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盲目の魔女  作者: いなリ
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荒れ狂う生物

「姉さん!こっち!」


姉さんの方が大きいのに小さな俺が引っ張ったのはなかなか変わった光景だっただろう。


「え、え?、う、うん!」


だが、その時住んでた家は対して大きくもなくて逃げることなんてろくにできなかった。


「糞ガキのくせに調子にのんなよ?

お前は頭をかちわらないと気がすまねぇなぁぁ?」


ゆっくりゆっくりこちらに向かってきている。

わざと、ゆっくりと歩き、この弱肉強食の状況を楽しんでいる。


「外に出られると思うなよぉ?」


好き勝手に歩いてるように見せて外には出れないように、ゆっくりゆっくりと端の方に追い詰められていった。


「なぁ、そろそろ試させてくれよぉ~」


やったことのないことにチャレンジするかのように、初めてやるゲームのように。

嬉しそうな声をあげながら近寄ってくる。


「お、いたいたぁ~」


俺と姉さんはもう逃げることなんて出来ないくらい端の方に追い詰められてしまった。

このまま、俺と姉さんは殺されるのだろうか。


「ハハハッ!やってみるかぁ!」


一瞬わけがわからなかった。

状況を把握するために周りを見渡そうとした。


「結構人間って頑丈なんだなぁぁ!」


どう言うことだろう。

目を開くと視界が少しずつ紅くなっていく。

いや、何かが目に流れてきている。


「たか!大丈夫!?ねぇ!」


姉さんの声が聞こえる。

頭が痛い‥‥。


「たかくぅぅん?頭から血が流れてるよぉぉ?

だいじょうぶぅぅぅ???」


義父が真上を向いてバカみたいに笑っている。

血?

血が流れている?

なんで?

それになんでこんなに頭痛いの?


「俺が心配してるんだから返事しろよぉぉ!!

そんなことも教わってないのかぁ!

常識無さすぎるぞぉ!ガキィィ!!」


今度はわき腹に大きな痛みを感じた。

いや、蹴られたのだ。そして、さっきは手に持ってたビール瓶で殴られたのか。理解は出来たのに殴られる理由が理解できない。


「人をおもいっきり蹴るのはいいなぁぁ!」


当時の俺はわき腹を力いっぱいに蹴られて吹き飛んだ。義父がまだ小さい俺を蹴ればそれなりに吹き飛ぶ。


「ガシャン!」


俺は蹴られた反動で食器棚にぶつかった。

食器棚からお皿やお碗などと、食器がたくさん落ちてくる。


「逃げてお姉ちゃん!」


俺は怯えて動けなくなってる姉さんに向かって大きな声で「逃げろ。」と伝えた。


「たかちゃんはどうするの!?お姉ちゃんだけでは逃げたくないよ!」


俺は大丈夫。俺は逃げられなくても姉さんだけは逃がす自信があった。最近知った言葉があった。それを義父にぶつければ義父は俺に反応するはずだ、と。


「大丈夫!すぐに向かうから!お姉ちゃん!」


これが姉さんについた最初で最後のウソだった。

そう言ったあとは姉さんは俺を信じて走り出した。

義父の後ろにドアがある。

だから義父に向かって走らなくてはならない。

あのときの姉さんはとても怖かっただろう。


「逃がさねぇよ?てか、ここ通れると思ってるのかぁ?」


俺に向かって雨みたいに降ってきた食器を手に取り、投げられるだけ義父に向かって

投げた。

投げた。

投げまくった。


「お前は後回しだよぉぉ?、あとでたっぷり痛め付けてやるよぉぉ!!

だから

そんなにはやまるなよぉぉ?ガハハハハ!!!」


食器を投げてもダメージは通らないようだ、むしろ後々怒らせるだけだ。なら挑発をしよう。最近知った働かない人に対する言葉を。


「おい!ニート!弱いものしかいじめられないのかよ!働いたら一番下のお前がいじめられるもんね!バーカ!!」


今思えばこんな言葉なんて本当にガキが言うような言葉だったな。と笑いが込み上げてすら来る。

 

「俺はニートじゃねぇぇ!!てめぇからぶっ殺す!

ぶっ殺す!ぶっ殺す!ガアァァァァ!!!」


最後の方は言葉にすらなっていなかった。

怒り狂っているだけだった、その姿はもう人ではなかったと思わせるほどに。


「バン!!!」


ドアを開く音が聞こえてドアの向こうに向かって逃げていく姉さんが見えた。


「よかった、お姉ちゃん‥‥」


俺はもう身体中が痛くてうずくまった。

すると割れたお皿が目の前にたくさん、たくさんあった。


「あぁ、ありちゃん‥‥」


アリスの事をあのとき思い出して皿を2回叩き、いや、二回殴りた叩き割って、その破片を握りしめて彼女の事を考えた。  


「ハァハァ‥‥

 なんだよ!最後は神頼みか?

 お前はさっき逃げたガキの分まで痛め付けるからなぁ!!

 そうしないと俺様の気がすまねぇぇぇ!!!」


もう怖くて

痛くて

動けなくて

泣きたくて


色々重なっておかしくなりそうだった、もう「神頼み」しかなかった。

今、この状況を助けてくれる人がいたらその人こそが、神だ。だから「神頼み」に賭けにでたんだ。


「アリス!!!!!!!助けて!!!」

 

なぜだろうなあのとき、神様ではなくアリスの事を思った。いつも来てくれたアリスに依存していたのだろう。

殴られ、蹴られ、暴力を受け続けながらアリスの事を考えた。


今までにないくらい


命懸けで


必死に‥‥

所々、暴言入りますが、許してください‥‥


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