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no_title 題名のない物語  作者: 藤原 アオイ
第一章 project angel
21/68

咲き乱れし赤い花 終

過去編終わりそうです。

19


「何かの、間違いですよね?」


僕の手は震えていた。寒い訳じゃない。ただ、聞くのが怖かっただけだ。


「ええ、すべて事実です。」


いつもよりも真剣な表情で彼は答える。否定して欲しかった。彼が誰かを殺したという事実、それよりも、彼自身が誰かを殺すための装置として産み出されたという現実を。


日記にはまだ続きがあった。

僕はそれに救いを求めてページをめくる。


XX/XX

外にライフルを持った外国人が歩いているのが見える。

外には彼ら以外誰もいない。

いつもの喧騒が嘘のようだ。

私達は黙って部屋の隅に隠れた。


足音が近づいてくる。

誰かが身代わりになるしかなかった。

当然の如く、私が身代わりになった。

この日記は娘に預けることにする。

good luck,little angel.


ここで日記は終わっていた。


救いのない物語。生き延びたのは、10歳になったばかりの娘さんとミサの二人だけだった。

八雲さんは彼女らを庇うために盾になって死んだらしい。直接的な死因は頭を貫通した銃弾だそうだ。

許せなかったのだろう。憎かっただろう。

彼女はもう何も信じることができなかった。

周りにいるのはすべて敵。

ボクたちを否定(ころ)した人間。

そんな世界、存在する意味がない。


そうして、復讐姫の伝説が始まった。

彼女は、攻めてくる軍勢を文字通り殲滅した。

写真に映る彼女は、とても綺麗で、とても残酷で、それでいてとても悲しそうだった。

やっとここまできた。

お読み頂きありがとうございます。

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