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第一章【旅の行方】西での事件

良い方法を思いついた舘浦喜助は、地上の人気がない山に来ていた。


「出て来いっ、スラ吉」

結果は······地上でもモンスターを出現させる事に成功した。


「やった、他の皆も呼んじゃおう」

他のモンスターは、進化した影狼のポチ、スライム3体、砂トカゲ2体、巨体蜂2体、斑熊1体であった。


「皆っ、此処は僕が住んでいる地球だよ。まぁ楽しんで行ってよ」

山の中でモンスターと遊ぶ館浦喜助。満足すると自分の身体に紋様が無い事に気付いた。


「そっか、モンスターを出していれば紋様が消えるんだよな······そうだ、皆ちょっとの間此処で待っててくれるかな?」

モンスターに待つように指示を出すと、スラ吉だけバックに入れて街に行く事にする。


最近は、異様な目で見られる事を気にして、買い物も満足に行えていなかったのだ。


(スラ吉が小さく進化してくれて良かったな、二人で買い物に行けるもんね)

バックに入ったスラ吉に小声で話しかける。スラ吉も嬉しそうに動いていた。


一度家へ戻ると、紋様が出来てから売りに行けなくなった魔石や宝石類を大きなバックに詰める、先ず向うのは探索者協会だ。

(恥ずかしくて売りに行けなかったからな······この量なら結構なお金になっちゃうんじゃないのっ)


ウキウキしながら、探索者協会に着いた舘浦喜助。300個の小魔石と宝石3種類の買取をお願いする。

「随分と大量にお持ち頂いたようですね、少しお時間頂きます」

「はい、宜しくお願いします」


「お待たせしました。此方が査定額になります」

査定された金額は、900万円。舘浦喜助は、自信で稼いだ大金に手が震えていた。

「あの、それでお願いします」


売ったお金を受取り、今度は買い物に行く。

(大金持ち歩いて大丈夫かな? スラ吉連れて来といて良かった、心強いや)


先ず向かったのは、大型スーパーだ。必要な日用品を買う予定であった。

(うっ、痛っ)

足に痛みが走る。

(なんか足首に凄い痛みがあったけど······一瞬だけだ、うん大丈夫だ、ね)

足を触って確かめたが、今は何ともない。


買い物を続けていると、今度は肩に激痛が走った。

(痛、左肩が引き裂かれたような······な、何なんだよ)

肩を手で揉んでいると、痛みは無くなっていた。


その後も、胸や顔、背中、腕と連続で痛みが襲ってくる。

(痛い······身体中に痛みが······あ、あれ、痛い場所って······紋章が有った場所じゃ、ないか?)


(痛みが来ていない紋章の位置は、腹と腿と首だ、それとスラ吉の、手の甲だな)

紋章の位置を思い出しながら、痛みの原因を考える。


(もしかして······っ痛)

今度は、腿と首、同時に激痛が走った。

(うぅ、う、痛い······人間に見つかって、倒されてるのか? クソっ······後、腹の紋章は······ポチだっ、どうすれば?)


舘浦喜助は、強く念じる。

(ポチっ、僕の処に戻って来いっ)

すると、腹の辺りが暖かくなった気がする。

(お腹、見てみよう)

服を捲ると、舘浦喜助の腹には、何時もの紋章が浮き出ていた。

(あ、良かった······待て、他の皆はどうなったんだろう?)

