始まりの物語〜水野 小百合〜
薄暗い空間…。
冷たい鉄製のベットには薄い毛布が一枚。出入口であろうところには幾多もの鉄が刺さっており出る事も入る事も叶わない…。
「ぶぇっくしゅん!!!」
あまりの寒さに俺はくしゃみをして目を覚ます。
「何でこうなった…??」
時は3日前に遡る…。
とある廃墟…。
扉は朽ちて正面玄関だったであろうその場所に俺は少女と共にいた…。
少女をおぶり出てきたその前方には水野 小百合巡査率いる警察チーム総勢30名がいた。
「あんたが水野 小百合巡査か。お仕事お疲れさん。事件はもう解決しちまいましたよ〜」
馴れ馴れしい口調の言葉にキッと睨みつける。
「そーですかー。お疲れ様でしたー。犯人はどうしたんですかー??その子は人質ですかー??」
水野も嫌味ったらしい棒読みの口調で返答し返す。
「おお、こいつは人質だった少女だ。犯人は…」
言いかけた時、少女が口を開いた。
「犯人は仲間を殺して自分だけ逃走しちゃいました。私は1人残されてしまって…そしたらこの人が来て『ぐへへへ〜お前可愛いなぁ〜これからお前を食べちゃおう。そうだ近くにホテルがあったなぁ。そこへ行こう』と言われ今連れ去られている途中なのです」
……………はい??
思いもよらない発言に俺は固まる。頭も固まる。
しばらく静かな空気が流れたのち、我にかえる。
「……おま…ちょ…何言って…」
「逮捕ぉおおおおおおおおお!!!!!鬼塚 竜二!!少女性的暴行未遂で逮捕します!!!!後、個人的憎たらしいので!!!!」
俺が言いきる前に水野率いる警察軍団がのしかかってきた。
10…20…30とすごい勢いで警察達は俺の上に飛んでくる。
…というよりこれは…警察達が浮いて…。
一斉にズドンと俺の上から降ってきた。
あまりの重さに俺は意識を持っていかれた…。
そして…現在に至る…。
「俺は…悪くないだろうが!!!!!!てか何だあの糞女!!!!!俺が助け…てはないかもしれんが…いいや!!!!助けたね!!!!ガラスの破片と蜘蛛の巣から助けたね!!!!」
何が『ぐへへへ〜お前可愛いなぁ〜これからお前を食べちゃおう。そうだ近くにホテルがあったなぁ。そこへ行こう』だ。
目隠しはしてたものの顔立ちは良い方かもしれない。
しかし、男の俺として大事な胸がなかった。
胸がないなら俺は女とは認めない!!認めたくない!!
大体、俺はノーマルな感じが良い。
お前のようなSMプレイしかしていないような少女に興味がわくわけない。
考えれば考える程、怒りが沸騰してくる。
1人で怒鳴り散らしているとそれを檻の外から呆れた表情で見ている佐々木巡査部長の姿があった。
「おーおー騒いでるな」
「うぉおおお!!いたのかお前!!てか!!さっさと出してくれ!!」
凄まじいスピードで佐々木に近づき鉄格子をガシャガシャする。
「このど変態野郎!!」
佐々木は鉄格子隙間から思いっきり俺を殴りつけた。
見事に飛んだ。
かつて俺が佐々木をベットから蹴り飛ばした様に殴り飛ばされる。
壁にぶち当たりズルズルと座り込む。
いきなりの出来事に俺は目を点にする。
「明日には出られるから安心しな」
そう言い残すとさっさと行ってしまった。
「おい!!待てよ!!まだ話は…!!!」
言いかけたその時妙に膨らんだポケットに違和感を感じ手を入れた。そこにあったのは…紙をくしゃくしゃにしてあるゴミ屑…でわなく、佐々木からの手紙だろう。
「……そういう事か…」
佐々木がこんな事をする場合、もう事件は始まっている時。
そして自分達が何かの標的になっている時だ。
紙には『奴と組め』と書いてあった。
『奴』とは佐々木の事だ差し詰め『怪異能力者』しかいないだろう。
ーしかし…誰のことだ??
今のところ考えられるのは…水野小百合…くらいしか…。
「とりあえず明日には出られるらしいしその時わかるだろう」
難しいこと考えていても仕方がない。
俺は疑問を悶々とさせながらも眠りについた。
ー翌日ー
出所した俺の前には水野がいた。
「奴って…やっぱてめーか??」
「奴呼ばわりとは…私も相当貴方には嫌われているのですね…。でも安心して下さい。私も相当貴方が嫌いですので!!」
「あぁ!!!やんのかこらぁ!!」
「上等ですよこらぁ!!!」
そんな火花を散らすような中なのにこいつと組まないといけないのか…??とがっくり肩を落とす。
水野 小百合俺よりも少し小さめの身長か。20歳と聞く。
若手にしては将来有望、実力も上の方、いわばエリート様…。
若さ故に髪は校則破りの金髪ロングでポニーテール。巨乳。まるで男の様な性格。そして巨乳。
上着は黄色の大人しめな私服、下はスカートはいている…今日は仕事じゃないのか??
「どこを見てるこの変態!!!!」
バチンッと当たれば顔に必ず跡がつくであろう平手打ちをしゃがんで躱す。
「へー下はお子様なんだなぁ〜」
しゃがんだ際スカートであれば隠しきれない女性の弱点を俺は凝視する。
「死ね!!!!死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!」
顔を赤らめブンブンと平手打ちをしてくる水野を軽々と避けながら質問する。
「で、これからどうすんの??」
手がピタッと止まりコホンっと一息
「…ついてきて下さい」
そして水野に連れられて警視庁を後にした…。