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メアリー・スーの殺し方  作者: 一水素
僕/私は、呪いを次に託し死んでいく
13/96

1. 修正

はっきり言う、キミは立派な悪役だよ。



『さまざまな人がキミに呪いを託す。『契約』というものを介して呪いはその大きさを増す』


『視点の違いなんだ、要は。他の視点から見れば、キミはどうしよもないクズに違いない』


男は紅茶の入った容器を手に持ち、それを一気に飲み干す。



『だけど、僕はそんなキミに同情した』



『僕がキミに託すのは『不死』の力、その一部。生憎僕の命じゃ渡せるのはそれだけ、()()()()()()()()()()くらいだ』


『もう僕も生きるのに疲れた。早く楽にしておくれ』



あぁ、可哀想だ...本当に。

キミの行く末を考えると、本当に悲しくなる。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



布を纏い男が完全に絶命したことを確認すると、波が襲ったようにとめどなく情報が頭を行き交う。男の死体をどう処理するか、この部屋からどう出るか、これからどうするか



あの男をどうやって殺すか。



...落ち着け、今は目先のことを考えるべきだ。



この部屋からどう出るか...。

もう僕に残ってる爪はない。かと言って、こんなところで臓器を使うのも気が引ける。それに、



『悪魔、この部屋にある死体全てと引き換えに、リズをこの部屋に()()


もう死体も残ってない。仮にあったとしても、たぶん()()が釣り合わないはずだ。


「...ありがとう、助かったよ」


「でもよかった、まだ生きててくれて。あのままこの街から逃げてたら、きっと死んでただろうから」




それとも、カノジョの臓器でも捧げるか?


「逃げたとこで行く場所もない」


「それに、逃げたら死ぬ気がした。まだ『契約』が残ってるかもって本能的に感じたの。ほんとは死んでて欲しかったけどね」



...いや、だめだ。それをしたらもう戻れなくなる。

そうして僕は部屋を見渡す。すると木製の長机に、さっきまでいなかった鼠がいた。鼠はただ、何をするでもなく僕たちを見つめている。



「...今日は助けられてばかりだな」


そうして鼠へと触れると、頭の中へと情報が逆流してくる。

この部屋に来るまでに局員がどこにいたか、この建物の構造はどうなっているのか、人通りの少ない路地裏へと出る裏口が存在することなど、いろんなものが頭に入り込んでくる。


「うん、決まった。ひとまず裏口を使ってこの建物から出る」


それを聞いて、リズは少し困惑した表情をしている。


「そんな簡単に言うけど、もし見つかったらどうするの? 見つからない保証なんてないと思うんだけど」




それこそ簡単だよ



「見つかったら声をあげる前に殺せばいい。その方が早いし確実だよ」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



裏口の扉を開け、外を確認する。

狭い路地には誰もいない、奥から大通りを横切る人が見えた。


「何とか外に出れたけど、これからどうするの? 国が総出でアタシたちを探しに来るなんて目に見えてる」


僕は奪った服に袖を通し、頬についた血を拭う。



「いっそのこと、『武器』に会うのは諦めて国を出ちゃえば?」







「いや、逆に『武器』の元に行く」

「二度とこの国に入れなくなる前に、やることはやっときたい」

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