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惨たらしい光景だった。
小太りの男性の頭部は爆発によって消え、首から下が地面に横たわっている。母親を包んでいたシャボン玉のベールも消え、鳩尾から上の辺りは赤黒く爛れ、か細く呼吸をしている。ただし幸いにも、悪夢んは消滅し、巧も無傷である。灰島は、この光景を巧が見ないように巧と向き合うように無言で立ち、隣には車椅子に乗った人形もいる。
「クソッ! お母さん、死ぬな!」
「赤井さん……ここは、ぼくが……」
今まで見せたことのない表情の青戸。悪夢んに対する怒り、守れなかった自分自身の弱さに対する悔しさ、母親が子供を身を挺して守ることへの違和感というか、心のざわつき、大怪我をしている人を絶対に助けるのだという強い意気込み、色々な感情が入り混じり、額から汗が流れる。
「龍門」
その言葉の重みは、場の空気を一変させた。
つい先程、灰島が"寿命が三ヶ月縮まる"と説明した龍門を青戸は躊躇せず唱えた。




