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自分だけで完成度を高めようとするのではなく、まずは相談すべし

 リュートは興奮冷めやらぬ内にと、ちゃぶ台の上に置かれた神様の像に触れた。像からは半透明なモニターが空中に映し出される。そこに映し出されたのは、見慣れた部屋のパソコンデスクに座るイノルグの上半身だった。先程部屋に入る前に、隣人に指摘された声の主である。


「よぉ!?元気かぁ?」


「うん!元気だよ!そっちは?」


「あーバイト疲れたー」


「はは……元気そうだね。仕事には慣れた?」


「まあ大分な!皆優しく教えてくれるから、今のところ平気だぜ。今日はおばちゃんに教わったかなー」


「おばちゃん?そのぐらいの年代の同僚(ひと)、僕がやってた時にはいなかったな。最近入った人なの?」


「いいや。お客さんだけど?」


「は!?」


「宅配便の伝票の書き方が分からなかったからさ、知ってそうなおばちゃんに教えてもらったんだよ。ホットドリンクご馳走したら、逆にミカンもらった……」


「へ、へぇ……そうなんだ」


「あとこの間仲良くなったおじさんが、タバコのうんちく話をしに来てくれるから、タバコの銘柄はあらかた覚えたぜ!」


「……まさかイノすけって、陽キャモンスター?」


「はぁ!?こっちの世界に魔族がいないって言ったのはリュートだぜ!?それで、そっちはどうよ?」


「今日はスライムを一匹だけ倒したよ!」


「おう……!それから?」


「……」


「……えっ?だけって……ホントにスライム一匹だけ!?」


「……」


「本当よー。散々駆けずり回った挙げ句、ね……」


「おー!ティンクさん。こんばんはー」


「こんばんは。先輩としてイノルグからも何か言ってあげてよ」


「いやぁー。俺もそんなに強くなかったからなー。それよりリュートにはティンクさんがいて羨ましいよ。こっちではビデオ撮影も編集もアップロードも、全部自分でやらなきゃいけないんだから……相談しやすい相棒もいないしなぁ……」


「でも!今日はすごい人と出会ったんだ!」


「すごい人?」


「そう!重力魔法の()()()()っていうのを使って、トロルを一撃!」


「重力魔法グラビトかぁ!?そりゃすげぇや!!結構強力な魔法だ!きっと売れてるなろうチューバーに違いないな……!なんて名前だったんだ!?」


「トロルさん!!」


「そっか!トロルを倒したトロルさんか!って、園児かっ!!?俺が話してるのは五歳児かっ!!?」


「あれ……?なんて言ったっけあの人……?」


「まったく。命の恩人の名前を忘れるなんてね……。みっきぃよ。あの人はそう言ってたわ」


「そうそう!()()()()みっきぃ!」


「?」


「みっきぃ……!?聞いたことないな……なろうチューブで見てみたか?」


「検索してみたけど、ヒットしないんだって」


「もしからしたら、アカウント名じゃないのかもな……」


「ティンクが見たことないんだから、そんなに有名ななろうチューバーじゃないんじゃないのかな……?」


「あのねぇ、リュート。言ってなかったっけ?私達オグファーデビラは、人の顔の区別がつかないの」


「え?どういうこと?」


「どういうこともそういうこともないぜ。オグファーデビラは、その人のマナの特徴で人の区別をしてるんだ。リュートが魚やトカゲの顔の区別がつかないのと一緒」


「だから画面の向こうのなろうチューバーと、目の前のなろうチューバーが同一人物かどうかなんてわからないわけ。そりゃあ契約者くらいは、よぉーく見れば判別できるけど」


「えぇーそうなの?なんだか少し悲しいな……動画の中で活躍してても、ティンクの目にはトカゲがハエを捕まえてるぐらいにしか映ってないのか……」


「それは活躍してから言いなさいよ……」


「でよぅ、リュート……実はパソコンが壊れてしまったみたいなんだけど、どうすればいいかな……?」


「へ?」


 イノルグは神様の像をパソコンの画面が見える位置に移した。


「ほら。この画面のまま動かなくなっちゃったんだ」


「……再起動してもだめかな?――って、ウインドウ出まくり!!なにこの見たいことない画面!!?」


「いや~ウイルスに感染してますって、しきりに注意してくるから、ウイルスソフトの案内ばっかりクリックしていったらこーなった」


「それウイルスソフトに偽装したフィッシングサイトかなんかじゃないの!!??個人情報とか抜かれてないかなー!?」


「なんか無料で送ってくれるって書いてあったから、住所と名前と電話番号とクレジットカード番号をメールしたけど、個人情報は抜かれてないよ」


「いやお前、それぇっ!!それだょぉぉぉっ!!!個人情報の主たるものだよ!!」


「は?これでも銀行口座の暗証番号は必要ないと思って、送るのを踏みとどまったんだぜ!?」


「自慢するとこ違ぇっよっ!!とにかく本体の電源ボタン長押しして、再起動かけて!!」


「それいつもと一緒じゃん!朝飯前だぜ」


「はいはい。いつも電源ボタンで電源切ってたのね……今度から画面からシャットダウンしような……」


「そういえばさっきは見せられなかったけど、すげぇ綺麗な壁紙見つけたんだよなぁ♪……おっ、再起動できた、できた。で、どうすればいい?」


「うーんじゃあまずは……って、デスクトップ汚ねぇ!!新しいフォルダ(30)!?ショートカット(18)!?綺麗な壁紙、台無しっ!」


「あっ!こいつまた出てきやがった。めんどくせーなー!バツだ!バツ!」


「それ標準でついてるウイルスソフトぉっ!!??ウイルス見つけたから駆除しますか?って訊いてるやんっ!!?変なの取り寄せる前にそれやれ!それっ!」


「あ゛ぁ~っ!!つったっ!!!腕がっ!!痛っ!ああ゛~!」


「っ!?どうしたの!!??」


「はぁ……はぁ……マウスポインタが右上まで行かなくて……つった……」


「大正生まれなのっ!?マウスちょっと浮かせて場所変えてっ!?」


「もうネットの世界こえぇよぉ……なんでも質問してねって書いてあるから質問したら、〝ググれカス〟って返ってくる……」


「ああ……ある程度自分で調べないとそうなるわな……」


「けどたまにちゃんと返信してくれる親切な人もいるから、捨てたもんじゃないよな!ちゃんと『掲示板では本名を使わないでください。住所も書いてはだめです』って教えてくれるから!」


「同じミスぅぅぅっ!!!個人情報ぅー!!」


「しかもそれから数日後に、カミソリの刃が送られてきてよぉっ!タダでくれるなんていい人だよなっ!!」


「ネットのオモチャだよぉぉっっ!!それもう年齢とか職業まで特定されているよぉっ!!?」


「えっ?そうなの?……でも沢山の人に知ってもらえたら、最強Y○u Tuberに一歩近づくな!よぉぅし!今日こそビデオカメラから動画を移動するぞ!?どうやるんだっ!?リュート!!」


「ググれカス……」

ご愛読ありがとうございます!

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下の★↓の数×2PTが!

評価ポイントとして入るようです!!


そして評価ポイントが高いほどランキングに入って

皆様に読んでいただけるということで――


どうかブックマークと★評価よろしくお願いします!!!

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