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男装伯爵とメイド  作者: 橘 紀子
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陰謀2

久しぶりです。

夜会から一か月後、いつまでも帰ってこないミシェルをロベルトは心配していた。


 ワーレンベルグ子爵邸に潜ませている他の諜報員に聞いてもミシェルの居場所は検討がつかないようだ。みな、あの夜会の夜以降ミシェルを見ていないという。何かあるとは思っていたが、まさかミシェルが行方不明になるとは…。


 確かにあの子は本物もミシェルではない。しかし、あの子は私のかわいい…。




そう思っていた矢先に突然知らせがきた。それは、本物のミシェルの乳母であったものからだ。





その頃、ミシェルことローゼン伯爵は、アジアン公国のある御屋敷にいた。


「ワーム男爵、私が今日お会いするのは、メレヌス帝国の宰相パールバン公爵であられるのですね?」

ミシェルは、自分をここに連れてきた男、ワーム男爵に尋ねた。

「はい。パールバン公爵は、メレヌス帝国皇帝カイルの右腕で強力な権力を持たれている方である。くれぐれも粗相のないように気をください、マリアさん。」


 マリアは、ワーレンベルグ子爵の娘の名前である。ここでの、ミシェルはワーレンベルグ子爵の娘ということになっている。ワーム男爵は黒い髪に切れ長の目を持ち、エメラルドグリーンの目の男である。彼は腰に剣をぶら提げ、全身に漆黒のアジアン公国の軍服をまとっている。彼は、アジアン公国の軍人なのだろうか?そんなことを考えながら、ミシェルはワーム男爵と会話を続ける。


「わかりました。そして、私はパールバン公爵とともにメレヌス帝国の後宮に向かんですよね?」


 ミシェルは、メレヌス帝国からつれてきた侍女アリアと護衛のジョセフから聞いた話をもとに答える。この話をきいて、実はミシェルはほっとしていた。メレヌス帝国の後宮には、ミシェルの部下であるメレヌス帝国の諜報員が何人か潜伏している。彼らの力を借りればこの状況から脱出できはずあじあんである。ミシェルははやく後宮に行きたくて待っていたのだ。しかし、ミシェルの期待は見事裏切られることになるのである。




 ワーム男爵との会話の後、ミシェルは部屋に戻ってパールバン公爵に会う支度を赤毛の侍女アリアとしていた。


「ジュリエット様、後宮に行けば私達も一緒にメソポタ王国に帰れるのですよね。」


 アリアは、そういいながら期待をこもった目でミシェルを見た。アリアは、ミシェルとここにつれて来られたことを嫌がっていた。

 メソポタ王国に帰りたいという同じ思いを共有してアリアと仲良くなったため、ミシェルは、侍女としてつけられたアリアに事情を嘘を交えて話した。本当のことを全て話すわけにはいかない。彼女は、最初ミシェルを本当のワーレンベルグ子爵の娘だと思っていた。だから、自分の本当の名前がジュリエットであることと、メソポタ王国で諜報員をしていること、今回ワーレンベルグ子爵に潜入捜査をしている際にだませれて、彼の娘に仕立て上げられたこと、メレヌス帝国の後宮には自分の仲間がいることなどを話していた。

 その後しばらく、ミシェルは先ほど呼ばれた名前、自分の本当の名前であるジュリエットと呼ばれていた頃について思いをはせていた。


 ああ呼ばれていた頃は、なんと楽しかったののだろう!

 あの惨劇がなければ私はミシェルのふりをして男装することもローゼン伯爵として諜報活動することもなく、ずっとジュリエットでいられたはずだったのに!

 






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