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no_title 題名のない物語  作者: 藤原 アオイ
第一章 project angel
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真相と依頼

 03


「今回の事件。君も知っている通り、被害者の命に別状はなく、能力だけが奪われている。いや、正確には、能力が使えない状態にされている。」


「使えない状態、ですか?」


「ああ。能力はどこから出力されている?」


 能力の出力。全くピンと来ない。


 僕は、俯いて首を振った。


「そんなつもりで言ったわけじゃないのだが。」


 僕には、渡辺さんの意図が全くわからなかった。


 だが、心当たりはあった。


「神経伝達物質みたいな?」


「当たらずとも遠からず。その認識でかまわない。そして我々は、それを『能力回路』と呼んでいる。」


『能力回路』。


 はじめて聞く単語だった。


「もしかして、被害者は、その回路を?」


「ご名答。能力を使えないどころか、使おうとすると、全身に激痛が走るそうだ。」


「被害者はどうなっているんですか?」


「……見たいのかい?」


 この支部のデータではないという前置きを聞き流し、写真を受け取る。


 写真に写っている彼らの顔は、どこか怯えているようだった。


 数枚目の写真。


 現場だと思われる写真。


 白い仮面をつけた少女が写っていた。


 その仮面には、返り血がベットリとついていた。


 そしてその後ろにあるダラリとした赤い物体。


 仮面の人物はどこか笑っているように見えた。


 僕は彼女をどこかで見たことがある気がする。でもどこで? 思い出せない。考えれば考えるほどわからなくなっていく。その後僕は、写真を床にばらまいて倒れてしまったらしい。



 それから数十分後。


 何もなかったかのように渡辺さんは、話をし始めた。


「まず、その写真の被害者。学年は新中学1年生。これまでのように命に別状は無いようです。ただし、回路がめちゃくちゃにされているため、能力の使用は不可能。今は、船橋支部に収容されているようです。」


「で、犯人は誰なんですか?」


「まぁ、落ち着いてくれ。候補にあがっていて、アリバイが無いのは二人。」


「なら、捕まえればいいじゃないですか。」


「そういうわけにはいかないんだよ。」


 これが噂に聞く「大人の事情」というものなのだろうか。僕にはよくわからない。


「で、本題の被疑者ですね。一人目は、ウチの支部の『赤城アオイ』。能力は監視者だったかな。彼女であれば、回路の破壊も可能だろう。ただ、奴は生粋の研究者だからな。どうせ研究所にこもっていただけだろう。」


 そう言って彼は大きなため息をついた。


「えっと、赤城さんと何かあったんですか?」


「いや、何でもない。ただ、毎回とんでもない論文を送りつけてくるだけですね。『能力回路』とか、『多重能力』とか能力関係のですよ。」


「で、もう一人は?」


「船橋支部の『藤原ミツキ』。こっちに関しては本当に情報がないようで……。」


 そう言い、彼は深々と僕に頭を下げた。彼が謝ることでもないと思うのだが。


「支部の見解としては、彼女が今回の犯人ということだそうです。」


 僕が呼ばれた意味がよくわからない。そう言うと、彼は笑顔でこう言った。


「東葛支部からの依頼、いえ、指令です。事件の沈静化のために犯人をサクッと倒してきてください。君なら出来ますよね?」


 ちょっと意味がわからなかった。

次回はバトルシーン?それとも?

お読み頂きありがとうございます。

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