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第三章【異世界からの願い】捜し人は何処へ

敵の姿が見えなくなると、全速力で移動を開始する。先ずは、結界がある場所まで到着する為に、夢中で走っていた。


「喜助、鱗ボアにピグさんとガディさんを乗せてあげてくれないか?」


素速さの低い仲間に、移動手段を用意して先に進む。舘浦喜助と三日月愛も鱗ボアのゴンタとイノッチに乗ることにした。


「彰くん喜助くん、有難う」


「気にしないでください、ガディさんは探索に集中しなきゃいけないですし、ピグさんもモンスターを幻術で追っ払う役目があるんですから」


無駄な時間を過ごさない様に、仲間に出来る事は話し合っていた。プロテラス・ガディとミクレリア・ピグの役目は重要だ。


数時間は立っただろうか、全力で移動しているとプロテラス・ガディが声をあげる。


「結界が確認出来たぞ、もう少し進んだら止まってくれ」


見晴らしの良い草原、普通に移動していたら結界には気が付かないだろう。


「結界まで近くで良かったですね、次は左右に別れて探しましょう。翔太、発見次第魔導具で連絡しよう」


前に結界を抜けた際、結界を遮っていた黒い物は誰にでも見る事が出来るのは判っていた。黒街彰は、効率を重視して別れる事が最善だと考える。


「別れて探すなら、片方は俺が1人で行くよ。そっちのが速い······だから魔導具を借りても良いか?」


ビグラウト・テラネウスが、右側の探索を引き受けるのであった。


別れて結界の穴を探し始めると、直ぐに連絡用の魔導具が振動を伝えてくる。


「おいっ発見したぞ、近い場所に合った。こっちに来てくれ」


ビグラウト・テラネウスが向かった右側に、結界の穴は存在していた。此処までの行動は順調だが、順調なのは此処までかもしれない······


結界の穴を全員が潜ると、黒街彰がミクレリア・ピグにお願いをする。


「ピグさん、この結界の穴に幻術ってかけられますか?」


「出来るけど、幻術をかけたら私しか判らなくなっちゃうけど、いいのかな······」


追手が来た場合に、時間稼ぎの為に幻術をかけておく。それが黒街彰の思惑であったが、仲間が来た場合でも穴を発見出来なくなってしまう、それが問題だ。


「俺達がレミアノを助け出せれば、問題は解決なんです。この先は手掛かりなしなので、出来るだけ時間があった方が良いと思うんですよ」


結界の穴は、敵が来た方向などヒントはあった。だが、この先は何もないのだ。


そこで、唯一この世界を知っているのは、ディガルド・フィオルだけなので、黒街彰はヒントがないかと聞いてみる。


「あんまり詳しくないけど、この辺はカブラル王国の領土だったかな。俺は来たことないから、正直道とか判らないぜ······」


(ん〜、結界の穴が此処にあるって事は、結界から直線に移動した方が可能性があるのかな)


大した宛もなく行動を始める。此処にとどまっていても無意味なのだと、歩き始めた。


✩✫✩✫✩


クレイス・ファーナとフォンス・カーリルの戦闘はついに佳境を迎えていた。


現在は、クレイス・ファーナの絶え間ない攻撃で、フォンス・カーリルが消耗しきった形であった。


「その程度であったか? 妾の命を奪った時は、もっと強いと思うたがのう」


「はぁはぁ、化け物がっ。こっからが本番だって教えてやるよ······」

(全快の状態でこうも違うのかよ、そこそこ闘ったし、もう役目は果たしたよな)


クレイス・ファーナがとどめを刺す為に、強力な魔法を扱い始める。


それは、悪魔に脅威と認識させた魔法。炎を白く太陽の様に創りあげるその魔法は、何者であっても燃やし尽くす、そんな威力を秘めていた。


(此れをくらったら、まじで消滅しちまうぞ······)


