咲き乱れし赤い花 7
過去編、もうすぐ終わります。(予定)
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三冊目の日記を開く。
何日も「特になし」と書かれていた。
何もなかったはずがない。
赤いインクが涙でにじんでいたから。
さらにページをめくる。
何日かだけ黒い文字でミサのことが書かれていた。
検体番号33番。
安直なネーミングだが、ミサとよぶことにした。
彼女は、八雲にとてもなついていた。
彼といるときが一番楽しそうだった。
私の娘ともよく遊んでくれた。
笑顔がとてもかわいい子だった。
研究所の偉い人は、彼女のことを「天使」と言った。
project angelの完遂は近いのかもしれない。
そうすれば、八雲は、みんなは自由になれるのかな。
XX/XX
事故が起こった。
検体番号28番、■■が能力を暴走させたらしい。
■■は現在行方不明。
また、彼の暴走により、研究所の一部が消失。
検体番号25~30の5名が死亡。
研究員数名が重体。
その日、ミサは一日中泣いていた。
もう戻って来ない彼らを想って。
僕はそのページを何度も見返した。
何かがひっかかる。
この前のミサの「裏切り者」という言葉。
28番という検体番号。
あと少しで真実にたどり着ける気がした。
お読み頂きありがとうございます。




