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no_title 題名のない物語  作者: 藤原 アオイ
第一章 project angel
7/68

弾丸と秘密

女子がいない……。

なぜだ。

A.自分の力不足です。ごめんなさい。

 06


「ちょっとそれ貸してくれますか?」


 渡辺さんは、銃の反動でよろけている僕にそう言った。

 僕はよくわからないまま、彼に火縄銃を預けた。


「やっとかないと洒落にならないんですよ。」


 そう言いながら彼は、銃身を冷やしてから、馴れた手つきで分解していく。

 そして、残った火薬の掃除をしているようだ。

 あとで知ったことだが、これをしないと、命中精度が落ちたり、暴発したりするらしい。

 火縄銃、恐ろしい。


 掃除は一段落ついたらしく、彼は僕に話しかけてきた。


「あたった場所を確認したいので、的をとってきてくれるとうれしいです。」


 往復で40メートルも歩くのかと思うと気が滅入る。


「言い忘れてました。あのボタンを押すだけです。」


 そう言うと彼は作業をする手を止め、色々な武器(?)が置かれている机の方を指さした。


 僕は、その机の方に歩いていく。

 さっきまでは意識していなかったが、うっすらと硝煙のにおいがした。


 机の上を漁ってみる。

 手裏剣、ブーメランその他色々。

 何回見ても意味がよくわからない。


「そこじゃなくて、近くの柱です。」


 もう作業を終えて、組み立て直しているみたいだ。


 僕は柱の謎のボタンをポチっと押した。


 天井から細長いアームが出る。

 そしてそれが的を持ち上げる。


 クレーンゲームを見ているような感覚になった。

 クレーンゲームと違って全自動だったが。


 アームは僕というか、ボタンのすぐそばに止まった。

 僕が景品、じゃなくて穴の空いた的を受けとると、アームは天井に帰っていった。


 帰っていくアームを見つめていると、真後ろに渡辺さんがいた。


「それ、貸してくれますか?」


 もともと僕のでもないし、素直に彼に渡した。


 彼はゆっくりと空いた穴を触りながらこういった。


「能力ってすごいですよね。」


 と。お世辞とは思えなかった。

 彼の目は、どこかずっと遠くを見つめているようだった。


「聞くべきか迷ったのですが、」


 渡辺さんは、ゆっくりと話しはじめた。


「横田君は、【新船】という名字に聞き覚えはありますか?」


 ないはずがない。

 30年くらい前に、この国を救ったとされる能力者の名前。

 確か新船ミサだったと思う。

 でも、僕はこういった。


「ない、と思います。」


 そう言うと渡辺さんは、いつものように微笑んで、


「やっぱり、今のは聞かなかったことにして。」


 と口の前に人差し指を立てた。

お読み頂きありがとうございます。

次回はバトルと思わせつつのキャラクター紹介です。

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