襲い来る炎を上手く躱して、姿を消す。フォンス・カーリルは時間稼ぎは十分だと、こんな事を思っていた。


こんな場所で消滅しては、この先で起こるであろう争いに参加出来ない。


クレイス・ファーナへの興味は生前で終わり、既になくなっているのだ。こんな所で命を失う事に、意味はなかった。


白い炎が襲ってくると、フォンス・カーリルが居た地面が溶けていた。それを何とか躱すと、影に潜り移動を開始しする。


だが、逃げる事は許さないと、その影に向かって炎が降り注いできた。


(くそっ、こんな所で死んでたまるか。こうなったらしょうがねぇよなぁ、恨むなよ)


逃げられない事を悟ると、フォンス・カーリルは方向転換する。


向かった先には、創真晴人が居た。フォンス・カーリルは、クレイス・ファーナを創真晴人に擦り付けるつもりであった。


この時、致命傷だけは何とか回避していたディガルド・グリザハルだが、度重なるダメージに限界を迎えようとしていた。


其処へ、空中に炎を幾つも創り、移動しているクレイス・ファーナが近づいてくる。


「約束の時間は終わりだ、後はお前が何とかしてくれよ······」


一足先に到着したフォンス・カーリルが、声だけ掛けて通り過ぎて行く。


「ちょっ、僕に押し付ける気かよっ。くそっ、こんな奴を信用したのが間違いなんだ······」


もっと文句を言いたかったが、構ってはいられない状況だ。直に、クレイス・ファーナがやって来るのが見えていた。


(あれは強そう······あいつが言っていた事だけは、確かなようだね)


クレイス・ファーナは、ディガルド・グリザハルの状態を見て止まらない訳にはいかなかった。浅くない傷を見て、放っておけば命を失ってしまうと判断する。


「グリザハル、此奴は強そうじゃな」


「は、い。私の力が及ばず足止めさせてしまい、申し訳ありません······」


「良い、奴は逃げたのじゃ。妾の勝ちで良かろう。此奴の相手は妾がしておく、少し休んでおれ」


フォンス・カーリルが逃げ出した事で、戦場の様子が変わっていく。この行動が少しでも遅ければ、勝敗の行方が一気に銅谷京之介に傾いていたかもしれない。


✩✫✩✫✩


黒街彰は焦っていた。ファリアンス・レミアノの行方が、一向に見つからないのだ。


焦るのも仕方がない、結界を抜けてから、既に10日は立っているのだから。


(こんなに見つけられない何て、全てが悪い方向へ向かってる気分になってしまうな······)


「くそっ、何処に向かえばいいんだ。それに皆は無事なのかよっ」


焦っているのは、ビグラウト・テラネウスが一番であった。日に何度か、瞬足術を使って1人遠くまで見に向う。この10日、体力も集中力も限界まで使って捜していたのだ。


「また遠くまで見に行ってくるよ······」


この日も、ビグラウト・テラネウスは1人で遠くを見に向う。捜し人が見つけられなくとも、捜す価値がある場所で良いから見つけたい。そう思っていると、崩れた街並みが視界に入った。


近くに生えていた大きな木へ登り、街を見てみる。


(此処は······でかい街だな、フィオルが言っていたカブラル王国の王都か?)


遠目から少しだけ観察すると、急ぎ仲間の元へと戻っていく。街中へ入って調べたい気持ちを抑えるのは、もしも敵が居たならば、見つかっては奇襲も出来ない。救い出す事に、万全を期す事を何より考えていた。


「おいっ、怪しい場所を見つけたぞ。皆で慎重に向おう、ガディさん探索術お願いします」


ビグラウト・テラネウスは戻ると、開口一番に皆を急かす。


「何を見つけたんですか? こうゆう時こそ、一度落ち着きましょう」


見つけた場所、遠目で見た感想、周りの地形までを話すと、どのように行動するべきかを黒街彰が意見していく。


「テラさんが登った木までは全員で行きましょう。其処からは少人数で、ピグさんの幻術を使いながら進んで、ガディさんの探索術で捜す事にしませんか?」


「ああ、それがいい。彰くん有難うな、冷静にって思っていても全然冷静じゃなかったよ」


ビグラウト・テラネウスを含め、全員が賛成して行動を開始する。今迄はずっと、プロテラス・ガディの探索術に人影が映らなかった。此処で人影が映る事を、誰もが願うのであった。


