咲き乱れし赤い花 3
14
4/1
プロジェクトが始動した。
私は、メンタル面のケアのために派遣された。
家には娘が一人いる。
まだ生まれたばかりの子だ。
研究所に連れてくる訳にも行かないから、親に預けることにした。
4/2
研究の概要について教えられた。
ここまで非人道的な実験は聞いたことがない。
研究所の中心部には、赤子が入れるくらいのガラスケースがあって、中に産まれる前の子どものような何かが浮いていた。
何人かが吐き気を催し、退出していった。
忙しくなりそうだな、と思った。
4/3
カウンセリングの予約がきた。
男性だった。
涙ながらに語られる言葉は支離滅裂だったが、とりあえず励ましておいた。
笑顔でカウンセリングルームを出ていく姿が印象的だった。
この後の数ページは雑に破られた跡があった。
7/7
七夕。
一人目の研究素体が取り出される日。
成長促進剤により、10歳くらいの肉体になっている。
手術衣にくるまれたその身体はまるで人間のようだった。
研究員はそれをno.1としか呼ばない。
だから私はそれを一夏とよぶことにした。
7/15
一夏が、偉い人に連れられてカウンセリングルームにきた。
話して見ると、本物の人間のようだった。
彼女は、また会おうね。と言ってくれた。
私は笑顔で頷いた。
この後のページには、毎日、一夏さんのことが書かれていた。
二冊目の日記。数年後のものなのだろう。赤い文字でこう綴られていた。
3/3
一夏が死んだ。
死の理由は明かされなかった。
守ってあげられなかった。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
気づいてあげられなくて、ごめんなさい。
僕は途中にも関わらず、日記を閉じた。
お読み頂きありがとうございます。




