ミケとツカサ
昔からおばあちゃん子だった私は、ツカサと付き合い始めたばかりの頃、両親に紹介するよりも早くおばあちゃんのところに、ツカサを連れていった。
おばあちゃんの住んでいる町はド田舎で、バスも一時間に1本走ってればいいくらいの場所だ。
子供の頃はおばあちゃんの家に遊びに行くと海が近いからと、よく潮干狩りに連れていってもらった。
ツカサと二人で遊びに行ったのは、ツカサが行方不明になるちょっと前の事だった。
「ーー幸せにしてあげてね」
おばあちゃんは、うっすらと目に涙を溜めてその一言を呟いた。
「ーー任せてください」
ツカサはそう言っていたはずだ。
「約束ですよ!」
「はい」
ツカサとおばあちゃんは、そんなやり取りをしていた。私はその話し声を聞きながら、足元に纏わりついてくるミケと遊んだ。
ミケは私だけじゃなく、ツカサにも纏わりついている。
私と同じで、ツカサも動物好きなのが、わかったんだろう。
ミケはそれほど警戒もせず、ツカサの匂いを嗅いでは離れてを繰り返している。
ミケもツカサに興味津々な様子だった。
ツカサもミケをじゃらしたりして、遊んでいる。
今では懐かしい思い出だ。
なのにーーウソつき!いなくなったじゃん!なんて、もう言えるはずもないだろう。
ミケとツカサが出会った次の日。
彼は行方不明になった。
今ではツカサが行方不明になってから七年が経ち、彼の遺体もようやく見つかった。
認めたくはないけど、私もそろそろ本当に彼の死を認めなければならないだろう。
ーーおやすみ、ツカサ。帰ってきてくれてありがとう。
ーーゆっくり休んで。
ーーまた会おうね!