題:仮面の
仮面のお話です。
部屋に帰ると、知らない奴がいた。テーブルに向かって座っている。ドアの開閉音で気づいたのだろう、おもむろに振り向いたそいつの顔には、
仮面があった。
白くてのっぺりした仮面に、目と口の部分だけ穴が空いている。その部分も肌が見えるかと言われれば、黒く塞がれている。まるでそういう顔であるかのように。
異常な状況に不気味な相手が合わさって腰が引ける。もしかして部屋を間違えたんじゃ、とさえ。でも扉は間違いなく私の鍵で開いた。じゃあ、あれは?空き巣や泥棒には見えない。堂々とし過ぎているし、逃げる様子もない。落ち着きを払って、まるで元から一緒に住んでいたみたいに当たり前にそこにいる。
もしかして……誰かのイタズラ?そう思いたいけど、合い鍵を持っているのは大家さんくらいで、あの人はこんな変なことしないし、だいいち今は旅行中のはずだ。
どう考えても不審者だ。考えるまでもなく不審者だ。せっかくバイトが終わってのんびりできると思ったのに。今日はもう外出の予定入れてないから。なかなか綺麗に空くことってないのに──そう思うと、なんだかムカついてくる。逃げる気はないみたいだし、追い出してやらないと。
「ぉいッ!なんだお前!」
胸倉を掴み威嚇する。ちょっと怖くて声が小さくなっちゃったけど、これで
「?」
そいつが首を傾げた瞬間、目と口の黒から靄のようなものが放たれる。急いで離れようとするも、あっという間に吸い込んでしまって。
気が付くと、私は私を見ていた。どうして?違和感を覚えて顔を触ると、硬い質感。まるで仮面のような。目の前の私が笑った気がした。
読了ありがとうございました。
不法侵入ってされたことないけど絶対怖いですよね。




