都市上の冬
今朝は晴天
雲ひとつない。
冬の陽射しは優しい
ビルの谷間から漏れ出る
透明と言ってもいい程の蒼
その繊細な光
高層ビル群を縫って
見えないカーテンを演出する
人々だけが忙しく動いている、この今朝
例えば、ビルに写る
あおあおとした大空
例えば、遅刻しそうな
サラリーマン
或いは、澄み切った
冬の空気
或いは、帰宅する
夜勤明けの消防士
そんなに急いで
どこへ向かうのか
そんなの分かってるでしょ
とぼけるつもりなんてサラサラないけど
もうちょっとだけ
あとちょっとだけ
冬の中で息していたい