他のモンスターにも、戻るように念じて行くが舘浦喜助の身体に紋章が浮かぶ事はなかった。


買いたい物は沢山あったが、現在カゴに入れた物だけ買うと一度家に帰る事にする。


(どうしよう、山に行きたいけど······危険かなぁ)

家に着くと、叔父がテレビを見ていた。

「喜助、おかえり。このニュース知ってるか?ついさっきの話だってよ、しかもこの辺だろ、この山」


「えっ、ニュース? く、詳しく教えてっ」

ニュースの内容は、街に近い山にモンスターが現れたとゆうものであった。


山の近くで、畑の世話をしに来た農家の人がモンスターを遠めから発見すると、探索者協会へ連絡したと言う。

探索者協会に居た数人の探索者が見に行った処、本当にモンスターを発見、そして無事に討伐したと報じられていた。


「現実にモンスターなんて、危ねぇよな? 一般人の俺は震えて動けなくなっちまうよ、モンスターが来たら頼むぞ喜助」

「う、うん。でもモンスターが此処に来る事なんて無いと思うよ······」


部屋に入り、一人考え込む舘浦喜助。

(僕はバカだっ、もっと人目につかない奥の方にしとけば······てゆーか、部屋とか絶対見られないような場所にしとけば皆が倒されないですんだのに)

(それに、モンスターを地上に放ったのが僕だってバレたら逮捕されるかも······凄いニュースになってるしヤバいよ)


今でも人目を避けて探索していた舘浦喜助だったが、今以上に気おつけて探索しなければならなくった事に溜息が出る。

(はぁ、皆ごめんね)


それからの半年間、舘浦喜助はモンスターと新たに契約する事はしなかった。

その代わりに自分の闘い方を確立していく事になる。


「初めての二ノ扉だ、モンスターが物凄く強くなるらしいから頼むよ二人共」

舘浦喜助が声を掛けたのはスラ吉とポチだ。二ノ扉へ入ると、人目が無いことを確認してから紋章から出す。


少し歩くと、モンスターの気配がある。発見したモンスターは、オークであった。

オークは、二足歩行の豚の様なモンスターで、武器を扱う戦士の様な闘い方をする。


「敵、発見。行くぞっ」

ゆっくりと近づいて行く。舘浦喜助の手にはハンマーが握られていた。

舘浦喜助は、取り込んだ宝玉が攻撃力に偏っていた。攻撃力を活かせるハンマーで闘うのが今の攻撃方法である。


お互いに攻撃が届く位置まで近づくと、ハンマーで殴り掛かる。オークも持っているロングソードで攻撃してきたのだった。


「有り難うっ」

舘浦喜助のハンマーが、オークの左脇腹を捉える。それより少し早くオークのロングソードは、舘浦喜助の首を捉えていたが······鈍い金属音と共に弾かれていた。


腹にハンマーの重い一撃をくらったオークが、くの字になってる処へ後ろから追撃するのはポチであった。鋭い爪がオークの首を切り裂く。


「やった。二人共、二ノ扉でも通用するね」


これが今の舘浦喜助の闘い方であった。本人は防御も回避もせずにハンマーによる打撃を行い、それを守るのはスラ吉の仕事であった。

舘浦喜助に普段からくっついているスラ吉。敵の攻撃に合わせて動き、硬質化で弾く。

この相討ち覚悟の攻撃は、決まる事が多くダメージを負った敵にとどめを刺すのがポチの仕事だ。


それと、スラ吉とポチは、進化した最初の頃より強くなっていた。モンスターは、モンスターを倒す度に能力が上がるようだ、そのお陰で二ノ扉でも探索が可能になっていた。


「もう少し探索したら、帰ろうか?」

この辺には、オークがよく出現する。少し歩く度にオークと遭遇してしまい、あまり先に進む事が出来ないのだった。


「はぁ、流石二ノ扉だ、モンスターが多いね。やばい疲れちゃったよ······今日は帰ろう?」

舘浦喜助が帰ろうとした時、空から音も無く襲われる。襲って来たモンスターは、サイレントバードと呼ばれる鳥型のモンスターであった。


サイレントバードは舘浦喜助に近付くと、大きな足で掴みかかってきた。

全く気が付いていない舘浦喜助の代わりに、スラ吉が防ごうとするが、スラ吉が掴まれて空へ連れて行かれてしまった。


「っ、スラ吉······ポチっ追いかけるぞ」

舘浦喜助は、焦って追いかけ始めた。スラ吉ならば、紋章へ戻せば回収出来たのだが、焦っていて気付けない舘浦喜助であった。


一方、空に連れて行かれたスラ吉は、簡単に掴まれた足から抜け出す事に成功していた。


サイレントバードの得意技は、音を消して近づく奇襲である。身体に纏わりつかれると反撃する手段は持ち合わせていない······スラ吉の攻撃を一方的受ける事になっていた。


