表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
掃除屋ですが何か?  作者: 夜影灯月
1/3

一話

「ママ!!ぼく大きくなったらヒーローになりたい!!」


「あの赤レンジャーかっこいいよね!!ぼくもあんなふうに強くなって、だれかを助けるから!!」



ーーーー


ヒーローになりたい、人生でした。



「うわっ!!」


「ってぇ……んだよ……ってこれは…赤レンジャーのフィギュア……?」



時計を覗くと、朝8時。今日も俺の一日が始まる。


今日のシフトが夕方でよかった。そうでなければ今頃携帯がジャンジャン鳴り響き、店長の怒声が飛んできていたことだろう。それでもあの……赤レンジャーのフィギュアが落ちてこなければ、昼過ぎまで寝ていたことは確かだ。


「にしてもこれ……まだうちにあったのかよ…」


そのフィギュアを手に取り、様々な方向から眺める。埃をかぶっていてトレードマークの赤色ももう褪せてしまっていた。


昔は…と言っても小学生くらいまでの話だが…ヒーローにこれでもかというほど憧れていた。


まあ、誰だって男なら小さい頃はヒーローで育つはずだから、べつに珍しい話でもないだろう。


むくりとベットから起き上がり、キッチンから食パンを一切れと冷蔵庫にある苺ジャムを取り出す。

俺は昔から、食パンは焼かずに食べる派だった。そのせいで今も焼いていない。


というか、焼かない方が断然美味いだろうが。


厚めにジャムを塗り、数分で口に詰め込む。牛乳で流し込むと、洗面台に向かった。


歯磨き粉を多めにつけた歯ブラシで、シャコシャコと歯を磨いていく。……すこし無精髭が目立つようになってきたか。剃らなきゃな、と思い、剃刀を戸棚から取り出す。


歯磨きを終わらせると、髭を剃り、普段着に着替え、テレビをつけたのだった。



『続いてのニュースです。昨日、悪魔病とも呼ばれる、未だ解明されていない謎の病気、モイエントの感染者数が、過去最高の三百人に昇りました。』


モイエント…最近になってよくその名を聞くようになった。奇病、と言われている。


詳しくは知らないが、モイエントに感染すると脳が駆逐されていき、次第に腐敗。そうすることにより過去の記憶から順番に記憶が消え、すべての記憶が消えると体が変形していく。そして最後には得体の知れないモンスターになり、駆逐者が排除しない限り死滅しない……


恐ろしい病気だ。この病気はモイエント完成系の感染者に触れられたりするだけで感染してしまう。

噛まれればその場で一瞬にして記憶が消え、すぐに完成系の体になってしまうんだとか。


しかし…この病気は最近できたものではなかった。

ずっと昔、悪魔がいた時代から蔓延っていたという噂もあるほどだ。


しかしそれまでは感染者も少なく、年に一人や二人程度のとても珍しい病気だった。だからこそ研究が進められていなかったのだ。


にもかかわらず、最近になってこう蔓延し始めた理由は、専門家にも分からないらしい。


そのせいで人は外に出なくなり、経済は落ち込むばかり。いいことがあったならば、治安が少し良くなった程度だった。まあ、ずっと家に居たり、いつ感染するか分からない恐怖で精神を病み、自殺する者が増えたらしいから、治安が良くなっても関係ないか……?



俺ほどの出不精だと感染するリスクもほとんどないが。まだテレビ以外で、完成系の感染者も見たことがない。


見つけたとしても、得意のダッシュで逃げればいいだけだ、問題はない。


そう思うことにして、テレビの内容を聞き流して夕方まで暇を弄んでいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