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血の雫  作者: 梅雨
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第一章 携帯電話

里中煉さとなかれんが、霊に取り憑かれてる。・・・しかも他の霊をどんどん取り込んで強くなってる・・・。助けてほしい。」


『!!』

 さすがに、雫も驚きを隠せないようだった。

 が、すぐに立ち直ると優斗への罵倒の言葉を口にした。

『どーしてすぐ連絡してくれなかったの!しかも“助けてほしい”ってなによ!言われなくたって助けるわよ。他の霊を取り込むって・・・どんだけ強くなってんのよッ!バカッ!!』

 雫は相当怒っているようだ。考えてみれば当たり前だ。場合によっては、煉の命に関わるのだから。

 事実、優斗が悪いのだ。かなりの初期段階から判っていたにもかかわらず、雫への後ろめたさから連絡するのを先延ばしにしていたのは、他ならぬ優斗なのだから。

『どうせまた変な意地張って、連絡するのが遅れたんでしょ!!憑依されることがどれだけ危険かって事くらい、判っていたでしょう?』

 雫の声には、不甲斐ない優斗に対する怒りと、どうして自分で気づけなかったのかと言う自分への怒り、そして意地を張って連絡をくれなかったことに対しての悲しみ・・・・。

 色々な想いが混じり合っていた。

「・・・・・ごめん」

 素直に優斗は謝る。

『・・・・いや、こっちこそゴメン。言い過ぎたかも。私自身、気づけなかったわけだし・・・・』

 雫の落ち込んだ声が聞こえてくる。

「それで、煉のことだけど。」

 そのまま行くと雫はひたすら自分を責めそうだったので、優斗はさっさと本題に入ることにした。

『うん、詳しく話して?・・まずはいつからなのか』

 心なしか後半、雫の声が怒っているように聞こえたが。多分、本当にまだ怒っているんだろう。

「え〜と、一番最初に違和感を感じたのは、廊下ですれ違ったとき。一ヶ月ぐらい前だと思う。そん時は“あれーなんか変だった?”てなかんじだった。次は放課後、屋上で見かけたとき。ちょうど、子供の霊を喰ってるときだった。そん時ははっきり煉のうしろに黒いのが視えて・・・・」

 思い出すだけで、ぞっとする。取り憑かれている煉はぞっとする所ではないはずなのだが。

『えーと、ゴメン。恐怖に浸かってるトコ悪いんだけど、それいつなのか教えて?』

 雫から的確な指摘が飛んだ。

「うっ・・・。ごめん。ちょうどきっかり二週間前。あと、大変言いにくいんだけど、煉に憑いてる悪霊っぽいやつの邪気に当てられて、半悪霊化した少年の幽霊一名います・・・。」

 最後の語尾のほうは尻すぼみするように、優斗の声は小さくなっていった。

『はい!?ちょっと、それどういう意味よ!!まさかそれさえも防げなかったの!?』

 めっちゃ怒ってる。すんごく怒ってらっしゃる。・・・・鬼神のごとく。

「ごめんなさい、マジでごめんなさい!!こんな俺でごめんなさい!!!」

 必死に謝った。

『・・・まあいいわ。謝るならその少年の霊と煉に謝って。ともかく、明日の放課後!校門の前で待ってるから!!』

 勢いよく言う雫に優斗は焦った。

「え、それはちょっと・・・」

『つべこべ言わないの。行動は早いほうが良いでしょ!?分かったよね、じゃあ明日っ!!』

 ツーツー・・・・。

 しばらく、優斗は呆然としていた。



 雫は忘れたんだろうか、俺の高校が中高一貫の男子校なんだって事。

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