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悪の矜持  作者: runa
4/12

参*木から降りられなくなった仔猫の心境に近いです


更新が亀並みですヽ(´o`;

ようやく学園生活本格始動………かな?


今暫く主人公の混乱は続きます。

さて、さくさく進めていきますよ。


校内に入り、貼り出されていたクラス表を確認後。

校内案内を頼りにたどり着いた先に、見上げるとありました。



百合のプレート。



ふむ。百合組ですか。

内心は、まぁ予定通りといった所です。


今、こうして落ち着いていられるのは、クラス表を一通り見渡した時を切っ掛けに喪失していた記憶の大部分が補填されたからだったりします。



ついでに追加説明がてら、記憶の整理に付き合って頂けると助かります。




まず、前提として一言。


ここ白櫻学園は、花鳥風月をテーマに各クラスが構成されている。


其々について大まかに分類してみようかな…



中等科は『天候』を元にしており。

天藍、五月雨、七色、月白、東雲、花霞の計6クラス。

高等科は『草花』を元にしており。

薔薇、橘、牡丹、菖蒲、月草、桔梗、女郎花、百合の計8クラスある。


また、更に各学年には特進科がありまして。

周囲とは一線を画するここには『鳥』の名称が付けられている。

やはりと言いますか、特進科は攻略対象たちの巣窟となっている為余計に目立つ訳で。


因みに中等科は朱鷺、翡翠の2クラス。

高等科は金鴉、白鶯、孔雀の3クラスに分かれている。



各クラス名には、色々思うところもあるでしょう。



曰く、このクラス名にはコンセプトがあり。

自然の美しさを感じると同時に、それを重んじる感性を育てるという事らしい。


この学園がその名に冠するように、桜を含め多種多様な花木を敷地内に整備している点からも並々ならぬ意図を感じ取れるというものだ。


校舎の白、緑地の碧に、空の青。

そして季節毎に咲き乱れる花々の作り出す四季。

学園パンフレットでまず目に飛び込んでくるものがそれでしたから。

まるで観光案内を彷彿とさせる構成でしたね。

寧ろ潔い。

人を集めるのは学舎の永遠のテーマですね。



他者の方向性にけちを付ける気は更々ありませんので。

寧ろ、個人的にはナイスだと思う命名も幾つかあるくらいですよ。


……具体的には?



そうですね。例えば、孔雀。

そこで早速自分の感性に哀れみを向けた方々。


知っていますか、皆々様?

孔雀は宗教観によっては聖なる鳥の象徴にあげられることがあるそうですよ。

ただし、地域が違えば見方も変わる。

孔雀が羽を広げた姿を高慢と見る場所もあり。

英名のピーコックには『虚栄家』の意味もあるらしい。




当人たちがその意味を知るかどうかはさておき、中々に的を得た表現ですね。

個人的にはそう評価したいところです。



…………うん?

段々内容が辛辣になってきているのは、私自身が攻略対象と関わりのあるものへ悉く憎悪を向けているからですね。

分かりやすくて、どうしたものかな。


唯一の例外は、透子様のみ。

実に簡潔です。




一人感慨に浸りつつも、プレートを確認して教室の扉を開けました。




ガラリ、と開けて。


ピシャリ、と閉じます。


閉じました。




因みに本来の音は、ギィと開いてバタンと閉じる。

それが幻聴を重ねるくらいの出来事で、妙な変換に早変わり。不思議ですね人生。




え、なんで?


きっと皆様疑問符が漏れ無く頭上に浮かんでいることと思いますが。



申し訳ないことに、聞きたいのはこちらです。







…………何ですかね、あれ?





