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第三章【異世界からの願い】結末を求めて

若手が無事にモンスターを倒すのを見て、気持ちを高ぶらせている人物が居た。それは、将を務めた経緯を持つディガルド・グリザハルだ。


「次は、私が闘おうじゃないか。1人だけ見学とゆう訳にもいかないだろう?」


ディガルド・グリザハルは生前、自身の実力だけで将の地位まで上り詰めた。戦闘に自信を持っていたからこそ、郷倉未知瑠とダ・ビャヌの戦闘を見て、自分の力を見せたくてうずうずしていたのだった。


少しすると、モンスターの姿を発見する。発見したモンスターは、又してもガブロであった。


「ガブロなら丁度良いな、直ぐに片付ける」


同じモンスターが相手だからこそ、自分の実力を理解出来るであろうと思い、やる気は十分だ。


ディガルド・グリザハルが、ゆっくりと近づく。ガブロと正面から対峙する気であった。


ガブロが、全体重を掛けて突進を仕掛けてくる。それを両腕で受け止めると、地面に溝を造りながら押し込まれていく。


5メートル程で動きが止まると、ディガルド・グリザハルが足を魔物化させ、顔面を真上に蹴り上げた。


更に両腕を魔物化させ、鋭い爪をガブロの首元へ突き刺す。そして、突き刺さった場所から炎が噴き出すと、ガブロの全身へと拡がっていくのであった。


「良しと、こんなものだろう」


ディガルド・グリザハルの見事な戦闘を見て、郷倉未知瑠が近づいていく。


「グリザハルさんも強いのですね、ファーナさんと何方がお強いのですか?」


「まぁファーナ様に比べたら、私は赤子の様なものだろうな」


「確かに底知れないお方だと思いますが、赤子は言い過ぎですよ······」


ディガルド・グリザハルが居ない間に、クレイス・ファーナと一線交えた事を話すと「貴女とも闘ってみたいですね」と、好戦的な発言をする。


一見、険悪な雰囲気に感じられるが、互いの実力を認め、闘ってみたいとゆう思いが熱を放っているだけなのであった。


日が暮れ始め、拠点に戻る為歩き出す。黒街彰は、食料が手に入らなかった事から良い案がないかと考え込んでいた。


(ガブロの様な強敵を1体ずつ倒すのは効率が悪いよな、それに強敵からは、良いアイテムが出やすいし······弱くて数が多い方が、宝箱の中身が食料になりそうな気はするんだよな······)


食料の事を考えていると、大事な事を思い出した。


「あっ、食料を調達する手段があるじゃないかっ」


思い出すと、思わず口に出てしまう程、良く使っている物を忘れていたのであった。


忘れていたのは『時空繋ぎの双子鏡』の存在だ。海野真菜の協力を得られれば、大量の食料を手に入れる事が出来るのだ。


拠点に張られた結界の中に入ると、皆に『時空繋ぎの双子鏡』の能力について説明する。そして、考えるのは海野真菜に協力を求める方法だ。


手紙を書いても良いのだが、黒街彰が考え込んでいると、精霊のククノが伝言役を勝ってでてくれた。


「我が伝えようではないか。この世界は随分と魔力が濃いからのう、分体を創っても魔力を直ぐに取り戻せるぞ」


銀狼との戦闘で魔力を消耗してから、魔力を溜め続けていたククノは、サッカーボール位の大きさまで魔力を溜められている。


「それじゃククノにお願いしようかな、今回は人数も多いから、ちゃんと仕事として受けて貰えるように説得してほしい」


お願いする内容は、食材か缶詰などの保存食にする。調理する手間を掛けるなら、その分、量を増やして貰ったほうが有り難いのだ。


黒街彰のお陰で、食料問題は何とかなる目処がたった。だが、捜索に向かったメンバーが帰って来ると、手掛かりがない現状に、唇を噛み締める事しか出来ないのであった。


✩✫✩✫✩


(奴ら必死で捜してんだろうな。此処は、まぁ簡単に見つかる場所じゃねぇのによ······)


フォンス・カーリルは、世界を分断している特殊な術式に穴を空ける事に成功していた。それは、人が通れる大きさの穴で短時間で見つけるなど不可能であった。


世界を分断している術は、普通の探索者には気付く事が出来ない程、巧妙に創られている。だが、元の世界を知っている者には違和感があったようだ。


(まじで、此れからどうするか? 最初に見つけたのが狐様じゃ、仲良くは出来なかったからな······)


ファリアンス・レミアノを見つける前、長い事彷徨っていたフォンス・カーリルは、他にも人が居ないかずっと捜していた。


孤独を嫌う訳ではなかったが、流石に淋しさから人に会いたいと願う様になったのだ。


ファリアンス・レミアノの能力で、異世界へ連れて行って貰う事は勿論企んでいるが、自分が生きた世界で何かやり残している様な気がしてならないのであった。


(異世界もいいが、その前にあそこにでも行ってみるか······)


フォンス・カーリルだが、生前は個人で闇の者と手を結んだ人物だ。この世界には、フォンス・カーリル以外で闇に属した国が1つだけある······異世界へ行く前に向かおうと思ったのは、知った人間が蘇っているかもしれないそんな国であった。


(奴なら蘇りそうだよな。でもまた変な術を壊さねぇと行けねぇし、探すのも一苦労なんだよな······)

 

