第9話 勇者パーティー
草原を進みながら、会話もなく勇者パーティーはぎこちない空気に包まれていた。
最初に口を開いたのはリゼだった。
「ねえ」
赤髪の魔法使いがこちらを見る。
「あなた何者?」
それは、直球ど真ん中ストレートにきた。
「術者」
「それは見ればわかる」
「陰陽師」
リゼが首を傾げる。
「聞いたことない職業ね」
「当然」
私は答える。
「異世界の術だから」
ガルドが笑う。
「じゃあ、悠真と同じか」
「半分」
ガルドが、首をかしげながら聞き返す。
「半分?」
私は、即答する。
「説明が長くなるから、また今度」
ルークが腕を組む。
「勇者の加護を観察すると言っていたな」
「ええ」
「危険なのか?」
私は少し考えた。
「危険というより」
「無理がある」
悠真が立ち止まる。
「……どういう意味ですか」
「あなた」
私は言う。
「魔力を使いすぎ」
悠真は黙る。
フィーナが不安そうに言う。
「やっぱり……」
「私も少し気になってました」
私は続ける。
「勇者の加護は本来」
「補助」
「でもあなたの場合」
「主導」
リゼが眉を上げた。
「つまり?」
「エンジンを体で回してる」
ガルドが吹き出す。
「それ壊れるやつだな」
悠真が苦笑する。
「……でも」
「止まれないんです」
静かな声だった。
私は少しだけ悠真を見る。
「なぜ?」
悠真は空を見る。
「みんな」
「期待してる」
リゼ
フィーナ
ルーク
ガルド
そして
この世界。
勇者パーティーに。
私は小さく息を吐いた。
「典型的なパターンだよね」
「え?」
悠真が、絶句する。
「勇者の過労死」
リゼが笑う。
「それ笑えない」
私は歩き出す。
「戦い方」
悠真が顔を上げる。
「変えないと」
「え?」
「次の戦闘」
「私が見る」
ガルドがニヤリと笑った。
「面白そうだ」
リゼも笑う。
「勇者の教育係?」
「違う」
私は答える。
「事故防止。」
風が吹く。
勇者パーティーは再び歩き出した。
そして私は思う。
この世界は。
やっぱり少し
雑すぎる。