「ポチっ右の方に落ちて行ったぞ、って、又オークかよ」

ポチによる先制、その隙をついて攻撃する舘浦喜助。スラ吉による自動防御がない状態では、無理は出来ない······何とか倒す事が出来たが、時間がかかってしまった。


「はぁはぁ、やっと倒せた、早く行こう······スラ吉、大丈夫かな」

スラ吉が落ちていった方向へ進んで行くと、其処には血まみれのサイレントバードと、その上に佇むスラ吉の姿が有るのだった。


「スラ吉がやったの?」

スラ吉は、「そうだ」と言うように何度か跳ねる。

「まだ生きてる?」

(鳥型のモンスターか? 空を飛べるのは役に立つよね······)

「良し、久しぶりに仲間を増やそうか? 二人共仲良く出来るかな?」

スラ吉もポチも、舘浦喜助の言う事に反対する事はない。舘浦喜助は、二人共に出来ると言ってると捉えてサイレントバードと契約する事にした。


「成功だね、紋章は何処かな?」

目で見える範囲には見つけられない。舘浦喜助が、この半年で成長した一つに身体に紋章がある状態ならモンスターの存在を感じられるようになっていた。


「背中かな? うん、鳥さんだからか。そうだ、名前を付けてあげなきゃね。」

名前を考える為に、紋章から出て来るように言う。


「ちゃんと姿を見てなかったからね、結構大きいね」

サイレントバードは2メートル程の大きさであった。


「う〜ん、大きい鳥か···ジャンボ···バード···良しっ、君はジャンだ。今日から宜しくね、ジャン」

サイレントバードのジャンを仲間に加えて機嫌良く地上へ戻って来た舘浦喜助。戻ると街がなんだか騒がしい······


街で、一つの話題で持ち切りになっているのに気づいたのは、巨大スクリーンに映し出された知っている顔を発見したからであった。


「ん、あれって······黒街さん?」

スクリーンでは、黒街彰と板垣陸斗が闘っている最中であった。

舘浦喜助は、仲間のモンスターとの探索や、闘い方ばかりに夢中になっていた為、地上での出来事を知らなかったのである。


「うわっ、危ないっ、やばい、やばい······黒街さん頑張れ」

闘う理由は知らないが、知ってる人間が映っていたので真剣に応援する。


衝撃を受けたのは、闘いが終わった後であった。

何となく見続けていると、黒街彰が本城尊に質問をしている。

「人を生き返らせる方法······」


舘浦喜助の心臓が速くなる、嫌な予感が襲いかかる。

(スクリーンの何処かに、女神様の姿がないか? 卒業してから時間は立ってるけど······)


海野結菜が卒業してから、2年以上の年月が立っている。舘浦喜助は、それでも海野結菜と黒街彰が離れる事はない······そう思っていた。


スクリーンの映像が終わってからも、動けないでいる舘浦喜助。

(中央に、中央に行って、ちゃんと確認しなきゃ)


こうして舘浦喜助は、黒街彰の元へ訪れる事になったのであった。


✩✫✩✫✩


黒街彰と舘浦喜助が出会った日から、3日が立った。

(あれから見ないけど、何だったんだろう? 舘浦喜助さんか······あの時は、「勝手な事言って」って思ったけど、結菜の知り合いならちゃんと話してみたかったな)


黒街彰は、毎日二ノ扉へ向う。決闘が終わってからは、指輪を返した事で下がったステータスでの戦闘を確かめていた、「二ノ扉でも闘える」そろそろ次に進みたい······そう、黒街彰は考えていた。

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