オープニング
俺の、渡誠の前にひとつのヘッドギアがある。
これを被るだけで、もうひとつの・・・いや、様々な世界へ行けるという代物だ。
新品ではなく少しの使用感が見えるそれは、今では俺の相棒のような物だ。
長ったらしい前置きは無しだ。
俺はいまから、新たなゲームに文字通り[入る]。
これから起こる出来事を頭の中で想像しながらスイッチを入れた。
「welcome to variable drive Online」
目を閉じていたはずの視界が開かれていく。
真っ白な世界が広がっている。
だがこれは、大体のVRMMOでは普通と言えるだろう。
そろそろ来るかな?
ポンっ!
という音と共に、小さな手の平サイズの妖精?のようなものが現れた。
「ようこそー!このゲームをお買い上げありがとうございまーす!」
陽気な性格のようだ。
「まずは自己紹介から!私はPi78no23・・・と言っても分かりにくいと思うのでピノと申します!」
羽を動かしていないのに、宙に浮きながらにこやかに言う姿はまさにファンタジーだ。
まあ、名前で分かるとは思うが人間ではない。
人工知能、AIだ。
一昔前には発達しすぎたAIによって人類が危機に陥る映画作品なんかもあるくらいには有明だろう。
だが最近のVRMMOに使われるAIは、人と遜色ないレベルだと言うことが今日までの実験で立証されている。
今のところはそんな事態にはなっていない。今のところは、だが。
「それでは早速キャラクターメイキングをしましょうか!」
「よろしく」
ピノが目の前に半透明なボードを出した。
「最初にキャラのお名前はどうされますか?」
「りんご飴で」
「りんご飴・・・と。美味しそうな名前ですねぇ」
なにせ昨日神社のお祭りで食べたばかりだからな。
「種族はヒューマン、性別は変えられないので男で、キャラの見た目はランダム生成・・・ですね」
細かいところは適当でいいのだ。特にプレイに変わりが出る訳でもない。
「では、メイン職業は何にしますか?」
来たか。
この難題。購入を決め、ゲームのホームページに載っていた初期の職業全てとにらめっこを繰り返すこと一週間。
ついに決めることなくここへ来てしまった。
「その顔は決めていないのですね?わかりますよ、ここでの選択は重要ですから!」
ふんす!と鼻息が荒いピノ。こら、顔が近い。
初期に選べる職業は数えるほどしかない。
が、この手のゲームは初期の職業から派生する職業が数えるのが嫌になるレベルになることが多いのだ。
と言っても決まったプレイをする人間でもないのでランダムにしようかと思っていると、
「迷ったときの為に職業診断なんてものもありますよ?」
「あるのか・・・そんな便利なもんが」
ホームページには書いてなかったぞ。
悩んだ一週間返して。
「多分ですけど、こうなることを予測してたんじゃないですかね?私にもわかりませんが」
分からないのかよ。それでいいのか案内役。
「じゃあその、診断をやってみようかな」
「以上です。ちょっと待ってて下さいねー」
その職業診断は質問に答えていくタイプで、
性格診断のようなものから怪しげな質問まで何問答えたか忘れたけど、とりあえず終わったらしい。
「出ました!りんご飴さんのオススメ職業は鍛冶師です!」
待ったのは2分ほどだろうか。ピノがどや顔で答えた。
「へぇ、鍛冶師ねぇ・・・」
あまり後衛、というより生産職ってあんまりやったこと無かったっけ。
選ばれた理由とか気にならないとは言わないが・・・。
考えるまでもないか、やってみないと楽しみ方も分からないしな。
「じゃあ、それでいってみるよ」
「わっかりましたー!それでは後は戦闘のチュートリアルになりますが、やっていきますか?」
さっき聞いた限りでは前にやっていたゲームと変わらないようなのでこれはキャンセルだな。
「いや、やらないで行くよ」
「了解です。以上で終わりになります。短い間でしたがお疲れ様でした。それでは最初の街に転送します!」
「そっちもおつかれさん。頑張ってなー」
「ありがとうございまーす!頑張りまーす!」
最後まで元気なピノに見送られ、視界が白く染まっていく。
さあ、ここからは新しい世界だ。
やっぱりこの瞬間が一番ワクワクするポイントではないだろうか。
これから自分が何を成すのか、今の自分は分からないけれど。
とりあえず、まずはレベル上げだな。なんて考えながら転送の完了を待っていた。
導入部分なのでかなり大雑把にしてしまった。
本編ではないのであまり長く書くのもなぁ、と思いながら。
こんな感じで行くのかどうかも分かりません。
ブレブレなら笑ってやって下さい。
拙い作品ですがよろしくお願いします。




