表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の矜持  作者: runa
2/12

壱*桜の下で始まりと終わりをお知らせします


予告してました桜の下編ですヽ(´o`;


目的をはっきりさせたところで。

ここは遠慮なく、断言しましょう。



主人公の恋の成就は寧ろどうでもいい話です。


紛うこと無き本心ですが、何か?



主人公を巡る恋模様に興味はありませんよ。

ただ、主人公を囲む予定になっている集団の動向。

これを把握しないことには、対策の立てようがないことも確か。


透子様を守るために、必要不可欠と判断した自分はここまでやって参りました。


我ながら、頑張りましたよ自分。



この悪役に掛ける矜持については、誰にも文句を言わせる気はありません。






たかが、恋愛と。

そのように馬鹿にする気は微塵もありませんが、だからといって不幸になると分かっている彼女を放っておけるほどに自分も薄情にはなれませんでしたね。


だから、全力で回避に向けて動かせていただきますとも。





そんなこんなで。

どんなこんなで……?


とうとうやって来ました一日目。


主人公……名前はまだ無い……が入学してくるところからゲームスタートでした。


少女は初日にして、学園の広さに迷った末に………



さて。ここで一つ問題がある。


Q:出会いの場面を思い出せない。こんな時あなたなら、どうしますか?



A:…………。



沈黙は止めて。

せめても何かの反応をください…!!

居たたまれないよ…

居たたまれないよ…!!


なんで二回繰り返した自分。

余計に収拾がつかなくなるよ。

もう泣きたい…



そうだよ。

その通りさ。



……忘れたんです。



我ながら、自分の矮小なスペックに絶望さえ覚える今日この頃。

だからこそ、余計に透子様が眩しく思えてくるのは無理もない話です。



ここまで来て、諦めるのは論外。


だから考えました。

無い知恵を振り絞って、考えましたよ。





その結果が『ありがちパターンの予測』です。





その可哀想なものを見る目…

皆々様自覚しましょう。それは凶器です。


仕方がなかったのです。

他に方法が無かったのですから。



人間それでもやらなきゃならない時が、誰しもあるんですよ………!!!




段々可哀想を通り越し、生暖かい目で見守っていらっしゃるそこの貴方。

自覚しましょう。それも凶器です。




最早地面にめり込みそうな勢いで、桜の木の陰に蹲る少女がいる光景。


何でしょうね、これ。


恒例になる前に、抜け出せると良いのですが……


そしてこの時もまだ第三者の視線は無く……?





「どうされました?」






…………?!


近くで聞こえた声に、蹲っていた少女は猫の如く飛び上がっている。





まさかこの醜態を第三者に見られていたというのか?




戦慄したのも、束の間のことでした。

確かにタイミングとしては、これ以上はなかったけれど。



違うんだな、これが。





桜の木の下で、小柄で可愛らしい印象の少女と向き合うように立つ銀縁眼鏡が眩しいです。




…………や、やり遂げたぜ!!!




あまりに嬉しくて、過去世の口調が思わず出てしまったものです。


私としたことが。

内心の声は極力隠してこそ、美徳。

まだまだ自分も青いということですね。



けれども、この喜びは収まるところを知りません。



予測は見事に当たりました。

加えて、成果が一つ。





桜の下での出逢い・副会長編のスタート画面とまんま合致したことで記憶が少し更新されました。




主人公、 桜木 穂香。

まさに小動物系。

肩までのボブがさらさらと風に靡く様まで合致。

黒目がちの二重は垂れぎみ。

花弁のような、桜色の口許。

鼻筋も通った絶妙の配置。

ほっそりした肢体も相まって、完璧な仕上がりだ。


間近で見ればみるほど凄いよ、これは。

その再現率はアニメの実写化を遥かに超えたクオリティだ。

鑑賞する分には文句の付けようがない。




さて。一方の銀縁君。


これは言わずと知れた眉目秀麗腹黒笑顔の副会長。


と、いうことに設定上はなっているのですが。





んー…?

何やらおかしな点が一つある。



いや、こちらも一見しただけなら見目は完全に再現されている。


ただ、問題はその表情だ。




彼は、微笑んでいる。


微笑んでいるんですよ………!!?




何がおかしい?

腹黒笑顔?

標準装備でしょう?




……いやいや。違うんだな、これが。




何せ、彼。本心からの笑みだよ。

自然なそれだよ。

こちらが浄化されそうな曇りのない微笑さ。

天使がいますね。



現に、主人公こと穂香さんが凄く動揺してるのがここからでも見えるもの。


さもありなん。


私も現在進行形でかなり動揺しているので、主人公の心境はよく分かる。






これ、始まる前から終わってますよね?



だってそうだろう?



乙ゲーの趣旨を考えたら、既にルートが潰れているも同然だ。



主人公が攻略対象の欠点を発見、指摘し、存在を認知されることから始まる筈のシナリオが。



序盤狂わせも、ここに極まれりだ。



何しろ、切っ掛けになる筈の欠点が無い状況で。



本来、互いのスペックには差がありすぎる。



その差を縮める為の足場が、無い。




何ですかね、このバグは。


こうしている今もフリーズしている主人公が哀れすぎる。


どちらかといったら、対立する立場にいる自分でさえ同情を禁じ得ないよ。


これは流石に予想してなかった。


況してや主人公。その混乱は察するに余りある。



いや、同情したら駄目だよ自分。

そう言い聞かせながらも、目の前の光景からは目を離せない。



だから、気付いてしまった。



主人公の目に過るのは捨て身の執念だ。




ま、まさか君……あれをやる気か?!!




そう。主人公はここで言い放つ。


お約束のその台詞。


未だ嘗て、こんなに悲痛な面持ちでこれを口にした主人公が存在しただろうか……


いや、多分……




「作り笑いは気持ち悪いです!!!」




無いよ。


何だろう。泣けてくる。



君のメンタルの強さに敬意を示したい位だよ。




うん。この痛々しい空気にも、だから背は向けない。




そして言われた当人こと。


銀縁君がこの発言にどう反応したかと言えば……

















ここまで読んで頂き、ありがとうございますρ(・・、)


参考程度に。


本編の主人公、比奈子さんですが。


・早口の時。

・纏めに入る時。

・メンタルが追い詰められた時。


主に上の状況で、丁寧口調になることがままあります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