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第二章【離れた地で】本城尊の城

王が所有する建物、その敷地へ入って行く。其処は、ショッピングモールの様な大きな場所であった。

敷地内に入って、直ぐの場所。受付であろうか、小さな小屋に人が居るのが見える。


「こんにちは、此処は、本城尊の所有地で合っているかい?」

「合っているが、王を呼び捨てってのは気に入らないな」

「それは、すまない。悪気があった訳じゃないんだ、伝えて欲しいんだが······時坂純也が会いに来たと」


ガタンと椅子から立ち上がる受付の男。少し待つように言うと、何処かに電話をかけ始めた。


✩✫✩✫✩


「あら、あら、どうしましょう? う〜ん、とりあえず代理に対応して貰いましょうかねぇ」

電話を受けたのは、滝陽子(たき ようこ)。十傑の一人であった。

十傑の一人がここに居る理由は、本城尊が探索に向かっている間は、守り手として、十傑の中から一人残る事にしているからだ。


そして、滝陽子が向かった先、其処に居る人物は、北の地での政治を一手に引き受けている男、北陽公雄(ほくよう きみお)である。


「くわぁ、僕は忙しいんですよ。本当に本当に忙しいんです·······忙しいのに」

話を聞いた北陽公雄は、滝陽子が伝えた言葉に過剰な反応を魅せる。


15年前に、本城尊から政治を任された北陽公雄、半ば放置された国を、一から立て直おすとゆう無理難題に立ち向かったのだ。そして15年が立った今でも、その闘いは続いていた。そう、本当に忙しいのだ。


「しょうがないでしょう? 尊様がいらっしゃらない間は、貴方が王の代わりですものぉ。時坂さんは、それだけの人物······対応を間違える訳にはいかないのですからねぇ」


今は、応接室で待って貰っている。忙しくとも、有能な人物である北陽公雄は、長く待たせるのも、良くないと判断すると席を立った。

「はぁ······行きましょうか」


✩✫✩✫✩


「時期に上の者がいらっしゃいますので、此方でお待ちください」

受付の男に案内された個室、黒街彰達は其処で待つ事になった。


「何か緊張しちゃいますね。首相まで居た、探索者協会での会合を思い出しますよ······」

黒街彰は流石に緊張していたが、黒街彰の数倍は緊張している人物が居る、舘浦喜助だ。


「く、く、黒街さんも、き、緊張するんですね、ぼ、僕なんて、吐きそう、です」

「喜助兄は情けねぇなぁ。こうゆう時は、ど〜んと構えとけばいいんだぜ」

全く緊張をしていないのは、最年少の時坂翔太だ。


コンコン、扉をノックする音が聞こえる。案内されてから、そう時間がかからない間に誰かがやって来た様だ。


「失礼します。私は、王の代理をしております、北陽公雄です。現在、本城尊様は、探索へ出ており不在ですので、代わりにご用件を伺わせて頂きます」


「ご丁寧にどうも、俺が時坂純也です。まぁ、用件って程の事じゃないんだけどよ、此処、北の地に拠点を移したくてな」

「其れは、願ってもない事ですが······理由をお聞きしても?」


時坂純也は簡単に説明する。

「水元家とちょっと揉めてな······中央だと狙われる危険があるからよ」


(うわぁ、問題有りじゃないか······よりによって水元家ですか)

「宜しければ教えて頂きたいのですが、どの程度の揉め事なのでしょうか?」


「どの程度ねぇ······此方が叩き潰したいと思う程度には揉めているかな」


(ぐうぉぉ、無茶苦茶揉めてるぅ。それって狙われてるって言うか、狙ってるんじゃないの?)

