表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
no_title 題名のない物語  作者: 藤原 アオイ
第一章 project angel
16/68

咲き乱れし赤い花 3

14


4/1

プロジェクトが始動した。

私は、メンタル面のケアのために派遣された。

家には娘が一人いる。

まだ生まれたばかりの子だ。

研究所に連れてくる訳にも行かないから、親に預けることにした。


4/2

研究の概要について教えられた。

ここまで非人道的な実験は聞いたことがない。

研究所の中心部には、赤子が入れるくらいのガラスケースがあって、中に産まれる前の子どものような何かが浮いていた。

何人かが吐き気を催し、退出していった。

忙しくなりそうだな、と思った。


4/3

カウンセリングの予約がきた。

男性だった。

涙ながらに語られる言葉は支離滅裂だったが、とりあえず励ましておいた。

笑顔でカウンセリングルームを出ていく姿が印象的だった。



この後の数ページは雑に破られた跡があった。


7/7

七夕。

一人目の研究素体が取り出される日。

成長促進剤により、10歳くらいの肉体になっている。

手術衣にくるまれたその身体はまるで人間のようだった。

研究員はそれをno.1としか呼ばない。

だから私はそれを一夏(いちか)とよぶことにした。


7/15

一夏が、偉い人に連れられてカウンセリングルームにきた。

話して見ると、本物の人間のようだった。

彼女は、また会おうね。と言ってくれた。

私は笑顔で頷いた。



この後のページには、毎日、一夏さんのことが書かれていた。


二冊目の日記。数年後のものなのだろう。赤い文字でこう綴られていた。



3/3

一夏が死んだ。

死の理由は明かされなかった。

守ってあげられなかった。

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

気づいてあげられなくて、ごめんなさい。


僕は途中にも関わらず、日記を閉じた。

お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