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陰陽師朝霧、異世界にクレームをつけにいく ~勇者召喚の裏で女神が雑すぎる件~  作者: 和幸雄大


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第4話 交易都市ヴァルミナ攻防戦

 町の門を目前にしたとき、空気が急に重くなった。

 ヴァルミナの城壁前には、避難しようとする人々が押し寄せている。

 恐怖と焦燥が、波のように伝わってくる。

「京ちゃん……来てる。死の匂い」

 肩のサトリが震える。

 次の瞬間。

 黒い瘴気が門の向こうから溢れ出した。

 ゴブリン兵の群れ。

 そして、倒れた兵士の死体が赤黒い光に包まれ、再び立ち上がる。

「味方が……蘇っている!?」

 ライオネルが叫ぶ。

「死霊術……!」

 エリシアが剣を抜いた。

 空から、巨大な影が舞い降りる。

 黒翼を広げた骸骨。

 眼窩に輝く赤黒い魔晶。

「生者も死者も、我が支配の下では等しく駒だ」

「ガストニア魔導部隊長――モルディス・カース!」

 エリシアの声が震える。

 私は狐面の奥で目を細めた。

「……趣味が悪いわね」

「流儀など無意味だ」

「流儀の問題じゃないわ」

 私は霊符を指に挟む。

「やり方が甘いのよ」

 モルディスが黒炎を放つ。

 門が焼け、瓦礫が崩れ、市民が悲鳴を上げる。

 騎士たちが応戦するが、倒した死霊兵が再び立ち上がる。

「きりがない……!」

「姫様を守れ!」

 私は霊符を空へ放った。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」

 式神が顕現する。

 朱雀が死霊兵を焼き払い、玄武が前線を支える。

「京ちゃん! あの魔晶!」

「見えてる」

 魔晶が脈動している。

 力の循環がそこに集中している。

「焼き払うんじゃない。流れを乱して」

 朱雀が黒炎と衝突する。

 爆風が城壁を震わせる。

 私は一歩踏み出し、霊符を重ねた。

「そこ」

 霊符が魔晶に突き刺さる。

 ひびが走る。

「ぐっ……!」

 瘴気が揺らぎ、死霊兵が崩れ落ちる。

「今です!」

 エリシアの号令。

 騎士たちが一斉に押し返す。

 モルディスは黒翼を広げ、後退した。

「異界の術者……次は対策してやろう」

 瘴気とともに消える。

 静寂が戻る。

 泣きながら抱き合う人々。

 エリシアが深く頭を下げた。

「あなたの助力がなければ、ヴァルミナは滅んでいました」

「退けただけよ」

 私は狐面の奥で小さく息を吐く。

 視線を、崩れた結界へ向ける。

 ――少し、気になる。

 けれど今は言わない。

 まだ、確信がない。

「とりあえず、食事と休息ね」

 私は町へ足を踏み入れた。

 赤黒い魔晶の残像が、胸の奥に引っかかったまま。

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