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散逸した草稿 - 短編集。  作者: 毒島複廊
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題:の仮面

仮面のお話です。前回の続き。

 仮面から放たれた靄が顔を覆いつくしたと思ったら、一瞬にしてかき消えた。怖くなって顔に手をやるも、別段変わったことがないように見える。


 なんだ。ただの虚仮威しか。あるいは単なる幻覚か。いずれにしてもこいつはただの不審者だ。幽霊の正体見たり枯れ尾花というように、こいつも仮面をつけた単なる人間でしかない。そう思うと笑みさえこぼれてくる。よく考えたら──というか考えるまでもなく──私は警察を呼ぶべきだった。最初から。ポケットからスマホを取り出し、一を二回、零を一回入力する。後は通話ボタンを押すだけ。


「……ッ!!」


 その瞬間、仮面のそいつが襲い掛かってきた。警察を呼ばれるとなればさすがに焦るか。でも、もう遅い。通話が開始されたスマホに向かって私は現状を叫ぶ。すぐに向かいます!なんて心強い声なんだ。


 それからほどなくして、警察が来てくれた。奴は何かを訴えるように身振りをしていたが、抵抗することなく連行されていった。いい気味だ。とはいえ一度侵入されたのは心配だから、引っ越しを考えないといけないけど。



 その後、内見を済ませた頃。警察から連絡が来た。


 私が、逮捕されたと。

読了ありがとうございました。

相手の気持ちに立つことも大事ですよね。

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