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奇跡  作者: みゆたろ
10/15

二人の想いが交わる時

「ーーあの時はごめんね。病気の事とか何も言わず、そのまま消えたりして。私ね、何も言わず病気を治すつもりでいたんだ。周りの人には何も言わず、元気になってから報告しようと思ってたーーそれなのに、いい報告なんて出来なかった。私は死を迎えたーーだけど、みんなが私の事を思ってくれてた。病院に入院してからしばらく経ってたのにーー」


顔色を窺うようにして、宏美が泣きながら言った。

私の頬を温かい雫が流れ落ちていく。


「ーー宏美」


感極まって、私は宏美に抱きついた。


「ーー私の方こそごめんね。何も分かってなかったね。単純な私はあの時、宏美がくれたラインの言葉「大丈夫」って言葉だけを、1ミリも疑わず信じていたんだ。だけど、少しくらい疑うべきだったんだよね。今だから思う事で別に宏美を責めるつもりもないんだけど、あの時、ほんとは宏美の辛さ、、少しでも話して欲しかったんだ。私が聞いたところで何も出来なかったと分かっているけど、それでも宏美の事が知りたくて」


これまで私が感じていた感情ものが、次々と口をついて飛び出してくる。


「そうだよね?」


宏美の大きな瞳が、少し小さくなったと思ったら、大粒の涙が流れ出す。

お互いの気持ちを拾い集めるようにして、うんうん、と頷き合っている。

無言のまま、数秒間の時間が流れた時ーー二人の言葉がはもる。


「ーーごめんね。それとありがとう!」


私は不意に前回の彼の事を思い出した。

彼が出てきた時、私に彼の体を探してくれと言った。もしかしたら、宏美もーー??


「ーー宏美、もしかして今の私に何か出来る事があるの?」


宏美は静かに頭を横に振って否定する。


「ーーあなたに伝えたい事があって、ココに来たんだ。。これから色んな事があると思うけど、絶対に負けないで!私はずっとあなたを見守ってるからね!!」


宏美が微笑む。


先ほどまでより大粒の涙を流しながら、宏美の言葉に、何度も何度も頷いた。


私の心の中が、とても温かい光に包まれた。


「ーーごめんね。もう行かなくちゃ」


宏美は途切れ途切れにそう言うと、突然消えてしまった。


ーーにゃー。

ーーにゃー。


ミケも鳴いている。

私も涙が止まらない。。

あー、こんな温かい感情を私は忘れていたんだろうか。


宏美とまた出会えて、私は温かい気持ちになった。


ーー宏美。

ーー宏美。

ーーヒロミ。

これからはあなたをずっと忘れないよ。


ーーミケ、宏美の事を思い出させてくれて、こんなに温かい気持ちを思い出させてくれてありがとう!

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