戦争の始まり
遅くなって申し訳ないです。
1年後………
「カイル将軍、ローゼン伯爵がお見えになりました。」
そう半年前に総司令官に就任したばかりのカイル将軍に、ジュリエットことローゼン伯爵の到着を伝えているのは、カイルの副官のジョージである。
「では、ミシェル大佐を通してくれ。」
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事の始まりは9か月前
メレヌス帝国とメソポタ王国の間にあるフォン国とマージェン国の間に流れるビタミン川の利権争いが始まったことにある。はじめはフォン国とマージェン国の2国間の争いであった。2国間は歩み寄るための会談を設けたが交渉は決裂、2国間の戦争になるのには1月もかからなかった。この2国、フォン国とマージェン国はそれぞれメレヌス帝国とメソポタ王国の属国であり、かの2大国の支配を色濃く受けている。
よって2国間の戦争は2国間にとどまらず宗主国のメレヌス帝国とメソポタ王国を巻き込んだ大戦争になってしまったのであった。
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「ミシェル大佐、メレヌス帝国の指揮官は誰かわかったか?」
カイル将軍がジュリエットに尋ねた。
「たぶんだが、帝国の宰相パールバン公爵らしい。」
「パールバン公爵???そんな大物が今回の戦に関わっているのか!!!」
そう大声を出して驚いたのはマージェン国のスイ元帥である。彼の家は、マージェン国の由緒ある軍閥に生まれ、代々マージェン国の軍隊を率いている。彼らを負かしたことがあるのはメソポタ王国の軍隊だけである。このスイ元帥は、カイル将軍と同じ20代後半と若い。
「ああ、この戦争はおそらく長引く。だから、長期戦のつもりでかまえていた方がいい。」
「勝つ勝算は?」
今度はカイル将軍が口をはさむ。
「今のところは、五分だ。潜入部隊の情報によると、敵国に情報を流しているのマージェン国貴族がいるらしい。しかも、その人物はこの国内でも相当の影響力を持っているらしい。その貴族からこれ以上の情報をながされるとまずい」
ジュリエットは淡々と話しているのに対し、スイ元帥、カイル将軍共に驚きを隠せない。
「裏切り者?それは…。」
「そのひとについては後で話すよ。それより2人にやってもらいたいことがあるんだ。」
「やってもらいたいこと?」
2人ははじめは首を傾げたものの、その後ジュリエットの方に向き直りなおり話を聞いたのである。
話が飛びすぎていて申し訳ないです。