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散逸した草稿 - 短編集。  作者: 毒島複廊
23/36

題:ブドウ

ブドウのお話です。

ちょっと苦手な人がいるかも。あんまり気分よくない人はまた来て。

 スコップで頭を潰してやるとやっと動かなくなる。ああ、なんて気持ち悪いんだ。


 よくあるB級映画みたいな感染症は実際のところ一瞬ダイナミックであとはずっと陳腐だった。家族や友達、大事な人を失って泣いていたのも最初のうちだけ、地獄の様相はいとも容易く慣れて日常の一部と化した。そうしなきゃ耐えられなかっただけかもしれないけど。


 全身が腫れあがって理性がほとんどなくなる奇病。ほとんど、というのがミソだ。大抵は呻き声しか上げられなくなるが、たまにいる賢いやつは生前(というのも変な話だが)の記憶を引き出してうまく人を寄せようとする。


 ブドウなんて揶揄されるその見た目はデカい虫刺されの塊のようなものらしく、相当痒いんだとか。それが人間に近づくと破裂して気持ちいいから、人間を襲うようになる。そうして破裂した肉からは胞子のようなものが放たれて、吸ったやつはブドウになるって仕組みだ。まったく、悪意を元に設計されたとしか思えないやつだよ。

 実際そんな陰謀論も一時流行ったりはしたが、少なくともこいつよりは早く収束した。というのは、みんな気づいたからだ。今更誰かに責任を求めたって意味ないって。だってもう、大切なものは失われて久しいんだからな。

 それでも諦めずに原因を求めて、正確にいうなればあるかも怪しい治療薬を求めて、旅を続けるものもいる。藁にもならない希望に縋るしかないのもわかる。まして、半身ともいえる存在がそんなことになったんならな。


 俺は、こうはなりたくないと思ってる。もちろんブドウのことだ。だから怪しい連中に大枚(つーか食料)はたいて防毒ガスマスクも買ったし、近距離で潰すにしてもできるだけリーチのある武器を使うようにしている。そもそも、外出は必要最低限に控えて無駄な消費も控えて接触自体のリスクを減らしている。


 そうして俺は制限された生活を、ただブドウにならないという目的だけで過ごしている。奴らを見ろ、自身の快楽だけを求めて破裂したがる頭まで爆ぜた奴らだ。しかも一定回数破れたらそのまま倒れて動かなくなるときたもんだ。マジでゾンビみたいじゃねえか。


 ああはなりたくない。ああは、あんなに、理性のないバケモノだ、あんなのは!なっちゃあ、いけない!手の届くブドウだとしても。

読了ありがとうございました。

せなかかゆい~

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