昔に会った魔女
「ほら、これやるよ!今日もありがとな!」
いのりは缶ジュースを俺に投げ、そして帰ってしまった。
「まったく、毎回毎回‥‥」
まあ、ふてくされても意味ないので俺は素直に帰ることにした。
「何時だろ‥‥」
携帯で時間を確認する、さっきいのりとわかれたときが18:20分くらいだった。
「今は18:35分か‥‥」
と独り言を言っていると後ろから何やら声が聞こえた。
「結構遅くまで付き合わされたの~?いのりちゃんに」
後ろからこっそりと驚かすように話しかけてきた。
こいつは俺の姉だ。
「まじで、ビックリするからやめてくれ‥‥」
俺の姉は何を言おうと聞かないのはわかってはいるが、今のは心臓に悪い。
「まったくよ俺じゃなく、じじばばとかだったら危ういぞ、姉さん」
下校時刻が重なったのだろう。
だから姉さんはここにいる。
「ほらほら帰るよー」
姉さんは俺の背中をぐいぐいと押して足を進めさせる、だがもう家はすぐ目の前だ。
「あとは鍵もって開けるだけだろ‥‥」
そんなことを言っているうちに家の中に入り、そして俺は自分の部屋に向かった。
「これから夕飯作るからもうお風呂でも何でもしてていーよー」
姉さんの声だ。
うちの家には姉さんしか家族がいない。俺が小さい頃‥‥いや、小学生のときに魔女に殺されたからだ。
「わかった。」
と姉さんにLINNを使い、メッセージを送信する。
LINNを使う理由は大声を出すのがだるいからだ。
「そう言えば今日があの日からちょうど10年くらいたつのか」
これは昔話みたいなものだ、だが、現実だ。
俺たちの先祖は昔、1つの人類だった。だが、まれに魔法とでも言えば良いのだろうか、そんな能力を持った人がいた。
そうだよな、能力を持っていたら、持っていないやつを見下したりし始めるよな。
そう、見下したりや、差別などが徐々に大きくなっていったからやがて能力を持たない俺たち人類と能力を持つ魔女の戦争が始まった。
最初は俺たち人類が押される一方だった。
そりゃそうだ、火縄銃を持っている舞台に素手で突っ込んでいくようなものだ。
だから俺たちは科学の力に頼った、遠隔操作のできる飛行機に爆弾を積み、そして遠距離から放った。
だが、それも相手の魔女を攻めてこれないようにするくらいにしか効果はなかった。だが、今は魔女たちが攻めてこれない科学の力のおかげで俺たちはこうしてのんきに学校に行ける。
そしてその魔女とは、だな。
魔女は能力を持つ以外は俺たちと全く同じ人類だ。
だが、あいつらは科学の代わりにすべてを魔法で補っている。言えば魔女の切り札が魔法で、俺たちの切り札が科学だ。
そして、俺が魔女をあまり嫌っていない理由だが‥‥
それは俺が小さな頃、これは小学生より前の事だ、よく遊んでいた子が魔女で、アリスって名前だった。
まあ、その子が今、どうなったかは考えるまでもないだろう。