060 最後の安息
グラ地下迷宮にルヘンに案内されて来ると、メッキと激しい戦いをしている、ドラゴンゾンビがいた。
暴れている竜王のドラゴンゾンビの前に、全盛期の竜王がゲンワクの幻と錬金の能力によって出現させると、向き合うと同時に両者が最大級の火炎吐息を吐いた。
ゴーーー!
ブレスとブレスがぶつかり、余波で周囲が溶解していく。
「主君!これは不味いのじゃ!ダンジョンが崩れてしまうのじゃ」
「少し下がりますか?」
メッキが、俺とルヘンをさらって一気に後方へ下がった。
ニュンは、素早い動きでメッキの後についていく。
ブレス合戦は、ドラゴンゾンビの方が優勢で全盛期の竜王が、直撃を受けて紫色の炎に包まれ燃えていく。
そして力つきて倒れた。
「うまく行くかと思ったが、ドラゴンゾンビの方が強かったのか?」
「そのようじゃの。だが、ブレスでかなり魔力を消費したのか、かなり弱っているのじゃ」
「ゲンワク様、いや主君。良い作戦かと。今の奴なら私で倒せそうですね」
メッキが突然、全身が黒い霧のようになってドラゴンゾンビの方へ漂っていく。
ドラゴンゾンビをメッキが変身した黒い霧が取り囲み、骨にヒビが入っていく。
パリン……パリ、パリ
ヒビが破れていきドラゴンゾンビが崩れて粉の塊となった。ダンジョコアがその粉の塊の上に落ちた。
ああ………死ねる……グロウ様……
何か、思念にような物が俺たちがいる空間を包み言葉が聞こえた気がするが、すぐに消えた。
黒い霧が一箇所に集まってメッキの姿になると、メッキが倒れた。
「いやはや、相手の力を全てを吸い取り成功です。戦闘初期にも試したのですが、暴れて私の霧となった身体を吹き飛ばすので出来ませんできたが、主君のおかげで動きが遅くなったからギリギリ出来ました。感謝します」
「全身接触の吸引じゃな。流石は不滅者の真祖じゃな」
「それは……言わないでください」
ルヘンが落ちているダンジョンコアを拾って、懐にしまった。
「メッキ? 何故、俺が主君なんだ?」
「遠い昔を思い出しただけですよ。主君の本当の名前は違うのかもしれませんね。ニュンペーとルヘン様とゲンワク様をみていると懐かしい」
「え?」
「気にしないでください。私の不死の主君よ」
気になるが、賢者の石を触ってもメッキの考えていることまではわからないので諦めた。
四人で町への転移門を開いて、帰路についた。
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見つけた人間の男と女のうち、女を逃してしまったが男の方は私に挑んできた。
男の方は人間だと思っていたが、グロウ様と過去に戦っていた時に仲間にいた、魔人に似ている。
想像よりも強く何度も致命傷を与えても復活して襲ってきた。
先程はかなりの手応えがあり、ダメージを受けて逃げ出した男を探している。
突然目の前に、自分と同じ大きさの同族が現れた!
ぬぅ!
現れると同時に火炎吐息を吐こうとしている。
若造の同族に負けるわけがない!
私も同じようにブレスを吐いた!
驚いた事に私と拮抗する程のブレスであったが、ドラゴンゾンビになったためか、負のオーラ分だけ私の方が勝ったようで相手のブレスを押し戻し相手を焼き尽くした。
此処まで力を使ったのは久しぶりだった。
よもや倒されるのか?
男と戦った時に、初めに襲ってきた黒い霧が私にまとわりついた。
振り解きたいが、先程のブレスで力を使ってしまって激しく動けない。
体の生命力の源が、霧に吸い取られる感覚を覚える。
周囲が真っ暗になり、前方に何か光が見えてきた。
その光の向こうに人影が見えた。
ああ……懐かし……グロウ様の後ろ姿だ!
急いで後を追いかけると、今まで骨だけだった体が元の姿に戻っていく。
これは? 私は倒されたのか?
グロウ様に追いつくと振り向いてくれた。
手を伸ばして私を……
ああ………死ねる……グロウ様……
元の姿に戻った私にグロウ様が騎乗した。
「だいぶ待たされたぞ。さて、次はどこに行こうか?」
「グロウ様が一緒なら何処でも良いですよ」
「それは、頼もしいなぁ。ここに来るまでの事を教えてくれるか?」
「もちろんですよ」
光の中に私は飛び立った。




