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王都へ1
「私が行かなければならないのは、メソポタ王国王宮です。
何かとは申し上げることはできませんが、そこでさる要人に伝えなければならないことがあるのです。」
ジュリエットは、自分の旅の本当の目的を告げずにワーム男爵に王宮までの旅につきあってもらうことにした。その自分にワーム男爵は、了解してくれた。ただしひとつの条件をつけて。
「ところで、そうして私がジュリエットとという名前であるとわかったのですか?」
「それは、パールバン公爵がつきとめたのです。あなたは、メソポタ王国の諜報員であるという事実とともに。そして、あなたは今からローゼン伯爵に報告にいくつもりなのだろう。ワーレンベルグ子爵の裏切りと後宮の情報と共に。」
ワーム男爵が、訳知り顏で答えた。
「ご想像にお任せしますわ。」
ジュリエットはそう微笑んだ。