…………今まで白昼夢を見た経験はなかったのですが。


あれがそうだというのなら、納得です。


だって、目の前に変なのがいました。






深呼吸を一つ。

よし、選択肢は2つある。


もう一度扉を開けて、白昼夢の検証に掛かるか。

回れ右して、保健室へ向かうか。



扉を背にして葛藤する。

後者を選びたい本心。それもその筈、メンタルの弱さが後押ししてくるのだ。



そうだよ。ここまでは順調に来ている。

副会長ルートと災厄ルート…(個人命名。正式にはハーレムルートの意)が回避された今、少しくらい休んでも良いはずだ。



内心の呟きに一人頷き、いざ行かんと足を踏み出そうとした矢先。



ガラリ、と開けられた扉。

逃げる間もなく、回避も叶わず。


ビクッ、と人馴れしていない野良猫のごとく反応した少女に悪夢のような声が掛かる。





「どーしたの、仔猫ちゃん? 入らないの?」





…………うん。現実でしたね。


実は、分かってました。

再びのバグから目を逸らしたかっただけなんです。

それはそうと、上目遣いの破壊力半端ないね………



精神にダイレクトにきた。



嫌だけど説明しよう。

百合組にも、攻略対象が一人いる。


それがチャラ男の代名詞。無類の女好きと称された軽男君だ。

三度の飯より何とやら。

究極の領域を極めており、刃傷沙汰の頻度が余りに多くて最終的に渾名されたのが。

『血塗れルート』。

因みに姉は、ブラッディ・ハニーと命名してた。


そのブラッディ・ハニー……否、軽男君については百合のプレートを見た時点で基本情報やビジュアルデザインも完全に思い出している。


そう、つまり彼だ。

自分に声を掛けているのは彼の筈なのだが…


正直に言おう。

先程とはどうやら真逆の変貌を遂げたらしい攻略対象を前に、思考が追い付かない。



柔らかなウェーブの栗色。

ぱっちり二重のチョコレートブラウン。


まあ、ここまでは分かる。

おかしいのは後半だ。


艶やかな桜色の唇。

モデル顔負けの美脚。

足元に揺れるのは、学校指定のプリーツスカート。







……はい、ここまででお分かりですね。

皆様、これが流行りの男の娘というやつです。

何を隠そう、私も現物を見るのは初めてです。


補足。

今作には、男の娘キャラは隠しキャラも含めて存在しない為。これは明らかなバグと断言できます。



この現状を纏めると。


銀縁君こと副会長が、外見はそのままに内面が別物へ変貌を遂げていたのに対して。

軽男君こと会計は、内面が斜め後方へ突っ走った結果、外見も含めて悉くシナリオを無視した仕上がりになっている。


しかも女子力半端ない。

ヒロインと並べるよ、これ。

……やだな、何このカオス。



もはや放心状態といって過言でない私の様子に何を思ったか、目の前の男の娘が手を握ってきた。

そして振り払えないという。

それはもう、避ける動きも予測された見事な捕獲術でしたよ。

握られた手が、これまた柔らかで指も細いんだな。

やだもうこのクオリティ。

ここまで仕上げてくる彼の隙のなさが怖い。




「もしかして、具合悪いの? うん、分かった。じゃあ一緒に保健室へ行こうね」




……え、今なんと。

え、え………ちょ、待っ…?!



いうも早い。引き摺られるように進んでいきます。

明らかに伝わってますよね、この戸惑い。



何でこうなる………?

いや、待て。何を分かったのさ。

いや、じゃあって何も脈絡無いよね。


君、いつから保険委員になったの。


そして付け足したい。

あえて言おう(内心で)。


なんでこの細腕でこの腕力………?!

そこは見た目を裏切らないで欲しかったよ……?!!






とまあ、そんな内心の叫びを悉く無視されたまま。

見た目美少女現実男に引き摺られながら、渡り廊下に差し掛かった。


この先は西棟である。

各教室と各学科の実習室等が集まる東棟と、職員室や学食、講堂などが集まる西棟。

保健室は西棟にある。

そして東棟と西棟を繋ぐのは、この渡り廊下のみ。


確か作中では『鵲橋』と称されていたかな。

織姫と彦星に掛けているみたいだけれど、以前は東棟と西棟とで男女を完全にクラス分けしていた時期もあったらしい。

その背景を知らずに聞いたら、首を捻ること請け合いの命名である。



そしてそんな『鵲橋』を引き摺られていく少女が一人。引き摺る少女が一人。

正確には引き摺る方は男である。


しかし、一見しただけでは正確に状況把握出来る方が少ないと見た。

100円賭けてもいい。

………ん、額がショボいって?

ほっとけ。



誤魔化そうとする内心と本心の落差がとんでもないことになっていて、正直手一杯です。



「あ、あの………そろそろホームルームも始まりますから、ここまでで」


「だーめ。具合悪い女の子放っておくなんて選択肢はそもそも存在しないんだよぉ?」



………左様ですか。




引き摺り引き摺られしている内に、どうやら件の目的地へ到着していた。


そういえば、ヒロインはどうなっているだろう。

少しは体調回復しただろうか…


そんな思いが切っ掛けだったのか。

ふと兆した。

あ、そもそもここいるじゃないか。

そうだよ。保険医だ。



保健室。


そのプレートを見上げ、後れ馳せながら気付いて青ざめるも手遅れである。


元軽男君で現在は男の娘である彼は、一拍の躊躇いもなく保健室の扉を開ける。

勿論、引き摺られるまま自分も中へ。




そして少女は絶句する。











ここまで読んでいただいた方々に感謝を込めて。


冒頭でお伝えする通り、まだまだバグたちを随所に散りばめていく予定です(^-^ゞ


次回は保険医。

その後に、災厄のメインヒーローを投下予定です。


それでは、また次回お会いできる幸運を願って。

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