木々に身を潜め、一旦別行動になる為声を掛ける。黒街彰は、何か発展が有るようにと願いながら送り出した。


発見した街中へ入って行ったのは、ビグラウト・テラネウス、プロテラス・ガディ、ミクレリア・ピグの3人であった。


(此処が王都なら、中心にある城へ向かいましょう。ガディさん、探索に引っかかったら教えてくださいね)


小声で向う先を話しながら進んで行く。崩れてはいるが、城だったと思われる場所が視界に入った。


「おい、居るぞ。人影が1つだ、レミアノか?」


ついに、プロテラス・ガディの探索術に人影が映し出された。


因みに、探索術は人を映し出すように設定していた。生物で設定してしまうと、モンスターか人なのかを判別出来ない。この世界の人間、クレイス・ファーナ等は人でもモンスターでも反応するのだ。


(ふぅ、冷静にだ、冷静に考えよう······)


ビグラウト・テラネウスが、焦る気持ちを押し殺して判断する。


「1人ってのは怪しいですよね、普通見張りを付けると思いませんか? 接触するにしても、全員で行きましょう」


ファリアンス・レミアノとは関係がなく、この世界の人間が蘇っている。その可能性もちゃんと考えていた。


そうだった場合、戦闘になるか仲間に加えられるかは未知数だ、対応するには全員揃っていたほうが良い。


離れた仲間と合流し、再度この場所まで戻って来ると、どのように接触するか話し合う。


「警戒させずに、レミアノを見かけてないかを聞くのは難しいかな? どんな人物かわからないし······」


話し合いの中で、相手がどのような人物なのかを予想すると、1つの答えに辿り着く。


この世界で蘇る事が出来るのは、魔物や精霊と融合した人物。それは、能力の高い人物であり、危険は常に付きまとうという事だった。


「それだったら俺が1人で行こう、相手が攻撃してきたら躱せる可能性が高いのは俺だしな」


警戒させない為に、ビグラウト・テラネウスが1人で接触する。その間、他の皆は幻術で姿を隠しながら援護出来る位置で待機する事に決まった。


(もしレミアノを知っていて敵だったら、本当の事を言う訳ないよな。上手く聞き出すのは難しいかもしれない······)


黒街彰が、不安を胸に待機する位置へつく。其処で初めて、相手の姿を目にしたのだ。


(うっ、鳥肌が······)


全身を覆う銀色に、以前苦戦した銀狼を思い出す。以前よりは力を増した筈なのに、力の差は銀狼と出会った時よりもひらいている感覚が黒街彰に襲いかかった。


(危険過ぎる、テラさんを止めた方が良いか······)


もう1人、危険を察知している者が居た。ディガルド・フィオルだ。この世界の住人である彼は、王の特徴を聞いた事がある。カブラル王国だと思われる国で、立派な体格に銀色の体毛と言えばカブラル王本人に違いない。


どの王であれ、王が如何に高い能力を持っていたのかも伝わっているのだ。


(今居るメンバーで勝てるのかよ? ファーナ様が居れば······)


それぞれが、不安な思いを巡らせている内に、ビグラウト・テラネウスが相手に姿を見せてしまっていた。


「すいません、少しだけ聞きたい事があるのですが······」


ビグラウト・テラネウスも、相手が只者ではない事には気が付いている。それでもファリアンス・レミアノを救う為に、命を賭けて歩を進めていた。


果たしてカブラル・ディグは、問に対してどのような返答を、ビグラウト・テラネウスへ返すのであろうか······

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