知った人間とは、数回会った程度の関係だが、蘇っているのなら会っておきたいのだ。


考え事をしているフォンス・カーリル。会話はしていなかったが、隣にはずっと拘束されたファリアンス・レミアノの姿があった。


「ちょっと外に行ってくるからよ、逃げるんじゃねぇぞ」


向かう先の方角だけでも見ておこうと、外へ出ていく。逃げるなとは言っていたが、ブラックバインドを床にも打ち付け、身動きなど取りようもない程拘束は強化していた。


(ちゃんと出てったよね。もうっ、やっと1人になれたよ)


ファリアンス・レミアノは、1人になったらやりたい事があった。窓と呼ぶ能力で仲間の様子を知っておきたかったのだ。


(ん? ちょっ、ちょっと。どうなってんのよっ)


ファリアンス・レミアノが視たのは、仲間達が美味しそうに食事をしている所であった。


ククノが、海野真菜に食料の件を頼みに行くと、無事供給してもらえる事になった。そこで今日ぐらいはと、ダ・ビャヌが持っていた食料を大盤振る舞いしているのだ。


(あれ······私は? 私のご飯は、どう、するの?)


緊張が続いていた事で食欲がなかったが、美味しそうな食事を見たら話は別だ。お腹からもご飯を食べたいと音が鳴っていた。


「おいっ、何をぶつぶつ言ってやがる」


「私じゃないよ······ここ、このお腹ちゃんが喋ったの。ねぇ、ご飯は、あったりしないのかな?」


「この世界に食う物なんかねぇよ、知らねぇのか?」


ご飯がない。知ってはいたが、直接言われるとショックが大きいのであった。


「うっ、知ってはいたけど······どうしよ」


此処で、待ってましたとばかりにフォンス・カーリルが提案する。


「俺が異世界から持ってきてやろうか?」


「えっ? でも······駄目だよ。悪い事するでしょ?」


「しねぇよ、まだこの世界で知りたい事もあるしよ。それじゃ、異世界に行く時はお前も着いてきたらいいじゃねぇか」


フォンス・カーリルも大戦の結末が気になっていた。先程向かう事を決めた国には、自分よりも長く生きたであろう者がいるかもしれないのだ。


(こいつが居れば退屈はしねぇだろ。始末するのは、この世界の住人に一通り会ってからでも良いか······)


ファリアンス・レミアノは、異世界から食料を持ってくる案に、中々賛成出来ないでいる。何度か会話のやり取りが続いたが、自身がいなくなる事で仲間も元の世界に戻れない。その言葉で異世界へ食料を取りに行く事になるのだった。


異世界へ向かう前に、フォンス・カーリルが能力で黒いローブを創り出す。拘束した上からローブを着せると、足の拘束だけ解きファリアンス・レミアノ自身の足で歩かせる。


「良し行くぞ。食料を手に入れてすぐに戻る事は約束してやるから、変な事を考えるなよ。お前の命を消すのに、時間なんか掛からねぇんだからな」


「う、うん······その黒い魔法って服も創れるんだね」

(仲間の所に行っても、私が殺されちゃったら皆が帰れなくなっちゃうもんな······)


扉の先は、ファリアンス・レミアノが住んでいる世界、自分の家へと繋いでいた。なるべく他の人間と関わらせない事が重要と考えたからだ。


「お前の家か、でかいな。此処には誰も居ないのか?」


「私の家系はね、皆短命なんだ······でも親族が居ない訳じゃないの、分家の方には何人も居るから」


少し暗い面持ちで話しながら、家に置いていた保存食を鞄に詰めていく。


「ねぇ、もうちょっと拘束を緩めてよ。物が入れづらいじゃん」


「ちっ、仕方ねぇな······」


フォンス・カーリルは、この少女にも色々あるのかと思うと、少しだけ気を緩めていた。


「おい、食料はそれしかねぇのか? この後は、長めの旅になる予定なんだよ、ちょっと買い出し行くぞ」


リスクは承知の上で外へと向かう。折角の異世界だ、もう少し見て回りたいとゆう欲求が勝っていた。


怪しまれない為に、ファリアンス・レミアノの拘束を解くと、変わりに心臓がある位置に背中から痛みを与える。


「一突きだ、余計な真似はするなよ」


屋敷から幾らか歩くと、賑やかな商店街らしき場所へ出る。


「なんだ、そんなに変わった事はねぇな······」


ファリアンス・レミアノが住む世界は『アリスフール』と街並みは似ていた。だが、見かけるのは特徴の無い普通の人々だ。フォンス・カーリルにとって、自分が居た世界の方が興味を惹く人種が多かった。


興味を惹くものがなかったからか、何事もなく買い出しを済ませると『アリスフール』の元いた場所へと戻って行く。


「なぁ、お前の能力で俺の行きたい場所に行く事は出来ねぇのか?」


「ん? 行きはいばひょ? 何処でふか?」


「ちっ、はしたねぇな、飲み込んでから喋れよ。カブラル王国って場所に行きてぇんだ」


「ふぅ〜、カブラル王国が判らないですよ。私が行けるのは知っている場所だけだから、ちょっと難しいですね」


「へぇ、そうかよ。まったく使えねぇな······まぁいい、結構歩くから弱音を吐くんじゃねぇぞ」


結末を知る為、『アリスフール』に留まり旅に出る。果たして何方が先に、捜して居る人物に辿り着く事が出来るのだろうか······

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