策略後
恋愛もののつもりが軍隊ものに変わっている気が…。
もう少ししたら、きちんと軌道修正するつもりです。
「昨日、不審な船が4隻も川の上流で見かけたというのに、今まで報告は何もなかったのか!!!」
そう副官である侍従に向かって激怒しているのは、パールバン公爵である。
「報告らしきものは、ナン将軍にしたものはいたそうです。けれども、…。
「けれども、なんだ?」
パールバン公爵が先を求めた。
「ナン将軍は、川の近くの木で縛られているのが見つかりました。」
「どういうことだ!」
さらなる追及が始まる。
「どうやら、かれはメソポタ側にかどかわされていたようです。」
「どういうことだ?」
「将軍は、今回の戦で自分が指揮官に選ばれると思っていたようです。現に今までのことを考えると確かに彼が選抜されたでしょう。しかし、今回あなたが指揮官に立候補してしまった。皇帝の寵臣でかつて軍に所属して最年少元帥にまでなった閣下がいるといろいろと…。」
侍従の話をパールバン公爵は遮断した。
「もういい、わかった。何か重要なことがわかったら、また報告しに来い。」
そういうや否やパールバン公爵は、また自分の天幕に戻り人払いして考えた。裏切り者のせいでとんだことになった。この失態を皇帝がしったらどうなるかたやすい。
「公爵閣下、さきほど言い忘れていたことがあります。」
「なんだ。」
「先ほど、パールバン公爵をかどかわした相手がわかりました。
相手は、ジュリエットという女諜報員のようです。」
「!!!」
「よい、下がれ。」
そうパールバン公爵は言うのが精一杯だった。
***ジュリエット…。その名前の諜報員と聞いてパールバン公爵は一つの可能性に思い至った。それは、皇帝の愛する偽マリアのことである。もし今回のことに偽マリアが関わっているとしたら…。思わぬところで、問題解決の糸口になるかもしれない。とにかくナン将軍から話を聞かないと…。***
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「ロベルト、もう先が長くない。だから、後継者はミシェルに…。」
「待って下さい。その前にお話ししたいことがあります。」
そういって人払いさせて国王の病室には2人きりとなった。
「話したいこととはなんだ?」
口火を切ったのは国王である。
「ミシェルのことです。」
「ミシェル?」
「はい、あの子はミシェルであってミシェルでない。確かに私の子供であなたとも血がつながっていなすが、あの子は女の子です。そして、本物のミシェルの双子の妹です。」
「双子!まさか…。」
「はい、今まで騙していて申し訳ありません。あの事件でミシェルは亡くなりました。その手がかりを少しでも残したくて…。」
「…。」
「…。」
「…。」
「…。」
沈黙が数分続く。
「もう良い。わかった。それでも後継者は、ミシェルいやあの子だ。あの子の本当の名前と性別を公表しよう。皇太子の就任式を行う。あの子を帰国させてくれ。」
「御意のままに。」
そういってロベルトは退出した。