話してやってもいい、どうだ?」


 急に態度を変えたフォンス・カーリルを見て、創真晴人が警戒する。

 この場に居る人間が、フォンス・カーリルの言動を簡単に信じる訳がないのは当たり前なことであった。


「ねぇねぇ、流石の私だって怪しいって思うからね。何も聞かないで協力する何て言わないよ、でも今の京ちゃんなら、ちゃんと話せば協力してくれるんじゃない」


 桜井小夜の発言は、お互いにとって良い方向へと進める優しいアドバイスであった。

 此処に居るメンバーが上手くやって来れたのは、桜井小夜の存在が大きい事を銅谷京之介は改めて実感する。


「小夜の言う通りだ。それに、心を込めてお願いすればね、大抵の人間は協力してくれるもんなんだよ」


 当初は情報だけ手に入ればと考えてやって来たのだが、予想外にも優しい雰囲気が、フォンス・カーリルの考えを変えていく。

 協力してくれる人間は多い方が良いし、銅谷京之介の実力は知っている為、こんなに心強い味方はいないのだ。


「しょうがねぇ、話すとするか······」


 フォンス・カーリルは『アリスフール』で傷を癒やしながら彷徨っていた所から話し始める。

 突然現れたファリアンス・レミアノと、身体に潜んでいた悪魔、その悪魔とゆう存在に記憶を変えられていた話もする。

 そして、「此処からが、重要だ」と前置きをすると、ファリアンス・レミアノから聞いた扉が創られた理由と、世界に災いをもたらす悪魔の存在、それを防いでいたのが謎の男の正体だと教える。


「ザリヲン王ってのが、お前が言っていた謎の男の名前らしい。その王様がもう限界で、それを救えるのが黒街彰の力なんだとさ」


「また話が変わるんだね······世界を救う為に扉が創られた、其れは信じていいのかな」


 これまで話を聞くだけであった佐久間仁が、瞳を輝かせながら話しに参加する。


「京之介、これはチャンスじゃないか? 世界を救う手助けが出来るんだぜ。それに、本当の敵も悪魔だって判明したんだ、協力しよう。俺は協力したい」


「仁は、正義の味方になりたかったんだもんな。良し分かった、協力しようじゃないか。とりあえずさ、君の名前はなんだったか教えて貰おうかな?」


 フォンス・カーリルが、名前を忘れていた事に文句を言うと、皆で笑いながら、改めて自己紹介をする。

 自己紹介が終えると、少し仲間に成れたような気がするのは、気のせいだろうか。


 ファリアンス・レミアノとも合流して、中央へと向う。

 銅谷京之介との関係は簡単に修復出来るものではなかったが、今は考えないようにして黒街彰へと会いに行くのであった。


✩✫✩✫✩


 神社がある高い位置から、ビグラウト・テラネウスがファリアンス・レミアノを見つけたのと同時に、ファリアンス・レミアノもビグラウト・テラネウスを発見していた。


「テ、テラくんっ。テラくんだ······」


 久しぶりの再会に、ファリアンス・レミアノが瞳を潤ませながら近づいていく。

 だが、感動の再会には相応しくない気配を漂わせている者が数人居るのであった。


「貴様っ、生きておったのか? 再度、妾の前に姿を現す度胸だけは認めてやる」


「ちょっ、ちょっと待て。一度話を聞いてくれ、聞いてから判断して欲しい」


 クレイス・ファーナとフォンス・カーリル、ビグラウト・テラネウスや時坂翔太と銅谷京之介。事情を聞いたとしても、もう分かり会える事はないのかもしれないが、今はファリアンス・レミアノの持ってきた情報を聞かせる事を優先したい。

 情報を知った者なら、そう考えるのが自然であった。


「あっ、あの、私の話を聞いてください。本当に、本当に重要な話なんです」


 再会の喜びよりも、直ぐに緊迫した状況へと変わってしまう。

 そんな緊迫する状況の中、冷静に言葉を発する事が出来たのは、何も関係を持っていない海野結菜だけであった。


「皆さん、少し落ち着きましょう。此方側は殺気だっていますが、向こうはそんな気が無いようですよ。それに重要な話ならば、一度結婚式は中断してもらって、茜様達にも話しに参加してもらった方が良いと思います」


「結菜助かったよ、どんな話かは判らないけど、こいつ等が居る事自体、緊急事態って事は変わらないしな。全員に西の人間が現れた事を伝えて、話し合いの場を作るように進言しよう」


 黒街彰がこの場を仕切り、社の方へと向かって歩き始める。

 ファリアンス・レミアノはビグラウト・テラネウスの側で歩き、西の者達は少し離れながら着いて行く。


 遂に、中央と北、そして西の人間が同時に顔を合わせる事になる。

 世界を救う、その為には憎しみあっていてはならない。知らない所では、もう既にそんな状況まで進んでいるのだった。

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