「そ、そうですか······では、とりあえずになりますが、出来るだけの支援をさせて頂きましょう。正式な答えは、本城様が帰った後にさせて頂きますので」


北陽公雄は、案内に人を呼ぶ。この敷地内には、共同で使える施設が幾つかあるので案内するように指示を出した。


「案内が終る頃には、皆様で住める住居も用意致します、本城様が戻るまで、是非この北の地をご堪能ください」


黒街彰も礼を言うと、案内役の女性に着いて部屋を出て行った。


「水元家と揉めた理由は、聞いとかなくて宜しかったのですかぁ?」

「もう、其れは僕の仕事じゃないですよ。これ以上仕事を増やしたら過労死します······それに聞いてしまったら巻き込まれそうじゃないですかっ」


「もう、私は聞きたかったのですけどねぇ。中央の実力者同士の争いなんて、とても楽しそうじゃないですかぁ」


(はぁ、滝さんも普段はおっとりしてるのに······十傑の方々は全員、危険思想の持ち主なんだもんな)

「本城様が戻るまでは、時坂純也を持て成す方向でお願いします。時坂純也を北陣営に迎える事が出来れば中央より戦力が増す事になるのを皆さんに伝えて下さい。では、この話はおしまいにします」


黒街彰達が最初に案内されたのは、食堂であった。100人は同時に食事が出来る大食堂だ。


「此方が食堂になります。皆様お腹は減っておりますか?」

後30分もすれば12時だ。皆、お腹が空いていると答える。


「それでは、食事をしていきましょう」

この大食堂での料理は、一人のシェフが造った料理を複製機で量産しているのだと案内役は説明する。

更に、生活に困っている人々に無料で開放されており、大食堂は何時の時間も人が絶えないのであった。


「俺は黒街彰です。あの、案内有難うございます。ちょっと聞いてもいいですか? 複製機って、噂のあれですよね?」

「噂? あぁ、そう言えば、決闘の時に郷倉様に教えて貰ってましたね。郷倉様が言っていた複製機が、この食堂にあるんですよ。あ、私は、森山裕実(もりやま ひろみ)です。宜しくお願いします」


他の皆も、自己紹介をして食事を頂く。複製された食事は、変わった所はなく、とても美味しかった。


次に案内された場所は、訓練場であった。

「訓練場です。ここは、様々な武器が置いてあるので、あそこの受付に申請すれば試す事が出来ます。それと、指南役を希望する事も出来ます」


剣に槍は勿論、三節棍やモーニングスターの様な変わった武器も置いてある。他には、筋トレ器具なども充実していた。


「結構充実しているな、昔はこんな物なかったのに······変わったもんだな」

「食堂も訓練場も、北陽さんが提案してくれたんですよ。探索や、生きる事に必要な設備は整えるべきだって言って」


「へぇ、さっきの代理さんか。彼は、探索者じゃないんだろう? 探索ばかりしていると、こうゆう事に気が回らないからな」


森山裕実は、訓練場も好きな時に使用して構わないと言うと、次の場所へ移動する。移動しながら、日用品や洋服が売っている店、探索で手にした物を売り買い出来る店も紹介した。


外へ出て、少し歩くと別の建物が見えてくる。


「この建物は、孤児院になります。今は、探索者育成所みたいな感じですが······私も、ここの出身なんです。因みに、黒街さんと闘った陸斗もここの出身ですよ」


話を聞いた黒街彰は、困った顔になってしまった。出会ったら絶対に絡まれる自身がある。


「陸斗は後輩です。お互いに、命があって良かったですね······黒街さん」

何方かが命を失っていたら、今の未来はなかったと、森山裕実の目が訴えていた。


(森山さんの言う通りだ、本当に良かった)

