表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/142

10 由縁

 出口とは逆の方向、深部に向かい進み始めて数十分。

 いくつかの魔物が探知魔法に引っ掛かり、実験というか確認のために数回戦闘をこなした。

 方法としては先ほどのように通常のハンドガンで撃ち、仕留め損ねた場合は少し様子見をしてからマグナムでかたを付ける、パターン化されたルーチンワーク。

 

 結果として全ての魔物が強くなったのでは無く、ハンドガンで処理できることもあり、混在しているのが現状といえる。

 あと、攻撃力や堅さが増していても、特殊な行動は目撃しておらず、単にステータスが向上しているだけ・・・脅威には違いないか。

 

 判明することは無かったので手がかりは不十分だが、ただ魔物を倒し続けても解決しないだろう。

 最深部に行けば収穫が望めるかもしれないし、道よりせずに向かうとしよう。

 そう思い立った矢先、進行方向から一つの反応。


 この居場所なら少し横にずれれば目視できそう。

 視線を反応の方向に固定し、移動して見えてきたのは仮面・・・を付けたような顔付きに一対の触覚、腕には長くて鋭利な刃物を携え、緑色の甲殻で覆われた体から4つの細長い足が伸びる。

 

 直面したことのあるマンティスという魔物より一回り大きい、カマキリのような風貌。

 


 (えーっと・・・名前は覚えていないがランクはBだったかな)

 

 書物は熟読しておらず、姿とランクを優先的に覚えておいたので抜けている部分も多い。

 

 奥の方に来たこともあって初のBランクと遭遇・・・あ、どうやら俺の存在に感づいたようだ。

 まあ、身を潜めていないのと気配を消すことをやめているから当たり前か。

 

 魔物はこちらを視認すると、木々の合間を縫うようにして軽快なステップを刻み、俊敏な動きで間合いを詰めてくる。

 持ち前のスピードと木を遮蔽物として利用し、相手を追い詰めた所で自慢の刃物で狩りとる寸法、といったところか。


 敵のランクも上がったことだし、普通のハンドガンの方をリボルバーに変更。

 蒼然の森内で、この魔物のスピードは他と別格には違いないが、日常的にこれより早いものを見ているから、目で追うのは容易い。

 なので動きに合わせて少し前を狙いマグナムを放つ、見越し射撃を実行する。


 木から姿を晒した魔物は、迫る弾丸に気がつくと、刃物を振りかざして弾丸を両断する。

 だが、やつがその動作に移った瞬間にはもう、リボルバーによる第二波は放たれている。

 飛来する弾丸を回避できないと踏んだのか、同じようにもう片方の刃物振るうーーーが先ほどと異なり、増した鋭い風切り音がする頃には、弾丸は刃物を貫いて体液を撒き散らし、その勢いのまま射線上にあった頭部も貫いて絶命させる。


(同じマグナム弾でもこの違いだからな・・・)


リボルバーはハンドガンと違って装弾数が少なく、『カスタム』による増加もできない変わりに、威力は一線を画す。

 反動などの要因もあるが、そこはかなり抑えられているので運用上の支障はきたさない。


 それはさておき、推測でBランクになった魔物たちを屠ってきた弾を叩ききったとなると、あいつもステータスが向上していた可能性。

 あんなのが蔓延っていないことを願う。




 あの一戦以降、今までのエンカウントが嘘だったように、探知魔法に反応もなく辺りを静寂が支配。

 かといって状況を楽観視できるわけもなく、これは何かの予兆、つまるところ嵐の前の静けさ。


(ここからは心身ともに改めるとしよう)


 するとーーー嫌な予感は的中してしまったようで、探知に多数の引っ掛かり。

 試しに探知魔法の範囲を拡大してみると、平行して反応も増え続ける。

 そうして判明したのは50以上の集まり、その集団から離れている一つの存在。

 

 感づかれないように接近してみると、壁を為すように群れていたのは、案の定魔物たちであった。

 この垣根を越えた先に異変の元凶がいるのであろう。

 隠蔽魔術で視察するのも手の内だが、どっちみちこの固まりは無力化しておかねば。


 この数を一斉に叩くのなら、”あれ”を用いるのが最善。

 接近した分距離を開いて、左手をサブマシンガン、右手をショットガンに持ち替える。

 何故、俺が『魔弾使い』という二つ名で呼ばれていたのか、それは3つ目の能力が関係している。


 遮蔽物のない、射線がしっかり通る場所を確認し、空中目掛けてサブマシンガンの弾をばらまく。

 弾は魔物たちの頭上まで行くと水球に突然変異、破裂して水が飛び散り、地面に吸われーーーることなく水溜まりとして残り、辺り一面水浸しとなる。

 突如起きた降水に、たちまち魔物たちに困惑が広がる。


 この水自体に実害はない、しかし仕込みはこれで完了した。

 駆け出し、再び接近しに行くと、魔物は俺の存在に気づいて攻撃に移ろうとしているが


「もう遅い!」


 次の一手は右手に持ったショットガンによる乱射。 

 数百近く及ぶ散弾が着弾すると、その部分から発生するスパーク。

 それは全身に広がり、さらに水溜まりから伝播して別の魔物にも襲いかかる。

 麻痺が体に行き渡り、行動不能になったことで正面の敵から順に、ドミノ倒しのように崩れていく。

 

 50以上いた魔物すべて、痙攣しながら水溜まりの中に伏せている。

 ものの数秒でこの惨状を作り出す、3つ目の能力『エンチャント』。

 対象物に魔法や能力などを付与できるこれこそが、歴代最強と謳われた『魔弾使い』の由縁である。

リボルバーで思い出したんですけど、たしかライフル弾を撃つ拳銃があるんですよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