表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6月2日のℬⁱʳᵗᑋᵈᵃᵞウイルス  作者: 珠扇キリン
1/1

知らせ。

誰かが言った、観測されない者は存在しないと同じだと。

 中学卒業後、島外の私立藁野高等学校に入学した田島柊一は、1ヶ月で寮を辞め、マンションに部屋を借りて一人暮らしを始めていた。


 それから一年後、彼は限界だった、救われない物語、あの6月2日に起きた事、成し遂げられなかった約束、あれは本当に恋だったのだろうか。


*


 彼が通う藁野高等学校には、様々な障害を持った生徒が多く通う、彼は一見、どこにでもいる高校生だが、ある障害を持っている。

 

 しかも2つである、アスペルガー症候群とADHDという2つの発達障害だ。


 アスペルガー症候群とは先天性の障害で、症状は人によるが殆んどの場合、人間関係に関わる病気。一方、ADHDは、落ち着きがない、物を片付けられないといった症状である。


 しかし彼の場合は、片付けられないのは机の中だけと限定されている。彼はこの病気のせいで今までに一度しか友人を持っていない。その友人も、傷つけてしまい、離れていってしまった。


 だが、それは入学前の話、彼は今では友人を持っている。花坂永美と花坂律の二人である。彼女達は結合双生児という病気を持っていて、一つの身体に二人がいる、つまり首が二つあるのだ。


 田島は困っている人を放っておく事の出来ない人間で、クラスの女子にイジメられていた花坂達を助けた。それから3人は仲良くなり、今では学校で殆んどの時間を共にしている。


 田島は昔にも自分をイジメてたクラスメイトを、イジメから守ったりしていた、良く言えばお人好しだが、悪く言えば馬鹿である。


 家に帰った田島はまず手を洗い、うがいした後で消毒液を塗る。そこからスマホを開き、ゲームに熱中する。


 6時の鐘が鳴るとほぼ同時に田島は立ち上がり、風呂場に向かう。風呂を掃除し栓をしてからお湯を沸かす、そこから夕飯を自分で作って食べる。


 食事後のデザートと言って良い物か、母が送ってくれた最中を口の中に放り込む。「甘い…」吐き気がした。


 その日は気分の問題だと思ったが、次の日、朝食の卵焼きを食べた時もそうだった。気づけば甘い物を口に出来なくなっていた。


 病院に言ってみたが、何の異常も見つからなかった。気づけばもうすぐ梅雨だ、本当に原因は分からないのだろうか。


 ある日、見ていたテレビで「6月2日、沢山の人が死ぬ」と書かれた紙が警察署に送り付けられたというニュースが放送されていた。


 何かのイタズラだろうと花坂達も言っていたが、どうしても僕だけは、それが単なるイタズラだと思えなかった。


 前にもこんな事があったような気がして、そう、何かが起きそうな気がしていたんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