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125 部屋

読んで下さりありがとうございます。

(明日はどうするかな)


 照明の光が部屋を満たす自室。

 椅子に座って銃を弄りながら、訓練の予定について考える。

 

 訓練は魔法の反復で練度上げを中心に、模擬戦と個別の取り組み、合間合間に休息を挟むといった流れ。

 練度に関してはそのときの進行状況で判断するから省いて、他は前もって決めた方が滞りない。

 

 模擬戦は様々な条件を設けて行なうことが多い。

 普通に戦いもするけど敵によっては好機を待つ、まともに相手にしないなど冷静な立ち回りが要求されたり最良だったり。 

 だから攻守で分かれる等の制限を課して対応力を身に付ける。


 それと足場の変化や障害物など要素を追加し、外の環境を再現してより実戦に近付けてもいる。

 最近はギルド活動で各所に足を運ぶことも増えたし、雰囲気だけでも慣れてもらいつつ。

 場の形成には追手の妨害に用意した魔弾の残りを利用。何だかんだ出番がある。


 個別では、クランヌはエシュトラールセの習得が主。

 俺の役目は魔法の見本と精度の確認。

 ひたすら型を練習といった感じで、やることが決まっているから考えることは特にない。

 

 反対にシルムの方は大変。

 教えてるのは新しい魔法とダガーの扱いを含めた近接での動きについて。

 

 それ自体は持ってる知識を伝えるだけなんだが…シルムは物にするのが早いのが当たり前だから、それに合わせ内容を増やして予定を立てる必要がある。 

 かといって一度に詰め込みすぎるのも良くない…と、捗って逆に配分が難しい状態。

 勿論、行き詰まるよりかは断然いい。


 そして二人とも最近は休憩を短めに励む向上心の塊。

 シルムは世話、クランヌは商売の面で倒れたら不味いと自覚があって、いちおう無理しないよう言ってるが自己管理はしっかりしてる。

 頑張ってるのも逸脱しない範囲の中で。


 さて…これらを踏まえた上で、どう組み立てようかーー


 


 コンコンコン。

 考えが纏まった頃、部屋の扉が叩かれる音。

 次いで来訪を告げる声。


「センお兄さーん、来ましたよ」

「開いてるから入っていいよ」

「お邪魔しますっ」


 入室を許可すると扉が開かれシルムが自室に入ってくる。

 寝巻きを身に付け髪を下ろした、ゆったりとした格好。

 明るい表情も今は落ち着いた印象。


 明日の仕込みを終えたら部屋に来る旨は、風呂場で事前に聞いている。

 世話を宣言してたのに手伝うのは出しゃばりだと思い、作業はシルムに任せた。


「お疲れ様、座る?」

「いえ。ほうほう、センお兄さんのお部屋はすっきりしてますね」

「まあ、生活感がないとも言えるけど。ずっと根無し草だったから置物とか持ってないし」


 空間拡張した革袋の中に色々入ってはいるが、飾るのに向いた物はなく場所を取るだけ。

 もともと部屋には最低限の物しか置いてなかった、というより置けなかった。 

 

 俺が惹かれる銃関連は安全上、扱える場所が制限されてたからな。

 自然と自室は片付いてて、例外は仲間からの貰い物くらいか。

 こっちでは銃は自由に出したり仕舞ったり出来るし。


「…何か小物だけでも置くか」


 改めて室内を確認すると、家具だけだと物置らしき造りなのも手伝い殺風景。

 俺一人だったら気にしないけど、今のシルムみたく誰かが訪れるのを考慮して。


「でしたら後日、一緒に選びに行きましょう!」

「どれがいいとか分からないし、そうしてくれると助かるよ」

「任せて下さいっ」

「ちなみに、シルムは内装をどうする予定?」


 シルムも屋敷で暮らすにあたり、私物をこちらへと移し替える。

 俺が手伝って運び込む訳にはいかないから、それはクランヌにお願いするとして。

 参考も兼ねてちょっと興味がある。


「身嗜みを整える道具を始めとして、みんなが私のために描いたり作ってくれたのと、お手伝い先で頂いた物を置こうと思ってます」

「それは…温もりを感じる空間になりそうだね」

「はい! 見ると元気をもらえて、ありがたいです」


 ニコニコ嬉しそうに語るシルム。

 元気づけられるってことは誠意のこもった贈り物。

 シルムの人徳と周囲も感謝してるのを窺わせる、流石だな。 


「後は自分で作ったぬいぐるみとかですね」

「ああ、ラントが自作してるって言ってたな。どういうの?」

「え…内緒ですっ」


 明らかな動揺を見せ、目をきゅっと閉じて回答を拒む。

 自作かつ、ぬいぐるみには自分の趣味が反映されてるから言いたくないか。

 前にラントの発言も遮ってたし、これ以上は聞かないでおこう。


「…最近はセンお兄さんとは一緒ですけど、静かだと新鮮ですね」

「…そうだな」

  

 仲良く賑やかで、自然と笑顔になれる場所。

 過ごしたのは短い期間だが、ちょっと名残惜しさが…いけない、このままだとしんみりした雰囲気になる。


「そういえば、俺のところに来たのは何か用事でもあった?」

「んーと、ただ寝に来ただけですよ」

「うん…? そういえば睡眠は一緒って話だったか」

「ですです。そろそろセンお兄さんも寝ますよね?」

「そうだけど…ねえ、やっぱり考え直して」

「はいはーい、この流れは一度やりましたから。さあ行きますよ」

「ちょ」


 全く耳を貸さずシルムは俺の腕をグイグイ引く。



「…で、何でくっつくんだ? こんな広いのに」


 照明が消え真っ暗になった室内。

 寝台に仰向けになっている俺の腕には、横になったシルムの腕が巻き付けられた状態。

 同衾には目を瞑ったが、密着する必要はないはず。


「もうこうするのが癖になって、どうせ無意識にしちゃいますから。最初からでも変わりません」

「いや、仕切りを用意するとかすれば」

「へー…センお兄さんは障害物を置くほど、私にくっつかれるのが迷惑なんですね」


 周囲の暗闇がうつったような声のシルム。


「決して迷惑ではないよ、ただ倫理的にね」

「どのみち寝てるに間に邪魔! って取り払っちゃうので無駄です。おやすみなさーい」


 言うが早いか口を閉ざして腕の力を強め、寝る気満々の姿勢。

 無意識に仕切りを排除するのは流石にない…よな?

 

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