「中世の町」の主な特徴
導入程度の「中世の町」の特徴です!これをキッカケに、特定の町を詳しく調べるも良いかもしれません。ただし、忘れてはいけないのは、これは基本北西部ヨーロッパフォーカスです。スペイン等、イスラム文化の影響が強かったヨーロッパ地域は、当たり前ですが違いが出てきます(公共浴場がある等)。
質問があれば気軽にどうぞ!また、特定の地域のケーススタディのリクエストも、受ければ検討します。
まず、中世イングランドを例に挙げると、大半の国民は基本農民であり、故に中世(特に初期)では村で暮らす人の方が圧倒的に多いと言えます。主な町は一方で、11~12世紀辺りから、城(砦)や修道院等の宗教建築、貿易ルートを中心に、主に丘があり、池や川のある地域で発展していきます。また、元々ローマ人の町であった場所が、そのまま使われ続ける事もあります。
中世の町というのは、現代の感覚と比べれば非常に規模が小さいのも一つの特徴です。今では900万人近くの人口を誇るロンドンですら、1100年辺りでは丁度1万5000人を越え、1300年で8万人程度、14世紀半ばで黒死病が流行った時に至っては、人口が半減したともされています。
中世の町というのは、主に商人と職人の住処でした。それでいて町内には、基本中心に一つはある大通り(main street)以外の場所で、更に各職やビジネスの為の地区や路地で区別化される事も多いです。現代でも使われている道や路地の名前もその頃の名残だったりします(例:エディンバラのFleshmarket Closeは、肉屋の路地、という意味です)。エディンバラオールドタウン(1130年からデヴィット一世によって設立された、職人や商人を引き寄せる事を目的とした勅許自治区)を見ると、これらの路地は大通り(ロイヤル・マイル)から垂直に、ストリップ状に作られました。
同時期に発展していた各職のギルドも、基本的にこれらの地区や路地内に本拠が建てられました。
しかし、こういった路地も、非常に狭く、セミ・トンネルと言われる程薄暗い物が多かったのです。町の人口が増えると同時に、家も上へ上へと作られる様になりますが(世界初の「高層建築」と揶揄されるエディンバラオールドタウン等。基本石造りです)、増築された二階が一階より前に突き出る、三階は更に二階より突き出る木骨建築、等と言う事もざらにありました(ヨーク等に見られます)。
また、丘の上から建てられる事が多い故に、道というのは基本的に坂道な事が多いです(エディンバラが良い例でしょう)。道の幅も基本狭く、イレギュラーなので、あまり動き易いとは言えません。
路地内での商売や職場の他に、市場が開かれる中心広場がある場合もあります。これは大通りと直接繋がっている事が多いですね。教会や大聖堂の前や付近に建てられる事も多いです(Mercat Cross, Edinburgh)。
中世ファンタジーでは欠かせない、残酷な公開処刑もここで行われる事が殆どですね!
また、町が発展すると、防壁の為に、町を囲む様に城壁が作られるのも定番です。入り口は基本的に二つ以上あり、城壁には所謂「秘密の出口」がある場合もあったそうです。ロマンがありますね。
門は夜になると閉められ、所謂ゲートハウスで人の出入りを管理している事も多かったとされます。このゲートハウスが設置されている下に門があり、荷車用の多きいものと、人専用の小さい物の、基本二つが設置されている事が多いです。
武装に優れたゲートハウスは、所謂キープ(keep)と大差ない事もありました。これらは二重に門があったり、出し狭間(machicolation)、落とし格子(portcullis)、矢を打つ為の狭間(arrow holes)、門の上には殺人孔(murder hole)、何なら跳ね橋等が設置される事もあります。
また、忘れてはならないのが教会です。町なら必ずあります。また、基本的に「都市(city)」としてカウントするには、大聖堂(cathedral)が町内に一つは必要です。教会や大聖堂の建築については、また後日書く予定です。
(教会と大聖堂の違いは、ビショップ(監督)が管理しているか否かの違いです。が、基本的に大聖堂の方が、立派な造りである事が多いです)
衛生面において、ご存じの通り、あまりよくありませんでした。排泄物は基本窓から外にポーイ(ただし、ポイをして良い時間が決まっている所もありました)です。しかし、町というのは基本家畜と暮らすもの、う〇こは豚たちが食べてくれます。しかも坂道なので、そういった排泄物は坂を滑り降り、一定の場所にまとまってくれる事も、多少は期待できます。また、排水がしやすい様に、道の真ん中に開渠を設置する事もあります。
え、飲み水でもある川や池にも排出されていた事もある?細かい事は気にするな☆
そして、以上の事を踏まえると、中世の町の「匂い」も見えてきます。勿論、排泄物や家畜、人の体臭や、煙の臭いは、町の何処へ行っても共通して嗅げたかもしれません。しかし、冒頭で述べた様に、各職人は地区ごとに分けられていたので、その地区独特の匂いもプラスされます。パン屋の道ならパンの匂い、肉屋や魚屋の路地なら動物や魚の血や肉(腐った物含む)の匂い、蝋燭職人の地区なら獣脂(しかし、臭過ぎて蝋燭の職場は町内禁止にする場所もありました)、エキセトラです。
以上が中世の町の、基本特徴です!何か忘れていたら、もしくは新しい情報が入れば、しれっと加えますw
まとめ:
1.町は基本城(砦)や修道院等の宗教建築、貿易ルートを中心に発展する
2.故に住民の多くは商人や職人関係者。地区や路地は、職ごとに分かれている事が多い
3.教会や修道院等の宗教建築がある。都市なら大聖堂がある
4.城壁がある。門は基本、二つ以上で、夜は閉まっている
5.ゲートハウスやウォッチタワー等の、防衛システムがある
6.大通り以外は狭くて暗い。路地が多く、迷路みたいになっている事が多い
7.家畜と共存生活
8.不潔で臭い
です!w
次回からは、ランドマークの建築物をイメージする際に使える情報をまとめていきます。お楽しみに!
おまけ:作者の書いたイメージ図(中世後期、イングランド~スコットランドの大通り…みたいな?)
エディンバラのオールドタウンは、こちらの地図を見れば解り易くイメージできるかと思います(https://ewh.org.uk/wp-content/uploads/2018/02/Edgars-Map.jpeg)。が、注意して欲しいのは、この地図は18世紀の物である事です。中世時代には、ここまで多くの建物はありませんでした。
ゲートハウスのイメージは、「Micklegate Bar」で検索すると、イメージし易いと思います。
また、路地のイメージには:
「York Shambles」
「Advocates Close(https://www.lookandlearn.com/history-images/preview/M/M391/M391001_Advocates-Close.jpg)」
「Trunk’s Close(https://www.nationalgalleries.org/sites/default/files/styles/postcard/public/externals/94750.jpg?itok=16OGLLBt)」
「Anchor Close(https://i.pinimg.com/originals/1c/96/95/1c9695b3543644573d26ad3b27d07a4d.jpg)」
「Fisher’s Close(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/2a/Fisher%27s_Close.JPG/255px-Fisher%27s_Close.JPG)」
等を参考にすると良いでしょう。が、今では大分奇麗になったものの、これよりずーっと狭くて薄暗くて汚い物をイメージして下さいw
次は(ランドマーク要素としての)中世初期の建築物を見ていきます。近日中に投稿しますので、しばしお待ちを!