黒街彰は、森山裕実の放った言葉を理解する。鋭い眼光に、この人も実力者なのだと理解させられる。


「現在、探索者に成ろうとする若者は、この孤児院に登録する人が多いんです。安全に探索する為の補助を受ける事が出来るので」


一昔前に、争いで両親を失った子供が探索者として異界に行く事があり、多くの子供が命を失ってしまったのだと説明する。

子供を救う為に出来たのが、この孤児院であり。この孤児院を創ったのも北陽公雄なのだと言う。


「黒街さんも、本格的に八戸に拠点を移すのであれば、登録する事をおすすめします」


中へは入らず、簡単な説明に留めると、以上がこの敷地内にある重要な施設だと言う森山裕実。

「それと、本部を抜けた先に異界への階段が有りますので。一度、本部へ戻りましょう」


北陽公雄が居た建物は、本城尊の住居であり、王国の城でもある。だが皆は、本部と呼んでいた。


戻って来た黒街彰達を、滝陽子が出迎える。すでに、北陽公雄が言っていた住居は用意出来ている。後は、案内するだけであった。

「皆さん、おかえりなさい。裕実ちゃん、ちゃんと案内出来たかしらぁ?」


森山裕実が出来ましたと応えると、時坂純也も素敵な場所を案内して貰ったと付け足した。

本部では、異界へ続く階段の場所だけ見て又外へ出る。

敷地内から出て、住居へ案内してもらうと、今日は休む事にする。地球で危険なモンスターが居なくとも、流石に長い道のりで疲れが溜まっていた。


「この一軒家を使ってください。時坂さん、尊様が戻ったら迎えに上がります、其れまで自由にしてくださいねぇ」

敷地からは出たが、時間にして5分程度の場所にある一軒家。5LDKはありそうな、大きな家であった。


「はい、何から何まで手配して貰って助かります。所で、本城さんはいつ頃戻りそうですか?」

「尊様が探索に向かって1ヶ月程ですので、遅くとも2ヶ月以内には戻ると思います。私も、早く戻って来て欲しいと願っていますの」


時坂純也の問に答えると、立ち去る事にした滝陽子。

(はぁ、尊様早く戻って来てくれないかしら? 時坂さん、味方になっても敵になっても、とても楽しめそうですわね)


家の中に入ると、部屋割を決める。5部屋ある内訳は、黒街彰、舘浦喜助、時坂翔太、時坂純也とダ・ビャヌ、それと仕切りを外して皆で使う大きなリビングになった。


「俺達の分はあるが、今日中に彰君と喜助君の布団ぐらいは調達しとかないとな」


時坂純也が一人で買い出しに向う事にする。まだ他の人間が出歩くには、危険があるかもしれないからだ。

ダ・ビャヌは、キッチンの使い心地を確かめながら、夕飯は何にしようか考えていた。黒街彰達は、一通り家の中を探索してから休憩するのであった。


夜になり、ダ・ビャヌが作ってくれたクリームシチューを食べながら今後の予定を決めていく。


「本城尊が戻って、此処での生活に危険がないか確証が持てるまでは、個人での行動はしないようにしよう」

時坂純也が心配するのは、黒街彰だ。決闘で顔が割れている為、特に注意が必要であった。


「個人行動はなしだが、勿論探索は行くぞ。俺的には、先ず喜助君の実力を知りたいかな」

「俺も知りてぇ、喜助兄ちゃんとモンスターって強いのか?」

時坂純也は、舘浦喜助の戦闘を見た事が無いので今後の探索の為に知りたかった。時坂翔太は、モンスターと一緒に闘う事に興味があるようだ。


「ぼ、僕は皆さんに比べたら全然弱いですよ······でも、スラ吉もポチもジャンも闘う度に強くなっていくので」

モンスターは、宝玉を取り込まなくとも能力が上がり、進化もする。その事は、まだ説明していなかった。


「ほう、闘う度に強くなるのか? 其れは凄い。俺は永く生きてるけどよ、モンスターと仲間になるのは初めてだから楽しみだな」


話題は、舘浦喜助のスキルとモンスターに集中する。舘浦喜助が解っている範囲で説明すると男共は楽しそうに質問を繰り返すのであった。


明日の予定は、全員一致で舘浦喜助とモンスターの戦闘を直に見る事に決まる。


黒街彰は、青森県八戸市、北の地から初めて異界へ向う事にする。力をつける為の探索が、始まろうとしていた。


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