057 圧倒的
自分が不死王だと認識してから自分の能力に関して考察をした。
勘違いで常に魔力を使用して鍛えられた幻と錬金の能力と増大した魔力によって、レベルが本当にIMの九百九十九以上の様だ。
しかし、このレベルは魔力のパラメータが異常に多い事によるもで、その他の力や素早さ、生命力はそこまで強くない。
実際に強い人の動きが見えないので、肉弾戦に関しては弱い。
魔法も、幻の能力を利用してなんでも出現させれるが、それを錬金術で魔力を使って実体化させる際には、ただの幻よりも多くの魔力を使うようで、ダンジョンコアを出現させた際には魔力枯渇をした。
今まで膨大な魔力で気がつかなかっただけで限界はあるようだ。
魔法も全然知識がないので、何も使えない。
どうやって戦闘すれば良いのか?
前世の近代兵器は強力になる程、使用すれば周囲に被害を出してしまう為に、巻き込まれる人がいる際には使えない。
そこで、この世界には基本能力が高い武器が存在する。
聖剣などを例えると、通常の剣で殴ってもダメージ十だが聖剣ならダメージ百以上になる。
幻と錬金術で出現させた物体を任意に動かせる事もわかっている。
結論は、今の状況になった。
俺が保持する膨大な魔力で、地面が埋まるほどの基本攻撃力が高い聖剣や魔剣を出現させて操作するのだ。
地面に刺さっている剣が百本ほど空中に浮くと、ボックの方向に切先を向けて高速でボックを襲う!
「ふざけるな! なんだこの数は!」
ボックが八本の足を振り回してはたき落とすが、隙間を抜けた数本がボックに刺さる。
「うぎゃぎゃ、ば、馬鹿な!」
再び地面から今度は二百本の剣が空中に浮かんで、ボックに切先を向けた。
そして、ボックへ飛んでいく。
「馬鹿め! いくらそんな攻撃をしても俺は倒せんぞ!」
ボックが喚いているが無視して、どんどん攻撃いていく。
ボックが、刺さった剣で見えなくなる。
ボックが動かくなったが、少し待つと刺さっていた剣が全て吹き飛んで血だらけのボックが現れた。
「俺は不死だ! いくらでも再生が出来る! よくもやってくれたな! お前の四肢を千切って食べてやる!」
「知ってるよ。じゃぁ次だね。大丈夫。不死でも消滅するまで繰り返すから」
空中にボックから飛ばされた剣が停止していて再び切先をボックに向ける。
更に地面に刺さっている数百本の剣が空中に浮かんだ。
「そんな馬鹿な!」
ボックから、魔力が増大して無詠唱で魔法が周囲に放たれるが、剣の色々な加護で打ち消される。
「魔法防御が強い剣や魔法が効かない剣もあるから、無理だよ」
「あ、ありえない! この俺がこんな攻撃で! お、お前を倒せば!」
ボックが俺に飛びかかる前に更に増えた高速で飛んでくる聖剣と魔剣がボックに襲いかかる。
俺の目の前に聖盾と魔盾など、世界最強クラスの盾が出現して隙間なく並ぶ。
防御も剣と同じように、盾を動かして全ての攻撃を弾く。
盾に阻まれて接近できないボックが、聖剣と魔剣に刺されて再び動かなくなった。
「ば、ばかな………うご……」
よく見るとボックが石化してきている。
弱点がないのではなかったのか?
賢者の石を触れて、確認をする。
『状態変化に対してボックは、絶対無効の能力を持っていましたが、魔剣ジュラの斬られた相手の状態変化の作用増加、神剣べラスの斬られた相手の能力の低下、聖剣ヂュオラルの斬られた相手の能力を一つ無効化を受けて、魔剣グリフィによる斬られた対象が徐々に石化する事が有効になったようです』
チート級の弱点なしの強さでも、チート級の効果がある剣の攻撃を複数重複して受けたら弱点が発生するって事だな。
パリン!
石化したボックが、粉々に崩れた。
『魔剣ブレイクの石よりも硬い物に対す粉砕能力で、対象をチリまで粉砕しました』
「実験的だったのだが、思ったよりこの戦法は強いな。残った二人はどうする?」
消えてしまったボックから目線を変えて二人を見る。
全身鱗がウィオクが、頭を下げて従服するポーズをとっていた。
手が羽の美少女がヒルドは、態度的な変化はなかったが目の色が真っ赤になっている。
「ベルド共和国では、強い者には従う。ボックを倒したお前は強者だ。お前に従おう」
「前からムカつくボックの奴を消した。お前は私と愛し合って子供を作ろう!」
バリバリ!
ぐは!
ヒルドが別の意味で襲いかかるため、俺に急接近して電磁バリアにぶつかって跳ね返される。
羽で器用にぶつかった際に潰れた鼻を押さえて、唸っている。
「本当に、四天王をまとめちまった!」
パーマが感動している。
「俺にはこの国をどうしようなどの考えはない。国の中で四つに分かれた状態もおかしいと思うので、一番まともそうなウィオクが、この国のトップになってサポートにパーマ。そして軍はヒルドという感じで継続できるか?」
「それは、理想的だな! 四天王の領地統一は長年の夢だったが拮抗して内戦が多かった。これで平和になるな」
「え? 私がサポート!?」
「軍は私に従うのか? それでも良いが、ゲンワクと言ったな。お前はどうするのだ? お前がいなければこの二人に従うつもりはないぞ」
ヒルドだけが、不満そうだった。
「どうすれば従うんだ?」
「私とつがいになれ。子供を作ったら従ってやろう」
羽をばたつかせて興奮しながらヒルドが言った。
まだ消えていない剣が全て地面から抜けて空中に浮かぶ。
ヒルドに向けて数千の剣が全て切先を向けた。
「まさか、殺されると思っていないのか?」
「わ、わかった。し、従う。だが諦めない」
結局脅してしまったが、なんとか三人でやっていってもらおう。
パーマが指輪を外して俺に投げてきた。
受け取って指にはめた。
指にはめる際にパーマが僅かに笑ったように見えた。
本物の賢者の石をゲットした。
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ベルド共和国から、町に戻ってきた。
賢者の石以外の材料はルヘンが収集してくれるので、ハビル帝国にあるジョル町をゆっくり観光する予定だ。
朝は、依頼をこなすニュンを出現させて一緒に朝食を食べる。昼は観光を楽しみ、夜にはニュンを迎えに行き晩御飯を一緒に食べる。
こんな生活を繰り返していた。
稀にルヘンからの救援要請とニュンがトラブルに巻き込まれた時があったが、問題無く解決できた。




