覇道の芽
劉温「ニーハオ、劉温ネ」
劉温「今回の逸話は曹操らしいというか…、なかなかゲスい逸話アル」
古今東西の戦国の世には暗殺というものが必ず付いて回る。権力を牛耳ったため、または権力を欲して、というものが大体の動機である。魏の曹操の性格や覇道を決定づけたこの逸話も暗殺にまつわる逸話である。
中央の朝廷にてとある悪逆非道の人物がいた。名を董卓。彼は朝廷のごたごたに乗じて幼かった皇帝を手中に収め権力を牛耳っていた。
「天下なんてちょろいぜ!」
しかしそんな董卓にも刺客が向けられる。名もなき頃の曹操である。彼はまだ正義感が強く、天下のために董卓を亡き者にしようと考えた。
「董卓を倒せば権力を牛耳れる!(民衆のために剣を揮わなければ!!)」
曹操さん逆です。しかし曹操はこの暗殺に失敗し牢獄に投獄されてしまう。だが曹操はそんなことで諦める訳がなっかた。この時、軍師の陳宮が曹操の考えに感服し曹操を助けた。
「ありがとう陳宮。早くここから逃げよう、捕まってしまう!」
「そうですな!曹操殿!」
こうして曹操一行は監獄から逃げ出した。しかしこのままでは追い付かれてしまう。そう考えた曹操は...。
「この近くに知り合いの呂伯奢が住んでいる。少し匿って貰おう」
「それは名案ですね!」
曹操一行はこうして呂伯奢の宅に向かった。
「おやおや、曹操殿。いかがされましたか?」
「暗殺失敗しちゃった(てへぺろ」
「なんと...」
「少し匿ってくれないか?」
「もちろんいいですよ」
曹操の交渉によって二人はなんとか隠れ場所を確保した。
「曹操殿、私は少しの間買い出しに行ってきます。留守番をお願いします」
「わかったぞ!」
呂伯奢が家を出たことにより家には曹操と陳宮、そして使用人が残された。しかし台所からどうにも変な音がする。『シャッシャッシャ…』そんな『刃物を研ぐような音』が聞こえてきたのだ。
「曹操殿…、これは…?」
「刃物を研ぐ音に違いない…」
そこにさらに追い打ちをかけるように会話が聞こえてきた。
『どんな風に殺す?』
『縛り上げてからが無難だろう』
この会話は最早確定的であった。
「こいつら俺たちを殺す気だ…!」
「きっと呂伯奢は役人に言いつけに行ったんですよ!」
こうしてこの二人は行動に出る。使用人たちを殺しに行ったのだ。そのような行動は当然であった。しかし、台所に行き使用人を殺した後、とんでもないものを見つけてしまった。
『足を縛られもがいているブタ』がいたのだ。
圧倒的勘違い…!この二人はやってしまった!話を聞かずに斬り捨てるという禁じ手を…!(ざわ…ざわ…)
「逃げるべ…」
「そうですね…。これしか手は…」
しかし、タイミングが悪かった。呂伯奢が帰ってきてしまったのだ。
「あれ?お二人ともどうしたんですか?」
この言葉に間を空けずに曹操は呂伯奢をバッサリと斬り捨てた。
「曹操殿!何故罪もない人間を!」
「お前もやったじゃないか、陳宮。それにな、俺の成す事は全て正しいんだ。俺が人に背いても、人が俺を背いてはならいんだ」
曹操はこう言い放ち、呂伯奢の宅を後にした。この言葉に陳宮は心底絶望したことだろう。しかし、こんな考えがあったからこそ、魏を作ることをできたのかもしれない。
劉温「確かに曹操らしいアル」
曹操はゲスいくらいがちょうどいいんです。でないと完璧超人すぎて…。
劉温「そうアルね(笑)」
それでは、この辺でー!
劉温「バイバイネー」




