新たなる希望
いったん陰謀の頃のロベルト達の会話に戻ります。
ロベルトは、今聞いたミシェルの乳母マーガレットの話に驚きを隠せない。
「では、ミシェルとエルザはもうこの世にはいないということか。」
ロベルトは、落胆してその場に崩れ落ちた。
「旦那様、大丈夫ですか?」
マーガレットは、心配そうに横からロベルトを支えていた。
「ああ、何とか。では、今まで私達がジュリエットにさせていたことは道化でしかなかったのか。」
ロベルトは、かすかに嘲笑いした。
「いえ、あの方だけはミシェルの代わりができます。」
マーガレットは、はっきりと話し始めた。この国は、双子は不吉とされ片方は生まれてすぐ殺されてしまうのが常であった。そして、ロベルトの妻は双子を生んだのだった。その双子がジュリエットとミシェルである。
「では、私の妹のエリザベスの子供はどこにいったんだ?」
「死産でした。」
マーガレットの言葉にロベルトは驚きを隠せない。
「原因は、エリザベス様の乳母と侍女にあります。その乳母は、誰かの手の者になりエリザベス様に毒を盛りました。そのせいで、エリザベス様は転倒し結果的には流産することになり。子供が産めない体になってしまったのです。そして、流産したことはその場にいたものしか知りません。そして、同じ時期に自分の兄の子、ましては双子を身ごもった王女がいた。この二人が何をしたのかこれだけでわかると思いますが…。」
「まさか…。」
ロベルトは、信じられないという顔でマーガレットを見た。
「今まで話したことはすべて本当です。国王は、後継者を作りことができないとすでに国中の人が知っております。この国は、帝国やその他の公国などと違い女子にも王位継承権があります。ですから、もうミシェルいいえジュリエット様の本当の性別を公開して、正式に王太子となってもよいと思います。」
「マーガレット、そなたはなぜ今頃になってこんな話を?」
「それは、このことは他言無用といわれましたが、亡きお嬢様、いや奥様とエリザベス様が自分たちの両方が亡くなり、またミシェルが亡くなった時にジュリエット様とロベルト様には本当のことを伝えるように言われていましたので。ただエリザベス様の亡くなり方があまりにも悲惨であり、私は今まで立ち直ることができませんでした。しかし、最近アロー様にミシェルの捜索グループに加わるように誘いを受け改めて現実に帰りました。そこでエリザベス様やお嬢様の遺言を全うしなければと思い、今回告白することにしました。今まで、黙っていて申し訳ないです。」
マーガレットは、その場で深々と謝罪した。
その姿を見つつ、ロベルトは今は亡き妻と妹について思いをはせていた。
妻と妹は、親友同士であったがまさか2人で私に秘密にしていることがあったとは!
そして内容が内容だけにショックも大きかった。
ジュリエット、早く帰ってきてくれ。
そう心のなかでロベルトは叫んでいた。
また、しばらく更新できません。しばし、お待ちください。